項目名 | 沈め技花嫁偽装返し突き |
読み | しずめわざはなよめぎそうかえしづき |
分類 | 必殺シリーズ |
作者 | |
公的データ | |
感想文等 | 「必殺仕置屋稼業」の「一筆啓上業苦が見えた」や、「新必殺仕置人」の「裏切無用」「質草無用」など、最終回以外で「このエピソードについてはぜひ語りたい!」とファンが思うような回がすぐに思い出せる。 それが、この「必殺仕事人」では鹿蔵編に主に集中しているようだ。おとわ編にも間違いなく存在しているが、六蔵編以降、一気になくなってしまう。何があるかなあ・・・とにかくタイトルをみても「あーアレ」と思い出せるのが竹光刺しくらいなんだもの(笑)。 しかし、ごく個人的に推したいエピソードが、最後の最後、最終回の1話手前に存在する。 第83話「沈め技花嫁偽装返し突き」は、やっぱりタイトルについては無視していいのだが(一応「花嫁」は存在する)、いかにもハードな仕事人らしい「人」について描いてある秀作だと、個人的には感じた回だった。 「被害者」=「依頼人」は、同じ加害者に揃って夫を殺され、遺された妻ふたりだ。彼女らは奉行所=中村主水に訴えるが取り上げられず、仕事人に依頼を出す。加代や秀が依頼内容の裏打ちをしている中、片方の依頼人の子どもが病気になるが、治療代が足りないために医者が途中で帰ってしまい、死なせてしまう。そこから・・・ このエピソードは、仕事人らしい「人」について描いてある作品だと書いた。だから、これ以上のあらすじには触れない。 ただ一つだけ書いておきたいことは――主水や、そしておそらく他の仕事人たちも、最後の最後まで、仕置きした人物のことをシンプルに「悪」と断じていただろうことだ。主水にとっては間違いなくそうだろう。 同情も憐憫も、そこには存在していない。どうしてこんなことになってしまったのか、言い訳も弁解も、泣き言も、言ういとまもなかったからだ。言う謂われも、必要も、他の何物もなかったからだ。 全て失われてしまっていたからだ。 主人公達の誰からも憐憫さえ与えられることも、それどころか、その背景についても知られることなく、ただ仕置きされていった。 ここには、そんなとても淋しい物語があった。 とても個人的に、そう・・・感じた・・・(おっぺ) |