| 項目名 | マグロ一皿の謎 |
| 読み | まぐろひとさらのなぞ |
| 分類 | その他 |
| 作者 | |
| 公的データ | |
| 感想文等 | ※ずーっと前に、くろけんさんのところに書いたものの再録。 EX。 ある日のことでした(以下ノンフィクション)。わたしは自宅最寄り駅近くにある回転寿司店でお寿司を食べていたわけです。そのとき、店内には他にお客はおらず、わたし一人だったのですが、やがて、一人の二十代後半から三十代のとっかかりくらいと見受けられる女性客が入ってきました。 わたしより、4,5席離れたところに座り、……ものの2,3分もしないうちに立ち上がりました。で、なんだかレジの方へ向かうわけです。おや、と思ってちょっと彼女のいた席の方を見ると、お皿が一つだけとってあって(赤かったから、マグロだと思う)、普通こういうのって、1つのお皿に2つのお寿司がのってますよね、で、マグロのお寿司が1つだけそのお皿の残ってたから、彼女は1つだけを食したのに違いない。 お店の人が声をかけます。「お手洗いですか?」 女性客は無言でレジに向かい、財布を取り出しました。この辺は僕もついつい見守ってしまっているわけです(笑)。そのまま彼女は無言を貫き、会計を済ませて出て行ってしまいました。 あとには、呆然とする店の人達と、興味深く観察していた(いやな奴だね笑)わたしとが残されたのでした。 さて。なぜこの女性は、回転寿司店に入りながら、一皿だけ、しかも1つのお寿司だけを食べて、出て行ってしまったのでしょうか。このミステリはどう解かれるのでしょう。 もちろん、さまざまな解釈は可能です。 例として考えたとき、次のような解答はどうでしょう。 「彼女は唐突に腹痛に襲われたのである。現実問題として、彼女はトイレに行きたかった。しかし、この店のトイレは不潔であり、彼女はそれを知っていたので、そこを使用することはどうしてもいやだったのだ」。 あり得ることでしょう。 しかし。 たとえば、この答えが、このミステリの正解だったとして──「面白い」でしょうか? いや、全く面白くもなんともない、と僕は思います。かりに、このお寿司やさんのお手洗いが不衛生である云々に対する伏線が張ってあったとしても、この解決に、「なるほど、論理的だ!」と拍手したくなる読者はまずいないんじゃないでしょうか。 僕が言いたいのはそういうことです。僕は、「そんなもの」読みたくないのです。ああ、なんて傲慢で居丈高なことを今日の僕は書いているのだろうか。でも本当なのです。僕はそんなミステリはミステリでもなんでもないのだ、こんなものにミステリの名を冠するんじゃない! と罵り叫びたいのです。 「あっ!?」と思わせてくれよ、「ああーっ!」と叫ばせてくれよ、その解決に、結末に。 それが僕にとっての「本格」ミステリであり、「読みたい」ミステリ小説だということなのでした。 で。 なんでこんなこと書きたくなったか、その動機は僕は言わない(笑)。 |