項目名 | 花売り少女と白い粉 |
読み | はなうりしょうじょとしろいこな |
分類 | 特撮 |
作者 | |
公的データ | |
感想文等 | 「白い粉」というのは麻薬のことで、刑事物ではしょっちゅう出て来る『アイテム』だが、ヒーロー物で正面切って出て来るのはレアケースではないのか。 三十分番組に収めてあるが、かなり陰惨な話だ。 身寄りのない少女が引き取られたのは紅蜘蛛というギャングの下であり、少女は紅蜘蛛に言われるままに寒空の中、花売りをする。 「お花は要りませんか、マッチはいかがですか」 しかし、符牒を言ってくる相手に渡す花とマッチの中には、白い粉が隠されているのだ。少女は紅蜘蛛に、麻薬密売人として利用されている。だが、少女自身は紅蜘蛛を親切な「優しい紅蜘蛛のおじちゃん」と慕っている。仕事まで厳しくきちんと教えてくれていると、そんなふうに思っているのだ。 早川健は少女を助けようとするのだが、逆に不審の目で見られ、拒絶される。また、早川の友人であり、警視庁の敏腕刑事である東条は、麻薬に因って廃人となった人々を早川に見せ、たとえ子供でも麻薬を売った罪は揺るがせにできないと捕縛の意志を示す。 早川の見る、麻薬のために精神を崩壊させた人々の姿は強烈だ。「子供たちの憧れだったプロ野球の名選手」が廃人と化し、ふらふらと素振りめいたことを繰り返しているところなど、記憶回路に貼りついてしまいそうだ。 「怪奇大作戦」なら、最初からアダルト指向なんだからと思えるのだが、「ズバット」の画面で、「Gメン」さながらの絵を見せられるとは驚いてしまう。「太陽にほえろ!」でも、こういう描写はあまりなかったのではないか。 早川は少女を救うために孤独な戦いに挑む…… 快傑ズバットが現れるからヒーロー物になるのだが、それは「桃太郎侍」とか「大江戸捜査網」のように、最後の大活劇のためのスタイルでしかなく、親友・飛鳥五郎を殺した犯人を追い求める復讐者であり、しかし、出会う人々や事件に対し、心身から血を流しながら関わっていってしまう早川健という男の物語として、このドラマは成立してもいるのだ。 宮内洋がまだまだ現役のうちに、一度リメイクしてみてほしいくらいなのだが……(おっぺ) |