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OTOMO KATSUHIRO Comics

Viva Il Ciclissimo ! (大友克洋×寺田克也)

• マガジンハウス
• 発行：2008年9月10日
• 112+80p
• A4、 A4上製
• プラケースに２冊入り
• 定価 5,800円（税別）
• ISBN978-4-8387-1894-8

収録作品

コメント

映画「Steamboy」製作時期に親交を温めたアニメーション関係者達の影響から、スタジオジブリのメンバーを中心とするアニメーターの自転車の祭典「ツール・ド・信州」に参加するようになった大友克洋は、1999年、同時期に自転車にハマった寺田克也、北久保弘之の２人と共に「クラブパンターニ」を結成。そして同年「電撃アニメーションマガジン（メディアワークス）」誌上でイラスト・コラム「Carbon Heart」のリレー連載がひっそりと開始されました。ところが、2001年に雑誌休刊の憂き目に。しかし３人のエネルギーはそれでしぼんでしまうようなモノではありませんでした。半年も経たないうちに舞台を「モノマガジン（ワールドフォトプレス）」に移行。タイトルを「おしゃれハンドル」、モノクロから４色へと装いも新たに再出発が計られたのでした。途中で北久保氏が脱落、代わりに多数のゲスト（小原秀一、黒田硫黄、高坂希太郎、樋口真嗣、りんたろう）を迎えたり、寺田氏の手によって「クラブパンターニ・オフィシャル・サイト」が作られたり（2012年現在は更新終了後内容を縮小して公開）しながら最終的に５年半、60回の長期連載となりました。但し明確に終了が宣言されなかったため、2007年初頭は休載なのか終わったのか良くわからない状態だったのがちょいと辛かった…。で、そんなもやもやが「やっぱ終わったのね」という確信に変わってしばらく経った2008年の夏、大友克洋と寺田克也連名の単行本としてリリースが決まったのがこの「Viva Il Ciclissimo!」。出版社の垣根を越えて、クラブパンターニの２大連載「Carbon Heart」と「おしゃれハンドル」の全話を収録したうえ、未発表のラフ、そして描き下ろしの第61回（大友克洋）、更にはメンバー３人による座談会まで。座談会のページには「モノマガジン 2006年４月16日号」の特集にこっそり（？）載った大友イラストと、これまた出版社の垣根を越えてえい出版社の「ロードバイクインプレッション 2001年版」と「BiCYCLE CLUB '01年12月号」の「ツール・ド・信州」の記事のために描かれた大友イラストも収録。まさにクラブパンターニの画業を集大成した本となりました。

が、本書の目玉はもう一冊の「ジロ・デ・イタリア2007」なのです。ソフトカヴァーの「Viva Il Ciclissimo!」とは全く趣の異なる美しいハードカヴァーの「ジロ・デ・イタリア2007」。真ん中付近で上下逆さになった、両A面仕様の大友×寺田本。両者による2007年のジロ・デ・イタリア観戦記が、これでもかと言うくらいに魅力的な絵と文章で綴られています。大友パートは48ページ（内６ページは写真）。もう鼻血出そう。もちろん選手や自転車もカッコイイですが、ちょっとした木立や町並みの描写、そしてデフォルメされたご自身などなど。そして日本の風景を描くときとは全然違って、地中海の日差しを感じる鮮やかな色合い。…あ、鼻血出た。寺田パートはもう少し重厚かつコミカルに同じモノを描いていて、２人のそれぞれのフィルターを通した「ジロ・デ・イタリア」がたっぷり楽しめます。

なお、本書の発売に先立つこと１年、「BRUTUS 2007年７月15日号」には、本書に用いられているイラストと写真の一部を用いた、大友、寺田両名による「ジロ・デ・イタリア2007観戦記」が載りました。寺田克也の小イラスト２点を除いてすべてこの本に収録されていますが、文章は別のものとなっています。

初回の限定版は、寺田克也画伯のイラストを用いたサコッシュ（レース用補給袋、コットン製：右画像）付き。でも「サコッシュ特典は本邦初！」って、そ・そりゃ…。但し、限定版でない通常版は出ていません。というか、表記が紛らわしいですが、この本自体が売り切れたら重刷しない、限定出版という意味だと思うんですが…違う？いずれにせよ定価5,800円（税別）も全然高くない、素晴らしい内容です。なにしろ、「Carbon Heart」と「おしゃれハンドル」を買い続けた雑誌代の10分の１程度ですよ。むしろ安い！

2012年３月現在、まだサコッシュ付き限定版の在庫あり。

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