■2006年01月29日(日)
神はそのへんにいます
|
| 中井インターサーキットで開催された、ミニバイク6時間耐久レースに参加してきました。 参加者はみんなジムカーナ仲間。約15チームがエントリーしてて、仲間持ち寄りで屋台ができたり、気ぐるみで走ったりする人がいるような、どっちかっつうと和気あいあいとした大会です。
俺のチームは女性二人と俺一人。 当初女性3人で参加する予定だったらしいんですが、一名骨折により欠員となった為、同じチームのメンバーが全員仕事で、あぶれていた俺が助っ人として参加することとなりました。
チーム名は「女王様二人とその下僕」。 えー、その名の通り、俺の役割は女王様のマシンの整備とか、女王様への気遣いとか、女王様の使いっパシリとか。 参加させて「頂く」立場ですのでまあ当然です。
前日の練習や打ち合わせで、女王チームのマシンは非力だけども燃費が極めていいという特徴があったので、スピードよりも安定性、給油回数の少なさ、ライダー交代の少なさで勝負することにしました。 前評判、練習会の実績等から上位2チームは相手にならないと踏んで、3位を狙っていくつもりだったのです。
序盤は予想通り上位数チームが抜け出し、女王チームは5位くらい。 でも、俺は出だし二時間くらいでニヤニヤしてました。俺、女王様たちとも予想以上にペースが上がり、給油回数とライダー交代のタイミングを計算すると、二位は確実、トラブル次第では一位もあったからです。 この時点で、女王チームの入賞を予想していたのは、女王チームのメンバーだけだったと思います。
中盤、上位2チームのうち1チームの給油回数が予想よりも少なかったりして、色々と計算が合わなくなりました。 しかし、女王チームは予定通り燃費の良さと安定性を武器に、スピードで勝る相手達を尻目に3位〜4位とするするとランクアップ。女王様達も順調にタイムアップし、周回を重ねます。 全く打ち合わせ通りの展開に、ほくそえむ女王様達。……と、その下僕。
終盤、残り一時間の時点で、速いはずだった上位2チームのうち、給油が少なかった1チームのスピードがそれほどでもなかったことが発覚し、女王チームは二位に浮上。しかし、一位のチームとは給油を計算に入れても7周差あり、ラップ一秒ほど女王チームが遅いので、何かしらのトラブルがない限り、優勝は絶望な状況でした。 ってことで、最終ライダーの俺は、3位との差だけに気を配り、3位との差が縮まった時にピンク色のサインボードを出し、離れていく場合は緑を出してくれるようにお願いしてピットを後にしました。
3位との差が縮まらないようそれなりに頑張って10周ほどすると、女王様の一人が緑色のボードを出して来たのでもう一安心。さらにもう数週すると、3位のライダーをラップすることが出来たので、もう俺の役目はお終い。 どーせ3位との差は離れる一方だし、一回転倒しても大丈夫だろってことで、ペースを上げて自己の限界に挑戦しちゃったりするおちゃめな俺。 しかし、その裏で、笑いの神はその触手を着々と俺に伸ばしていたのです。
残り30分ほどで、女王様が何故かピンク色のボードに、一位のチームのゼッケン番号を書いて、大きく掲げました。 あれ? 3位はもう3回くらいラップしたし、なんの合図だろう。あっ、女王様の一人はスタッフだから、一位がペナとかなのかな。まあかわいそうだけど、それでも追いつけないしなー。 でも、その割に女王様しつこいです。何度も何度もボードを掲げ、しまいにはブンブン振りはじめました。一位のやつも、さっさとピットに入ればいーのに。なんて考えつつレースはフィナーレへ向かいます。
残り五分ほどして、一位のやつが後ろから追いついてきたので、気持ちよく先を譲りました。 マシン差がとにかくすごく、ラップタイムで一秒差があるし、相手のほうが順位が上だし、交代してから相手に3回くらいラップされてたので、あまり考える余地はありません。 しかし、何故か抜かれた周に、ギャラリーが異常なほど盛り上がっています。ああ、いいよねー。耐久のゴールってこうでなくっちゃ。
そんなことを考えながら、無事フィニッシュ。 ああ、俺頑張った。女王様たちも頑張ったけど、マシン整備して、いろいろ気遣って、人より多く走って、二位で走った俺も、よく頑張ったよ、と。とてもいい気分でピットに向かいました。 そしたら、女王様達からえらい勢いで怒らたのです!
「なんでブロックしなかったのよ! あと5分頑張れば、1位だったのよ!」 「せっかく頑張ったのに、全てが台無しじゃないの!」
ハァ? 何を言ってるのこの人たちは。全てが遠い世界での出来事のようです。 まじで最初は何がなんだかわかりませんでした。
しかし、バイクを降りて、リザルトを見て、全てを理解しました。
+7.154 女王様チーム。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ! (脳内で流れる音) そうです! 一位のチームは、俺が交代した直後の給油でマシントラブルを起こし、女王チームより3周ほど後退していたのです! 俺は、知らない間に最後の5分で抜かれ、逆転勝利を献上していたのです。 それどころか一位なんて眼中になかったため、全く気づかず2位のチームに気持ちよーく道を譲ってた、マナーの良い俺! しかも一回どころか三回とも全て気持ちよーくスルー! うわああああああああ! 降りてます! この瞬間に、間違いなく笑いの神が降りてますよ!
「何度もボードで後ろのチームのゼッケン番号伝えてたでしょ!」 「あんた!絶対地獄に落ちるわよ!」
女王様たちは口々に罵詈雑言を浴びせ掛けますが、もはや俺は上の空。 だって、一位になってるだなんて、誰も教えてくれなかったじゃん……。
事実、それまでの俺はパーフェクトだったと思います。 黙々と整備をこなし、パワーがないエンジンでスムーズに前走車をパスし、転倒もせず、22秒台を連発して、それはそれはチーム前進の原動力となっていたことは間違いないでしょう。 が、知らないところで起こっていた一位のチームのマシントラブルのために、何故か一躍全てを台無しにした男になってます。 いや、だいたいそんなの俺のせいじゃねーし。元々3位狙いだったのに、2位だって立派なことだろ。 っていうか「台無し君」ってなんだ。そんなあだ名を勝手につけるな。俺はそんな男じゃない。 止めろ。止めろって言ってんだろおおおおおおぉぉぉ!
と、いうことで、今回の耐久レースで学んだことは、「サインボードをきちんと作ろう」と「笑いの神様が常に俺を見守っている」ということでした。 貴重な経験ありがとう神様。あと、これをネタに一年は食えるな、と思っている自分が少し情けないです。
|
|
|