項目名 | 夢みるモンスター!十字砲火の恋人たち |
読み | ゆめみるもんすたーじゅうじほうかのこいびとたち |
分類 | 特撮 |
作者 | |
公的データ | |
感想文等 | 振り返って心に残ったエピソードが3点。そのひとつが、このヘドグロスのエピソードだ。 この回、メタルダーにはメタルダーの側の物語がある。超人機というロボット(アンドロイド)であるメタルダーには、眠って夢を見るということがない。夢とはなんなのか……自分と人間との違いについていろいろ感じるところのあるメタルダーは考える。そんな時、敵方であるヘドグロスの攻撃で回路が損傷し、結果、夢のような幻想を見てしまう。これは……これが、夢か……? しかし、心に残るのは、主人公メタルダーのこうした葛藤めいたものよりも、敵たるヘドグロスの「夢」のほうなのだ。 ヘドグロスは、ロボットや人造怪物、独特な鎧に身を包んだ格闘家など、様々なタイプの戦闘隊を擁した、世界を牛耳るゴッドネロス軍団の一員で、グロテスクな外見と奇怪な能力を備えるモンスター軍団の一員である。しかし、その能力はさして高くないと評価され、軍団内でも蔑視されがちだ。 ヘドグロスには、だが、そんな彼には似つかわしくないと言われそうな美しい恋人がいた。名前はウィズダム。ヘドグロスには夢がある。それは、メタルダーを倒して出世を果たし、ウィズダムや彼女との間に出来た子供と楽しく幸せに過ごすことだ。 ヘドグロスは果敢にメタルダーに戦いを挑む。能力の一つであるヘドグロス・シャワーという武器が思いがけずメタルダーに有効で意外な善戦をするが、ついに敗れる。 メタルダーのレーザーアームに一刀両断され、体液を噴出させてゆっくりと倒れながら、ヘドグロスは叫ぶ。 「俺の……夢……! ウィズダム……!」 この場面がなんともいえない。 主人公のメタルダーには、相手側の事情も夢もへったくれもない。感情の交流があれば、そこにはまた別のドラマが産まれただろうが(それが例えば「もう卑怯者じゃない!」の第8話「さらばバーロック!鉄仮面の秘密」だろう)、この回ではメタルダーとヘドグロスには何の交情もなく、だから全く感傷の一片も持たずにヘドグロスを倒すメタルダーと、夢を掴もうとして敢え無く倒れて行くヘドグロスが、視聴者にとっては主人公役の逆転にも感じられるのだ。 この「メタルダー」では、確かに敵方ネロス帝国の構成員の方にスポットが当たり、エピソードの中心を占めることが多かった。そういう意味で、なかなかの野心作だったと思うのだが……。(おっぺ) |