
4.私の状況説明と、私の思い
長い文章が続いてしまいました。読んで下って、ありがとう。 どうぞ、最後まで目を通してくださいね。
今までは、一部私の説明も入れましたが、なるべく事実だけを書いてきました。 今回は私の状況説明と、私の思いについて書こうと思います。
まず、状況説明から 現在、私はフリーとして仕事をしています。 事務所には所属していませんが、「希楽星」という事務所の社長とマネージャーに、マネージメントをお願いしています。(業界では「預かり」といいます) 仕事依頼は、以前からのつながりのある仕事先であれば、担当マネージャーに直接連絡が入ります。 初めての制作会社の方は、日本俳優連盟(通称「日俳連」。声優の大多数が登録している)経由か、あるいは以前の所属事務所、またはインターネットの検索から「Angel Voice」経由で連絡がはいることもあります。 この数年でも初めて仕事をした制作会社、出版社はいくつもあります。 老舗の制作会社に「連絡方法がわからなかった」と言われたことはありません。
通常のやり方で簡単に連絡がつくのに、 音響監督はなぜ自宅に連絡をしようとしたのでしょうか? 他の声優は、事務所連絡だったそうです。(当然ですが) また声優個人の電話番号を所属事務所が電話で教えることは、あり得ません。 たとえ関係者と名乗っても。
私は最近、アニメに出演することはあまりありませんが、仕事を始めてから、ほとんどレギュラー番組が途切れたことはありませんでした。 「引退したという噂を聞いた」と、他人に言われたこともありません。 声優仲間に「冴子は引退したと言われたの」と話しても、「そんな馬鹿な!」と驚かれます。
次に、富野総監督と音響監督が連絡して下った、私の自宅電話番号とされるものについて。 お二人が話してくださった留守番電話は、それぞれタイプ(録音の可否)が違います。 けれど私の自宅の電話は、お二人が連絡をしてくださったという時期、留守番電話を使っていませんでした。 これはADSLの関係で、時折、通話中に雑音が混じるようになり、留守番電話に録音されたメッセージが、雑音で聞き取りにくくなる可能性があったためです。 留守番電話を使用していなかったことは、親族、友人、知人が証明してくれます。 留守の際は、急ぎの連絡であれば、知人は携帯電話に掛けなおしてくれていました。 家にいるときは、携帯よりも自宅の電話を、毎日、数回使っていました。 回線に障害があって繋がらなかった、などということはありません。 また、私は外出することも多いけれど、毎日ではないし、早朝から深夜までということもありません。 外出ばかりしていては飼い猫が可哀想ですから。 もちろん旅行にも行きません。 同居している家族がいるので、何日も電話にでないことはありません。
富野総監督と音響監督がかけたと仰る電話番号は、現在はお二人とも紛失しており、確認することができませんでした。 しかし、上に書いた私の状況から、島津冴子の自宅電話番号ではなかったと言えます。
私が以前「納得がいかない」「理解できない」と書いたのは、
- 音響監督が通常の連絡方法を取らず、個人自宅連絡にこだわった理由。
- 音響監督が調べずに「冴子は引退した」ときめつけたこと。
- 留守番電話のこと。
以上のことがあったからです。 この3点について、考えれば考えるほど私には 「音響監督は私に連絡をつけたくなかった」 としか思えないのです。
富野総監督が変更するつもりのなかったフォウ役を、変更せざるを得なくなったのは、音響監督の「島津は引退した」「連絡が取れない」という二つの発言が原因でした。 富野総監督が「音響監督にだまされた」と私に仰ったのは、音響監督の言ったことが、事実とは違うとわかったからです。 (雑誌記事にある関係者については、私は存じません)
以下に私の「Z」に対する思いをつづります。
「Z」のTV版収録時は、絵がほとんど無い「白みに線画」状態でした。 またシリーズ物ではよくあることなのですが、役の生い立ちや性格について説明は受けても、どのように物語が展開し、結末がどうなるか?については知らされていませんでした。 私は放送を見てはじめてフォウの髪の毛の色を知り、状況によって目が光ることを知りました。 出演話数も飛び飛びの10回足らず。 ですから、あまり重要な役として描かれている感じはしませんでした。 ところが翌年の徳間書店の月刊誌「アニメージュ」アニメ・グランプリの人気投票で、キャラクター賞の1位をフォウが受賞したのです。 それほどファンの皆さんの心に強く残るキャラクターなっていたということを、私はその時、知りました。 その後、ゲームで何度もフォウ役として出演させていただきましたが、これらのゲームの場合は演じるというより「台詞を言う」という表現の方が当てはまります。 自分の役の台詞だけが箇条書きになった原稿には、物語も感情も前後の会話も書かれていません。 TV版の台詞が、オリジナルの状況とは全く違う場面にはめ込まれていたりします。 私は役を演じるとは「心を表現すること」と思っていますが、フォウの登場するゲームでは、「原作の台詞を言う」ことが重要で、表現するべき心は書かれていませんでした。 私には、それがつらかった。 しかしゲーム出演をきっかけに、参考資料として過去のテレビシリーズの抜粋を見るたび、「もう一度フォウを物語の中で演じたい」と強く思うようになったのです。 このホームページのBBSやファンクラブを通して、ファンの皆さんのフォウに対するかわらぬ熱い思いを知ったことも、大きな要因でした。
そして聞こえてきた映画化の噂。 2003年春に富野監督に久しぶりにお会いした際 「良いことがあるよ、連絡が行くから待っていなさい」 と、富野総監督が話して下さったのは、この事だったのだろう・・・と、とても嬉しく思いました。
フォウをもう一度演じることができる! 劇場版ならTVシリーズのときよりずっと良い状態で。 あの大先輩たちの中で刺激を受けながら芝居ができる。 以前はわからなかったものが、今ならもっともっと見えるだろう。 感じとることも、表現することも、今の私だからこそできるものがあるはず。 あのフォウの苦しみや悲しみを、そしてカミーユとの出会いで感じた想いを、以前より深く表現したい!もう一度フォウの心を表現したい!
私はそう思っていました。ですから今、とても悲しいのです。 私がフォウを演じる機会は、もう永遠に失われてしまったのでしょうか?
私の演じたフォウを愛してくださるファンの皆さん、20年という長い年月、想い続けてくださって、ありがとうございます。
そして、多くのアニメファンの皆さん、声優はキャラクターに「声をあてる」のではなく、「心を表現する」のです。 そこには大きな違いがあるということを、どうぞ感じてください。
最後に、今回、富野総監督より 「“永遠のフォウ”は島津冴子である」 と言っていただいたことを、皆さんにご報告します。
長い文章を読んでくださって、どうもありがとう!
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