「っとととと」
うずたかく積まれたファイルを抱えて、よたよたと廊下を歩く。
小鳥遊班一番の若手なので、雑用は立花の仕事。
何も事件のない平和な日の、こんな雑用は、気分的にも浮かれてくる。
確実に、定時に帰れるからだ。
「あら、コウちゃん」
「あ、カオルさん」
「なーに、また雑用?」
「今日は暇ですからね。皆ものびのびしてますよぉ」
「デスクワーク嫌いだらけなのに、のびのび?」
「班長いないんですよ。課長も公休」
「現金な奴らだねぇ・・・」
真山はため息をついた。
と、その視線が、立花の背後へと投げかけられた。
「ちょいとそこ行くお兄さん」
「・・・カオル?」
途端に眉間にしわを寄せたのは、山県。
「ちょっと持ってやってもいいじゃないの」
「んなこと、俺は新入りの時にやって来てるんだよ」
「だからって、この量はないでしょー?」
真山は言うが早く、立花の手元にあるファイルから1/3、どさっと山県の手の中に移した。
「ほらっ、持って行く!!」
「・・・はい」
山県はすごすごとファイルを手に、部屋へと引き返して行った。
「はぁ・・・」
立花はその様子を見て、感嘆のため息を吐いた。
「何で、そんなにあっさりと大将とか鷹山さんたちのたずなを取れるんですか」
「気合いよ、気合い。動物と向き合うのと一緒」
「どうぶつ・・・・」
立花は苦笑いをする。
「男なんて、皆オオカミよ。違う? コウちゃん?」
そう言うと、真山は立花の頬を指でつつっとなぞった。
その感触に、思わず持っているファイルを落としそうになり、慌てて持ち直した。
「もうっ、カオルさんっ!!」
セクハラ女王・カオルw