感想文等 | ウルトラマンは、バルタン星人という物凄いキャラクターを作り出したという点でとても功績があった作品だったと思うのだけど、心に残ったエピソードという点では、やっぱりこの「故郷は地球」。 これは、ジャミラという名前の怪獣がでてくるんだけど、この怪獣のデザインが何とも奇怪で、なんだか。。。ゾンビみたいなのね。 ところが、話が進んでいくと、いきなり、この怪獣の正体が判る。 アメリカから派遣されてきた科学特捜隊ニューヨーク本部のアラン隊員が、いきなり衝撃の告白をするのだ。
「諸君。。。ヤツは。。。いや、彼は。。。怪獣ではない! 彼は、我々と同じ人間だ! 地球人なんだ!」(大意)
ジャミラは、宇宙開発競争に犠牲者だった。ある国が打ち上げたロケットの乗組員だったのだ。それが、ロケットの不備で行方不明になり、しかし、そのロケットを打ち上げた国は、保身のためにこの事実を秘匿していた。そしてある日、ロケットが戻ってきたとき。。。乗組員のジャミラは奇怪な変貌を遂げていた! 水も空気も足りない過酷な環境の異星で生き抜くために、ジャミラの肉体は変容したのだ。彼は、もはや人間とは見えない、異様な怪物に成り果てていたのだ。 ジャミラは地球に戻った。。。しかし、見捨てられたことを自覚していたジャミラは、今や復讐に凝り固まり、偽善に満ちた地球平和会議を叩きつぶそうとしていたのだ。 事実を知り、呆然とする科学特捜隊極東支部の日本人隊員レギュラーメンバーたち。中でも、ふだんギャグメーカーのイデ隊員は大きなショックを受ける。彼はいきなり、武器を投げ出し叫ぶ。「俺やめた!」「イデ!?」「考えても見ろ! ジャミラは俺たちの先輩じゃないか! その彼を攻撃するのか? 殺すというのか!?」 しかし、今やジャミラは巨大化した一匹の怪獣だ。町は燃え、人々は逃げまどう。それでもイデは攻撃に参加することができない。哀しみを込めてイデは叫ぶ。「ジャミラ! おまえ! 人間らしい心は全部なくしちまったのかよ!!」 その声が、言葉の意味が伝わったのか。。。 突然ジャミラは、我に返ったように破壊を止める。呆然としたように自らが壊し、燃やした町を見渡す。。。 ウルトラマンが登場する! ウルトラマンは、手から水流を放つ。乾燥した惑星で変貌したジャミラは、今や水分に非常に弱い肉体と変わっていたのだ。水を放たれ、弱々しく、まるで赤ん坊の泣き声のような悲鳴を上げながら倒れ伏し、瀕死の虫のようにあがくジャミラ。 そして、やがてピクリとも動かなくなる。 その巨大な手には、地球科学会議の正義と平和のシンボルたる旗が握りしめられていた。。。 やがて、会議会場の近くに1つの墓標が設けられる。宇宙開発に尽くした勇士ジャミラここに眠る。。。その言葉の書かれた墓標を見ながらイデは心の中でつぶやく。 「犠牲者はいつもこうだ。言葉だけは美しいけど。。。」 そんな彼を遠くから科学特捜隊の仲間たちが呼ぶ。おーい、イデ。イデ。イデ! そして、唐突に番組は終わる。
これが、ウルトラマン「故郷は地球」の、だいたいのストーリー。記憶だけで書いているので、細かい点では思い違いやら何やらあるかもしれない。でも、大筋はとにかくこんなだった。 のちのウルトラセブンでは、こういった感じのエピソードが目白押しだったと思うのだけど、ウルトラマンではおおむね痛快活劇が旨だったはずなので、こんなテーマのはっきりしたエピソードは珍しいのではないかと思う。 ジャミラという名前は、なんだか確かに誰か実在する「犠牲者」の名前だったように思うのだけど、よく思い出せない。。。(おっぺ)
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