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光と闇 悲しき竜と剣の鎮伝歌レクレイム
(スレイヤーズしゃどう)
(新アンデット大量発生殺人事件)
〜1回目〜
**** LINA ****  今日はとってもいい天気…なのに何でこんな日に… 「火炎球っ!」  ずうどおおぉぉぉーん!  あたしから少し離れたところで轟音と共に土煙が立ち上がる。  それによって、数匹のアンデットたちが吹き飛んで行ったわけなんだけど… 「なんなのよ。この数はああ!」  ゾンビにスケルトン、ゴーストに…!  ずうばあうん!  後ろから襲おうとしていたゾンビを有無も言わずに一刀両断するあたしの 保護者ガウリィ。 「ゾンビくん……サヨウナ(笑顔)」  げしゅ! ぞくんっ!  そんなことを言いながら、彼は一振りでゾンビとスケルトンを一刀両断に 切り裂く。そしてその後、ゾンビの死体に向けて十字を切る。  …ただし、スケルトンにはやらない… 「きぃやああ!! ゾンビさんは苦手ですぅ!!(涙)」  どか、ばき、どこ、どし、めきょ…  と前回同様同じことをいいながらしっかり殴ってるアメリア…  さらに4匹退治。のこり……三桁はくだらないわよね… 「…臭い!ゾンビさんの匂いが服に染み付くぅ!!」 「そんなことを言ってる暇があるなら呪文のひとつぐらい唱えろ!!(怒)」 「あんたら早くやっつけてよ!!(怒)」 「だから手伝えって言ってるんだろうがっ!!火炎球っ!!!!」  ちゅごどーんっ!!!  ゼルの放った呪文が爆裂する。 『ふりぃりぃりりぃぃぃー』  そんなわけわからぬうめき声を上げ、あたしに迫る数体のゴースト。  ええーい!しつこい!! 「烈閃槍、烈閃槍、烈閃槍、烈閃槍、烈閃槍…以下同文…」  一様、言っておく。天才魔道士であるこのあたしが竜破斬を1発ぶっ放せ ば、あっさりとかたがつくのは目に見えている。  …確かに…人が扱える攻撃系黒魔術のなかでも最強といわれる竜破斬の醍 醐味ってヤツなら簡単だ…簡単だが…いかんせんこの数ときては…呪文を唱 える暇、ありゃしない…凄腕の剣士であるガウリィにサポートしてもらったっ て、敵が四方八方から襲いくるんじゃあ…威力が弱くてすぐに発動できるの しか称えられやしない…  え?何?  ”呪文を唱えなくても、よく竜破斬をぽこぽこぽこぽこ使ってるじゃない か”って?  なにいってっかなあ…あれは、何でも有りのスレイヤーズの中でもギャグ オンリーの時だけでしょうが…ガウリィみたいな勝手な妄想しちゃあいけな いわ。  よく考えて本編スレイヤーズではあたしは一度も呪文の省略をしたこと無 いでしょ?  …………………うん…多分…そのはずだけど…とっ… 「…炎の矢!」  ずぼおおぉぉ…  その呪文に破裂するゾンビ………って……うげっ… 「ささささささ…」  自分でも信じられぬスピードでガウリィの影に隠れる。 「どああああぁぁぁ…」  びちゃ…べちゃ…ぐちゃ…  そのすぐ後、ガウリィが液体やら腐敗肉やらを浴びてしまう。  あたしが吹き飛ばしたゾンビちゃんのを… 「…ふっ…人間バリア成功(はあと)」 「…リナあぁぁ……」 「はっ…こんなところにもゾンビの仲間が!」 「誰がゾンビだ!」  叫ぶガウリィ。 「…脳みそがとくに…」 「…おまえなあ…」  …と…とにかく…この状況に陥ったのには訳があったそうあれは…あれは 2週間ほど前に受け持ち、ものの見事に失敗した…あの仕事がきっかけだっ たといえよう………  ──2日前のお昼──  まさにガウリィとの喧嘩腰による、ご飯強奪戦も終え、食後のレモンティ を飲んでいたときである…ちなみにゼルは、ご飯も食べずにコーヒーだけを 飲んでいたりする…ほんと…んなんでよくもつよなあ…  カタン──  6人用テーブルだったため二人分空いていた、そのうちの1つの椅子が突 然、動いた。  そして、ある人物がそこへと座る。 「…………」  あたしは無言でレモンティを一口含む。  他の三人はその人物に目が向いている。 「君たち腕には自身はあるかな?」  片手にパイプを持つ彼女はいきなり、そう問いてきた。  それを飲み干し── 「…で、みんな、この後の予定なんだけど…」  年の頃はあたしよりも少し上。金髪のショートカット。端正な顔立ちだが、 多少無表情な感がある──知的美人というやつである。 「…そうだな…そろそろ…ここを出てもいいかもな…」  と、何事も無かったかのようにほほんとガウリィが口を開く。 「で…次はどこに行きます…確かこの先の町は港に近いらしいですから、お 魚料理がおいしいんじゃないんですか?」  