恐怖の放射性廃棄物 プルトニウム時代の終り

著者  広瀬隆
発行者 小島民雄
発行所 株式会社集英社
印刷  凸版印刷株式会社
製本  ナショナル製本協同組合

 1996年に発行された「ドイツの森番たち」のさし迫っての重要事項に対してのみ抜粋された文庫版。実は私は原書を読んでいないのでどうしてこの本に限ってそのような変則的な文庫化になったのかわからない。早急に原書と比較する必要があるかも知れない。読前の予想では、文庫化すると原書の売れ行きが下がるとか、文庫化するほど原書が売れていなかったのではないのかと勘ぐってしまう。だいたい、原書の穏やかなタイトルから一変して近年まれにみる挑発的な題名に改変された(した)ことからも怪しいのである。本文にも当然いつものように「恐怖の」という言葉がたくさんでてくる。
 さて、広瀬隆はこの本ではドイツを取材旅行しているわけだがこの人特有の広瀬隆ワールドに入り込んでいて「取材旅行ではない」などと謙遜からかなんかわからぬ発言がある。広瀬隆の中では別の次元の事柄にしたいのかも知れぬが端から見たらどう見ても取材旅行なのだから変なこと言わない方がいいと思いました。この手のレトリックは広瀬隆がよく使う手法で「私のような物書きが・・・」とか、詩人だか小説家だか彼の肩書きについて、謙遜に拍車がかかると嫌味になることが多々ある。
 内容はヨーロッパと日本を対比させてプルトニウム時代の終わりが手に取るようにわかりやすく書かれている。いつものことだが日本の対応に失望させられるばかりである。

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