「かまいたちの夜ってゲーム、知ってます?」
「はい?」
唐突な亀山の台詞に、杉下は一瞬動きを止めた。
「いえ、殺人事件が起きるゲームで、推理アドベンチャーなんですよー。これが結構、楽しくて」
「そうですか」
杉下は、手元の小説へと視線を戻した。
「テレビゲームって、やったことないでしょ」
「そうですねぇ。僕の時代には、まだなかったですね」
「じゃあ、何してたんですか?」
「暇でしたから、真空管でラジオとか作成してましたね」
「ああ、秋葉原で見たなぁ」
「トランジスタラジオとか。ゼロから作成するのは好きでしたよ」
「細かい作業だ・・・」
亀山は、ふと思いついて、次の日ゲーム機ごと、杉下に渡した。
「かまいたちの夜。やってみてくださいよ」
「・・・持って来ますか、普通・・・」
「まあまあ」
怪訝そうな顔をしつつ、しっかり持って返ったのを確認した、次の日の朝。
その袋はまた亀山の手元に戻って来た。
「右京さん?」
「面白くありません。チャートが確認出来るではないですか。これでは、金のしおりにするのにそう時間がかかりませんね。これなら、一番最初のかまいたちの夜の方が難しかったですよ、金のしおりにするのに。地下の迷路を何度通らされたことか・・・」
「右京さん、やったことありますね」
「!」
一瞬の沈黙の後。
「まあ、シャーロックホームズ伯爵令嬢誘拐事件に比べれば、面白かったですね」
「右京さん、知ってますね・・・」
「!」
またもや一瞬の沈黙。
「・・・と、たまきさんが言ってましたよ」
真剣な視線を返す杉下に、亀山ははいはい、とその場を流してゲームを受け取った。
ギャグ、ですからーーーーー。
右京さん、こんな人じゃないですからーーーーー。
石投げないでくださーい・・・・。
白山羊 2006.12.10-21:17 Edit
笑ったです
情景が、目に浮かぶ様でございます
冷静に目を背け、興味なさそうに見せて、実は楽しんでいる……あのお方らしいです(笑)