語る「万華鏡」

(検屍官)

検屍官(けんしかん)

項目名検屍官
読みけんしかん
分類ミステリ小説

作者
  • パトリシア・コーンウェル
  • 公的データ
  • 1990年、サイコスリラーブームのさなかにセンセーショナルなデビューを飾ったパトリシア・コーンウェルのシリーズ第1作。検屍官ケイ・スカーペッタが連続殺人事件の犯人に迫る。犯行動機から犯人をたどる怨恨殺人とは異なり、連続殺人事件通り魔的で、犯人像が推理しにくいのが特徴である。偏執狂的な死体が唯一の手掛かりとして残され、ケイの検屍分析が事件解決のかなめとなる。
    ドクター・スカーペッタと呼ばれる彼女は、事件にかかわる登場人物たちの中でも地位が高く、たたき上げの刑事たちなど足元にも及ばない知性派キャリアである。男たちのやっかみと闘争心は、ときに彼女の失脚を狙う陰謀と化す。誰を信じればいいのか。孤独の中で自らの頭脳だけが最後まで頼れる武器となる。

    事件解決にかかわる人物の中でも検屍局長というキャリアのトップの座にいるケイの硬質の推理は、いかにもかっこいい。長年の経験と勘に頼る刑事マリーノの泥臭さとは好対照をなす。相容れない2人は反発しあいながらも、けっきょくは事件解決のために互いを認めていかざるを得ない。このあたりに人間臭さが漂い、物語を俄然おもしろいものにしている。

    一方、童話作家としての地歩を築きながらも男性関係に奔放なケイの妹の存在も悩みの種。妹の一人娘ルーシーとの関係がケイのプライベートな生活を映すの役割を果たしている。

    硬質な推理劇と悩ましい人生の物語が同居した読みごたえある作品。

    出版社/著者からの内容紹介
    女性検屍局長ケイ・スカーペッタ難事件に挑む!
    バージニアの州都リッチモンドに荒れ狂う連続殺人。被害者の女性たちは残虐な姿で辱められ、絞め殺されていた。被害者のあいだに関連はなく、捜査は難航、全市は震え上がっていた。美人検屍官カーペッタは、最新の技術を駆使して捜査を続けるが……。
  • 感想文等
  • ヒロインの恋人役は全然精彩が無いというのが変(笑)
    ・家庭小説でしょう。
    ・ミステリというより大河ドラマ?
  • ずーっと巷では話題になっていたはずのこのシリーズを今さらのように。いつものことです(笑)。
    読み始めるその時まで、実は一人称と思わなかった(笑)。なぜか頭から三人称と決めてかかっていて。。。そして、以前、ドン・ウィンズロウの時に言ったように、私は割りと一人称小説に弱い(笑)。

    この主人公は、ジェミー・ソマーズのように若くはないかもしれないが、ジェミーと同じように、いちいち苦しんだり悲しんだりしている。そこがやはり読み手としてはいい。そんなに有能有能しているわけでもなく、自分の手持ちのコマだけで何とか遣り繰りしている。実はこんな話だとはやはり思っていなかった。もっとキビキビした有能な女性ヒロインの話で、そこが受けているのだと思っていたのだ。

    こういう話なら、主人公たちに興味がなくなるまで、しっかり付き合うことができる。

    ミステリとしては、ルール違反といわれるかもしれないが、ナニ、犯人が「誰」かはともかく、「どういう人物」かがミステリと考えればいいだけのことなのだから、別に違反とは思わない。

    しかし、やっぱり、先にジェフリー・ディーヴァーボーン・コレクター」を読んでしまったので、どうしても鑑識的な話が出てくると点がからくなってしまうなあ(^^;)。(おっぺ)
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