第18回 1991年5月12日

【研究発表】「待遇表現法における関西共通語化の現状」

【発表者】中井 精一

【要旨】近畿地方中央部(大阪府・京都府・奈良県の平坦部)74地点において若年層女性に行った待遇表現に関する調査資料をもとに、この地域では、言語それ自体の起こす内的な変化と、通勤圏の拡大、地域社会の変質等の外的影響により周辺地域と共通した形式、すなわち大阪型待遇表現形式(ハル=統合化現象・イ段接続・進行形のテ、ヤル)がひろがってきている。この形式の変容に関しては、各地域に独自に存在する言語環境に影響され、全ての地域が一様に、また、急速に進行するとは考えれず、今しばらくは一進一退を続けるが、やがて関西中央部で勢力をもつ大阪型に漸次変化し、統一されていくものと考えられる。
<関連文献>
中井 精一 (1991.5) 「待遇表現法における関西共通語化の現状」 『日本方言研究会 第52回研究発表原稿集』
中井 精一 (1992.3) 「関西共通語の現状」 『阪大日本語研究』4 (大阪大学日本学科)


−(C) 変異理論研究会