感想文等 | 石橋正次につきる。
子供時分は全然意識もしなかったのだが、これがまたキャストの凄い番組だったらしい。 巨大ヒーロー・アイアンキングに変身するのは浜田光夫で、この人は吉永小百合の相手役の青春スターだった人だそうだ。山口百恵と三浦友和みたいだったのだろうか。なら、つまりは三浦友和がヒーローに変身するわけだ。うむ。 だが、この番組では、ヒーロー・アイアンキングに変身するのは浜田光夫演じる霧島五郎だが、彼は主人公の片割れ、それもどちらかといえば副主人公のほうで、メイン主人公は石橋正次が演じている静弦太郎になる。こちらは変身せずに生身で戦うのだから、「仮面ライダー」で言えば滝和也の役柄だ。本来なら、こちらが当然副主人公なのだが、この「アイアンキング」は違う。 タイトルにもなっているアイアンキングは、むしろ弦太郎のサポート役のような印象で、なにしろ敵役の巨大ロボットにとどめを刺すのが弦太郎のほうだったりするのだ。 アイアンキングはウルトラマン同様、数分間しか戦えない時間制限があり、とりあえずはその数分のための「繋ぎ」という感じだ。霧島五郎は弦太郎とコンビでユニークな主人公になっているが、アイアンキング自体はデザインはともかく、あまり魅力的なヒーローでもなかったかもしれない。 アイアンキングのサポートを得て、生身で巨大ロボットを撃破していく静弦太郎役の石橋正次は当時人気の青春スターだったようなので、この番組は石橋正次・浜田光夫の二大青春スターによるヒーロー番組というわけだったのだろう。なるほど、予告編などでは毎回「……、石橋正次・浜田光夫が送る、次回『アイアンキング』第○○話、……」とか謳っている。時には両主役が掛け合いなどしながら、「こういうハチャメチャな撮影現場ですが、……」とか、役柄ではなく、あくまで俳優石橋正次・浜田光夫として視聴者に話しかけるというスタイルの予告編もあり、明らかに「(子供以外に)石橋ファン、浜田ファン」を対象とした番組作りになっていた。これは現在までも他には見られない、唯一のスタイルではないだろうか。 二人の主人公が相対する敵役も、1クールめでは先住民族、2クールめでは革命ゲリラみたいに、大人が観ると「おいおい」という感じのものになっている。 設定やキャスト、演出に対して、ドラマ部分がちょっと遠慮してしまい、今観ると面白さは不足しているかもしれないが、ユニークな作品には間違いないのだ。(おっぺ)
アイアンキングの武器は当初はキックなどの格闘技のみだった。(スブタマン)
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