語る「万華鏡」

(「主水、コールガールの仇を討つ」に書き足す)

主水、コールガールの仇を討つ(もんどこーるがーるのあだをうつ)

項目名主水、コールガールの仇を討つ
読みもんどこーるがーるのあだをうつ
分類必殺シリーズ

作者
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  • 公的データ
  • 必殺仕事人V旋風編」の一編。(おっぺ)
  • 第8話。
    幼くして身売りした女おむらが1本の小さな苗木に託した夢は。女郎上がりの女に生き甲斐を与えた男の愛、そして裏切り。
    脚本:安倍徹郎  監督:水川淳三
    【キャスト】
    中村主水/藤田まこと 鍛冶屋の政/村上弘明 夜鶴の銀平/出門英 便利屋お玉/かとうかずこ 西順之助/ひかる一平 おむら/千野弘美 鎌吉/河原さぶ
  • 感想文等
  •  「旋風編」の中で唯一ビデオに録画してあるのが(あ、最終回は別。「記念に」ってだけで録ってあるもんで、位置づけが全く違う)「主水、コールガールの仇を討つ」。
     唯一、見ている最中、「あ……」と思うときがあって、それで、記録しておいたのです。
     で、時々見直す機会があるのですが――これ、話としてはよくできてる方だと思うんですよ。「見事!」というほどではないけれど、若干パターン破りのところもあって、女(被害者)の直接の死の原因が悪党そのものというより、被害者(男)であるということとか。
     そして、女が死んだ後、彼女の「樹」のところでしみじみと、
     「こんな馬鹿げた話があるかい……」
     と述懐する主水が、何か久々に感情をにじみ出させている。ここのシーン故に、実はどうしても録っておきたくなったものなのです。「ビジネス」として何の感情
    らしいものも見せずにただ淡々と殺していく、それが仕掛人とか商売人の世界の中でなら「渋い」ものだったのですが、「新・仕事人」以降では「惰性」にしか感じ
    られない。「怒るほどのレベルの敵じゃない」ことが原因で「怒ってない」仕事人達が、まさしく「仕事」としてのみ殺していく。そのせいかな、とも思いますが。
     話を戻して、この回の話は、脚本的には決して駄作ではないはずです。おお、確かめてみると安部徹郎ではないか。いつの間に復帰していたのだ、安部徹郎。
     にもかかわらず、「名品」というには難があるようです。他の手を止めて思わず画面に見入ってしうという緊迫感なり充実感なりはほとんどありません。残念なが
    ら。
     これはどうも、ゲストというか、役者というかが、どうにも「ゲストとしての役目」をきちんと果たせていない、ということのような気がします。
     女の方はまだいいんですが、男の方。坂西良太さんという人が、一体役者としてどういう位置にいる人なのか、有名なのか無名なのか、私は寡聞にして知りません
    が、もしこの人がかつてのゲスト達のように、こちらを巻き込む芝居をしていてくれれば――全く違った印象だったのではないか、とも思います。(本人や関係者等
    が読んだら怒るな、これ。)
     つまりは――「後期必殺」が「つまらない」というのは、ゲストたる役者が「がんばらなくなった」からではないか? 前はたぶん、「必殺に出る」というのはス
    ゴイことだったのでは? だから、さあ必殺だとなると、「がんばった芝居」をしていた。
     けれど、後期になってくると、必殺も「普通」となり……別に「特にがんばる」必要もなくなったのではないのか。
     あるいは、ゲストを「がんばらせる」状態に必殺がなれていなかった。
     単純に、ゲストの役者としての力量不足ということかもしれません。だいたい、悪人どもにしても、使い回しばかりで、あ、またタンゲダンペイだ、あ、また白影
    さんだ、とおなじみのになってしまって、インパクトの造りようがなくなってしまった。これは藤岡重慶牧冬吉が悪いと言っているのではない。役者の「がんば
    る」気を引き出させる状態に必殺がなっていなかった可能性だけを言っています。
     そしてこれは、スタッフを責めているわけでもなく、まさしく「時代の状況」だったのだろうとは思います。
     かつての必殺をあそこまで充実させていたのは、主役達のおかげばかりではなく、ゲスト(被害者や悪人)がいい芝居をしてくれていたからこそなのだと思っているわけです。
     脚本家がどんなによい本を書いても、演じる側が力量をきちんと見せてくれないと、名品には決してなれない。
     いくつか、もったいないのが他にもあるような気はします。(おっぺ)
  • 作者
  • 作家・監督等
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