この辺の地図を開き言うアメリア。 「その町には何か遺跡でもあるのか?」 「…ええ〜っと…そうですね…」 「…お願いだから…私の話を聞いてくれないかな…」 「いや(はあと)」  あたしはきっぱりはっきり笑顔で言ってあげる。  って……あれ………この人どっかで…………  ……………………………………………………………………………………… ………………………………………………………………………………………… ………………………………………………………………………………………… ………………………………………………………………………………………… ………………あっ! 「エイプリル!!!」 「ふっ…久しぶりだね…リナくん…私もいま気付いたんだがね…」 「…な…なにゆえッ!?こんなところに…セルリアン・シティの床石から生 えてるとばっかり、思ってたのに!!!ここからじゃ…300キロは離れて るわよ!!!!」 「ふっ。何…簡単な推理だよリナくん。  君は前にこう言ったじゃないか。  ──世の中には、複雑怪奇な事件もごろごろしているのよ。    あなたの頭脳は、そういうのに立ち向かうためにこそあるのよっ。    行きなさい世界へ。更なる謎を求めて!!──  と…」  …え〜と………そんなこと言ったっけかな? 「リナ?知り合いなのか?」  とガウリィ。 「…うん…ブルーベリージャムの人よ…」 「…リナくん…もう少し…別な紹介の仕方はないのかね…」 「絶対ない!」  エイプリル=ランドマーク。  あたしがガウリィたちと出会う前のことである。  先ほど口走った、セルリアン・シティに立ち寄ったころ、あたしはエイプ リルの依頼で、とある事件の解決に協力したのだ。  仕事の上でいろいろと、くそ腹立つこともあったのだが…まあ…それもこ れも懐かしい思い出でもある。 「そして、私は君の言う通り世界へと飛び出した。行く先々で複雑怪奇な事 件に巻き込まれたりしたのだ」  相変わらずのナレーション口調なのね… 「大変だったんですね…」  アメリアが彼女に同情する。  そうね、何人、彼女の被害にあったのかしら… 「そうなんだ。特にあの”称号の服”と”竜神像”の盗難事件はかなり難解 だった…」  …おひ… 「それ以外は?」 「本件とは無関係だよ」  視線も合わさずに言うエイプリル。  …逃げたな… 「そして私はまたまた、難解な事件に出会ったのだ!!…………………と…  ……………ところでリナくん…」 「却下!」 「…いや…私はまだ何も言っていないんだが…」 「どうせまた助手でもやってくれって言うんでしょ」 「人間、空腹になると冷静な判断力を失うというものだよ。リナくん。そう は思わないかね?」 「いきなり何言ってるんだか…だいたい思うわけないでしょ…今はお腹いっ ぱいご飯食べて、幸せな午後のティータイムを楽しんでいたところだもの」 「………………では…一人あたり金貨100枚払うといったら?」 「一人あたり100って…そんな大金払ってまで四人も助手がいるわけ?」 「いや…いや…リナくん。今回は助手ではなく…本当の戦力が欲しいのだよ …リナくんの実力は良く知っているからね。それにどうやら君のお友達も、 かなりの実力だと私の紫色の脳細胞も告げている…」  …いや…んなもんに告げられても… 「…それに助手はすでにいるんだ…」  きっぱりと彼女はそう言った。 「…い…いるって…助手が?」 「うむ…」 「…か………」 「…か?………ふむ…私の推理によれば…カブトムシと言いたいんだねリナ くん」 「誰が言うか!んなこと!!…って…それよりほんとなの…助手がいるって…」 「なあに…たいしたことないさ…リナくんほどではないけど…なかなかの逸 材でね…彼と仕事を始めて二ヶ月はたつんだが…」 「………………」  …か…かわいそうなやつ…人生誤ったわねその人…  しばらくして── 『エイプリル(さん)!』  ──そのかわいそうなやつがやってきた。 「おや?戻ってきたようだね…」  ──そのかわいそうなやつがやってきたようだ。  あたし達が一斉にそちらを振り向きー…  ぶはああぁぁ!!!  噴出した…各々が飲んでいた、レモンティやコーヒーで…思いっきり…  あたしは、その場で思考力が奪われた。 『…リ…リ…リ…リ…リ…リナ…(さん)が二人!!??』  アメリア、ゼルガディス、ガウリイの驚愕の声がその場に響き渡った── <続き 2回目へ>
 
 
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