薫さんが、チョコレートの大量買いをしていた。
「カオルさん?」
「あらぁ、コウちやんー。ちょうどいいわぁ、これ持って」
どさっと持たされたチョコレートの束に、少し足を踏ん張った。
篭をどうして持って来ないんだろ、この人・・・。
俺は、そのチョコの束を持って歩いて、篭へと入れた。
両手で抱えていた重量が片手に掛かる。
「うは、重・・・」
「ごめんね、もうちょっと欲しいんだ」
と、さらに篭にさっきの量の半分を突っ込んで来た。
「うわっ」
さらに重量がかかる。しまった、カートを持ってくればよかったかも・・・。
「こ、こんなに何をするんですか」
「ん? ケーキ作るの。クリスマス用の」
「ケー・・・・」
「皆の分だから、ある程度ないとねー」
薫さんの料理の腕は知ってるんだ・・・。つか、皆の分だって?
次の日の仕事が出来るかどうか不安・・・。
「か、カオルさんが作るんですか?」
「うん。私と詩織ちゃんと茜ちゃん」
詩織ちゃんと茜ちゃんというのは、同じ少年課にいる女性刑事だ。
何となく、胸を撫で下ろす。
「今、ほっとしたでしょ」
やば、読まれた・・・?
「あんた、顔に結構出るんだよねぇ・・・。ポーカーフェイス、龍に習った方がいいよ?」
「・・・・はい・・・・」
俺はがっくりと肩を落とした。
旦那にタイトルを振ったら、これを言われたんで、作ってみたり。
卓 2006.12.09-23:48 Edit
カオルさんだけなら、って誰もがゾッとすると思うんですけど(苦笑)。