項目名 | 魔天楼 |
読み | まてんろう |
分類 | SF小説 |
作者 | |
公的データ | |
感想文等 | ここでの犬神明は、やはりそんなにキャラクターが変貌している感じはない。ジュディ・ギャザラやガブリエル・ドーソンという「お弟子さん」ができたりしても、別に講演会をやったり(笑)するわけでもないし、荒っぽい場面になると生き生きしたりして、相変わらずの狼男だ。 それでも、悪霊憑きに対して「光を入れ」たりするシーンは今読み返すと犬神明には合わない部分のような気はしないでもない。マイク・ブローニングなりに任せてしまえればよかったのかもしれない。しかし、これがあればこそ「センセイ・イヌカミ」につながり、そして第3部での「造反」と後の「幻魔大戦」にも繋がるテーマが浮き上がってくるわけか。とはいえ、第3部で中絶したままの「人狼天使」がどう進んでいったかは、もはや知るよしはないのだろう。 ジュディ・ギャザラ、ガブリエル・ドーソン、ロディ・イエイツ、ダニエル・ルート、ディヴィッド・ファーマー、“ステラ”と、犬神明にとってそれまでになく長期的かつ密接な繋がりを持つ仲間(?)が次々と登場し、確かに新シリーズが始まったのだと感じさせる。このまま「人狼天使」シリーズが進んで行っていたなら、はたしてどうなっていたのだろう。 “ステラ”については、「ボヘミアンガラス・ストリート」で同様に黒衣の姿で登場した人との関連は全然ないのだろうか? これはかなり気になっていたのだが。 さて、どうでもいいことだが、この部のラスト近く、マイク・ブローニングを救出する際のウルフのセリフ、「ミスタ・リヴィングストンとお見受けしたが?」が何のことだか、読んだ当時の中学だか高校だかの自分には全然分からなかった(笑)。マイクの名字はブローニングだし、そもそもミスタじゃないだろうと「?」と思っていたものである。「若い読者に、当然の共通認識のはずのことが通じない」と「今の若い者は」式に言われるが、なあに、やっぱり或る程度はパピレス時代からのことに決まっている(笑)。(おっぺ) |