鷹山が出先から戻った時、TOPの応接室に電気がついていた。
首を捻りつつ、ドアに近づくと、聞き慣れた声が聞こえている。
だが、生の声ではなく、何かを通した録音の声だった。
「ユージ?」
「あー、タカ、お帰りー」
振り向きもせず、大下はソファーから手を振る。
鷹山が覗き込むと、大下はポータブルDVDで、ドラマを見ていた。
その小さめな画面には、見慣れた顔があった。
「これ、龍じゃん」
「んー、二時間ドラマなんだよ。コウからダビってもらった」
「お前、龍のファン?」
「コウは全部持ってるぜ?」
「そりゃ、身内だからだよ」
言いつつも、大下の視線はその画面から動いてなかった。
鷹山も、いつの間にか隣に座り、一緒に画面を見ていた。
ストーリーは、簡単なもので、芸能界にいる女帝。
彼女の横暴に耐えられなくなったある人間が、一人の男に愚痴る。
その男は、彼女が、老いて行く自分を認めない事から、その現実を突きつける、という話だった。
『あり得ないわ・・・。皆が、そんな目で私を見ていたなんて・・・』
『気付けば、後は貴方次第だ』
『貴方・・・、私にこんな残酷な光景を見せて・・・、何様のつもりなのっ』
『僕は・・・、輝きを持たない人間には声もかけない。まだ、貴方は輝く事が出来る。その為の手伝いをしているだけなんだ』
『私が、まだ輝ける・・・?』
『そう・・・。貴方は、まだ大丈夫・・・』
そして、最後に決め台詞があった。
『That's your Truth!!』
それが真実だ、との意味合い。
大下と鷹山は顔を見合わせた。
「確かさ。俺、聞いた事があるんだけど」
大下は画面を閉じると、鷹山に言った。
「何を」
「この作品のプロデューサーの話」
「ふーん。なんて」
「龍君とは、随分雰囲気が違う役だけどねぇ」
「・・・・・・・・・・・」
二人とも、思わず呟いていた。
「「Is it true?」」