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ロボット官僚の時代

[司政官全短編]読了。
http://www.tsogen.co.jp/np/detail.do?goods_id=3808
佳作。良くも悪くも日本を代表するSFだけど読まなくてもいい。
そんなことより[博物館惑星]を読みなはれ、
日本SFはアレだけでいいよもう。


かいつまむと、あらすじ通りになるんだけど。
『植民星にまつわる全ての軋轢に対応するべく
 地球連邦が出した答え、それは無数のロボットと
 たった1人の男によるワンマンアーミーならぬ
 ワンマンガバメント――[司政官]制度であった』


その司政官の苦悩を通じ、司政官制度の興亡をつづっていくお話。
 制度施行初期では連邦軍から疎まれ、
   中期では原住民(Xeno:異種人)との和解に一生を注ぎ、
     後期には入植者と原住民の軋轢でぐっだぐだ。
ハッピーエンドが1つもない、イヤな話ばかりの短編集です。
この銀河帝国の興亡に黄金期とか一切ありません。
暗黒期しかない。
無駄に文字が長い分、読了した後味の悪さがマジパネぇ。

んまあ主人公はその『司政官という制度の歴史』そのものに
あるため、司政官の方々は各時代を映す鏡っつーか
駆動させるための歯車。
苦難に遭ってナンボ、という感じあります。

そして、司政官制度が歴史として面白くなるためには、
制度改革があり、前提として
『従来の制度が失敗』しなくちゃいけないワケで…

こんなスペース渡る世間は鬼ばかり、を読まされても、なぁ……
本書の前に読んだのがパルプフィクション臭しかしない
[ゼロスの戦争ゲーム]だっただけに、もう、ね。

ただ、Xenoの描写や司政官のシステムは細部まで綺麗に
組み立てており、ソコんところは評価高いです。
植民地では最高権力者でありながらも
実際には何も出来ないトコロは、ある程度社会的に充実している
中間管理職の方々が実感している『現実』に近いと思う。
 ――作者が[インサイダーSF]という看板で強調しているとおり。

ただ、その中で延々と司政官の独白というか
愚痴が繰り返されるのがね。
なんか、ダメ人のうつ日記みたいでね、もう、ね。
  木野さんっぽく言うと
  「アギトとかうつ日記は俺一人だけでいい……」
さらに、無駄に文字が長い分、読了した後味の悪さがマジパネぇ。
無駄に。重複しますが大事なことなので何度でも言いますよ、
ええほんと。 無ッ駄ッにッ、長い。話がッ!

魅力的なアイテムはあるものの、
読者を牽引するだけの文力が少々薄いように思えました。
アイテムで牽引していくのか、物語で牽引していくのか、
微妙にどっちつかずな感じを覚えた次第。


もうちょい読者に、主人公が[司政官制度の歴史]であることを
わかりやすく伝えられたんじゃねえのかなぁー? と。
まだ作者が生きてるんだから、ソコはやらせろよ。
爆星が[Xeelee Sequence species](ジーリー・クロニクル)で
本書と同様シリーズモノの短編集を上手に再編して
クロニクルと呼ぶに相応しい代物へ仕立て直したトコ
見てるだけに、司政官全短編は手抜き感を覚えました。

んまあ、上記の手抜き感や無駄に長い文字をさっぴいても、
司政官全短編は興味深いアイテム(司政官制度、Xeno学)が
拾えます。読んだら損するけど、ここから得られるものは
なにがしらあるんじゃないのかなぁーっと。

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