項目名 | ドクター心の危機 |
読み | どくたーこころのきき |
分類 | SFドラマ |
作者 | |
公的データ | |
感想文等 | そのときもしかし、問題とされたのはドクターの「心」の部分だった。プログラムを初期化すれば、「肉体の危機」は回避できる。だが、それはドクターのそれまでの全ての経験、記憶を……思い出を、消滅させてしまうことでもあった。ドクターの人格、心、魂、そういったものが失われるのと等しいのではないのか……。 このときのクルー達の努力は、ドクターをなんとか「そのまま」でいさせようというものだった。プログラムは劣化し、知能は退化し、そんなドクターの「心」だけは守りたいと、ケスや他のクルーは思ったはずだ。 今度の危機は、文字通りのドクターの「心」の危機だった。倫理サブルーチンなどと言わなくてもいい。罪の意識――要は、ドクターはそれに囚われ、重いノイローゼとなり、自分を治療できなかった……いや、自分を助けたいとすら思わなかった。 だから、ジェインウェイは、ドクターからその苦悩を取り去ったのだ……だが、それでいいのだろうか。このエピソードの眼目はそれだ。 ジェインウェイの「治療」は、ドクターを相変わらずただのプログラムとしてしか考えていないが故のことではないのか。それとも、仮にドクターが人間だったとしても、その治療が「良」とされるものなのか。 ドクターの物語は、ヴォイジャーの物語の中でも、いつも特に印象的だ。それはたぶん、ヴォイジャーという緊急事態の中でも、一番緊急事態・極限状況に常に置かれているのが彼だからなのだろう。 彼は恋をし、芸術に感動し、家族を作り……けれどやはり、いつも独りきりだ。 いつまでも……(おっぺ) |