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OTOMO KATSUHIRO on Magazines
マンガ奇想天外 Vol.2 '80/7/15号
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- 奇想天外社
- 1980年7月15日
- 312p
- A5 版
- 定価 580円
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収録作品
タイトル |
作家 |
頁数 |
たあたあと遠くで銃の鳴く音がする |
高野文子 |
5 |
APPLE PARADISE 第一話「帰還前夜」1 |
大友克洋 |
29 |
Dr.アジマフ懺悔録 |
吾妻ひでお |
15 |
闇の標的 |
西 友季 |
24 |
いたずら らくがき |
萩尾望都 |
8 |
星降る夜 |
坂口尚 |
8 |
アカプルコ・ゴールド |
吉田秋生 |
10 |
来夢ライト |
鈴木みつゆき |
4 |
ALICE IN WONDER BOOGIE WOOGIE |
さべあのま |
10 |
やかん |
紫門ふみ |
4 |
SFヒトコマ劇場 |
佐々木ケン |
2 |
不滅のパンク・ドラゴン |
いしかわじゅん |
16 |
SFヒトコマ劇場 |
つのださとし |
2 |
日本のアダム |
福山庸治 |
24 |
弓を引く |
矢代まさこ |
28 |
未来少年Z |
松本あきら |
15 |
湯屋の羽織 |
高 信太郎 |
8 |
インベーダー幻想 |
小室考太郎 |
30 |
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コメント
未完の大作「APPLE PARADISE」の第一話が掲載された雑誌です。表紙には掲載作品のうち6作品からのヒトコマが使われていますが、「APPLE PARADISE」は真ん中、左右ブチ抜きになっています。そしてカラーページに続いて始まる「APPLE PARADISE」。宇宙が舞台の長編 SF は大友克洋にとっても初めてで、最初から軌道ステーションの全景を見開きで描いたり、その大きさを強調したメカの描き込みが力の入り具合を物語っています。
物語は、数人の後の重要人物達の視点から、世界観を少しずつ明らかにしてゆく、という手法で始まります。カーゴ・セクションでは積載限界を超える無茶な積み込み(なんの?)が行われている。エンジン・セクションでは調整にてんやわんやでスタッフは皆寝ずの作業。今日の「集会」について会話をするステーション外の作業員。広い展望台でこのプロジェクトを振り返る将軍と現在の責任者。帰還の為のエンジン改新作業を短縮してくれと言う「カンパニー」と、「委員会」の正式の書類を求めるエンジン・セクションの部長。そして「ヘッド・クォーターズ」なる集団を気にかける「カンパニー」。
ここまででわかるのは、このステーションは地球からある惑星に向け飛び立ち、現在は8年間の惑星での作業を終え、帰路につく直前であること、そして帰還に向けた準備ははかどっておらず、皆いらだっていること。「カンパニー」、「委員会」、「ヘッド・クォーターズ」という3つの組織があること。これだけでもこの物語が複雑な設定の元に作られたことがわかります。
物語はさらに続き、作業員達が「ドクター・ミナミ」の調合する「ドラッグ」を常用していること、船内ではホモ・セクシャルな関係が当然であることが語られます。ここで登場する「ドラッグ」常用者である重要人物の一人は、おそらく鉄雄の原型でしょう。
そして「集会」の場面へ。合法集会でありながら、「カンパニー」のガードマン達が厳しく目を光らせている様子。集会で議論されているのは「カンパニー」の何らかの所行に対して「一般作業員達」が業務の遅延で対抗するか否かということ。しかし「それよりも早く地球に帰りたい」と希望する人々と内部対立が起こってしまい、ガードマン達にたしなめられてしまう。そこでガードマンと相対するのが「山田通信士官」。そう、「AKIRA」4巻以降に出てくる山田の原型です。
一方集会には出ていない鉄雄のような人物(まだ名前がでていない)は、ドクター・ミナミのラボに新しいカプセルをもらいにいく場面。しかしドクターは不在で、「いつものブルー・カプセル」をいくつか失敬して出ていく。しかしそのカプセルの入ったビンの横にある、密閉された岩石は‥‥‥。
このように第1話はものすごく濃密な「APPLE PARADISE」の世界のいくつかの断片を語っていて、その後に非常に期待させます。惜しむらくは雑誌の紙質がよくないこと。せっかくの描き込みが活かされていません。版型が小さいのもマイナス点か。
このシリーズは読み捨て型ではないので、古い雑誌を扱う古書店で見かけます。500円から1,500円程度で入手可能。
Next: Manga Kisoutengai Vol.3
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