NSMの兄弟好きな人はどぞ。
とある事件で、功が龍を庇って撃たれた。
その後の龍の荒れっぷりは大変だったと、巻き添え食った山県から、功は聞いた。
病室で気付くと、一人だったのは、龍が前線に突っ込んでいたから。
功の事となると、正直歯止めが効かないのは、昔から変わっていない、と功は呟いた。
鳩村が功を見舞っていた時に、龍がやって来た。
彼だけ、病院に言ってこっそり裏から入れる様にしてもらっている。
「どうだ、痛くないか?」
「平気だよ。全く、兄貴は芸能人だって自覚持ってくれよ。今回はまだ良かったけど、怪我したらどうするんだよ」
しかめ面する功に、龍も同じ様な表情を返した。
「お前だって、俺の目の前であんな事を。庇うにしたって、やり方があるじゃないか。命をそのまま投げ出す様なことするな」
「間に合わなかったんだよ、ああするよりさ」
「だから、俺は刑事なんて商売辞めて欲しいんだよ」
少し語気を強めた龍の言葉に、功はきっと睨み返す。
「やめない」
「功っ」
「兄貴は、昔言ったよな。俺は、命張って、演じるんだって。演じる事で、色んな人を幸せにしたいって。俺だって同じだよ。命張って、皆を守りたい。皆の笑顔を守りたい」
「俺は、お前だけを守りたいんだ。他の人はどうでもいい、お前を・・・」
龍の言葉に、功は首を振った。
「逆の立場だったら、俺も兄貴を止めてると思う。分かるよ、俺にとっても、兄貴はたった一人の兄貴だ。けど、今の俺から刑事取ったら、俺の人生は空虚なものになる」
功は、そう言うと、鳩村の方を見た。
鳩村は、ずっと黙って二人のやりとりを聞いていた。眼をつぶって。
「だから、やめたくない。俺のために。兄貴だって、役者、辞めたくないだろ」
龍は、本当に重いため息をついた。
すると、まるでそれが合図であったかの様に、鳩村が口を開いた。
「お前ら、似た者同士だ」
椅子に腰掛けたまま、手を組んで上にあげ、背伸びをしつつ、鳩村は続ける。
「頑固で、お互いを思い遣って、心配して。ほんと、血を分けた兄弟ってすぐ分かるよ、顔はあまり似てなくてもな」
手を下ろした勢いで、横に座っている龍の背中を思い切り平手打ちした。その衝撃で、龍が咳き込んだ。
「鳩村っ」
「だから、お前も、コウの気持ちが痛いほど分かるんだろ?」
龍はその言葉に、鳩村を睨みつける。鳩村の方は、そんな視線も我関せずとばかりに、スルーしている。
「コウ、いい兄貴もってるよな」
そういうと、鳩村は立ち上がってドアへと向かった。
「ハトさん?」
「しばらく兄弟喧嘩してろ。折角だからな。俺は帰るよー」
鳩村がいなくなった病室で、二人は久々の昔話で盛り上がった。
結局喧嘩はなし崩し。
いつもこんな感じで喧嘩は終わるのだ。