語る「万華鏡」

(「歩くと星がこわれる」の一部削除)

歩くと星がこわれる(あるくとほしがこわれる)

項目名歩くと星がこわれる
読みあるくとほしがこわれる
分類文芸小説

作者
  • 森雅裕(おっぺ)
  • 公的データ
  • スマートさからほど遠かった青春の終わりに、男はただ一人愛した娘の面影を抱いてシチリアへ、伝説のロードレースに漕ぎ出す―。かたくななまでに一途な男と、無気力なほど屈託ない箱入娘。’80年代を悼む少数派恋愛小説。(おっぺ)
  • 感想文等
  • こんなに読んでいてつらくてつらくてたまらなくなる小説は久しぶりだ。。。

     作者の自叙伝的な小説だとかすかに聞いていたので、作家になる上での軋轢やら何やら、どちらかといえば第2部で「少しばかり」描かれていた部分が中心なのかな、、、と思っていて、いわば『ひとごと』として気軽に読み飛ばせるようなつもりで読み始めてしまった。。。

     ひとごととして読めば、無責任に冷酷に面白がれるし、あるいはせいぜい「同情」し、「賛同」し、あくまでも窓のとおくのこととして。。。。

     しまった、これは今さら読むのはまずかった、今さらというか、今時分読むのはまずかった、、、、と思った。
     つらくて苦しくてたまらない。長編を読む時間と気力が最近薄れてきているので、数日掛けてちょっとずつ読んでいこうかなどと思っていたのだけれど、中断はとてもできなかった。どんな形であっても決着がついてくれないことには、読んでいるこちらまでがつらくてつらくてどうしようもなくなりそうだった。ひとごとではないから。。。少なくとも、ひとごととして読み飛ばすには、あまりにやはり身近すぎることだったので、とにかく中断して放りだすにはあまりに。。。

     要するに、想像力や感性だけでは賛同や同情で終わってしまう、少なくとも私レベルの人間性はそんなものであって、自分自身がどうしようもなく経験した、あるいは今となってさえも経験した過去としていられるほど達観できていなかった、、、いや。
     これではまるで今の自分がかつて愛した人を今も同じように思い続けているかのようだ。そういう意味ではなく。。。

     裏切ること裏切られることへの、先ほどから何度も何度も同じ表現になってしまうのだけど「どうしようもない」このつらさ。
     それを追体験させられてしまうことへの――つまりはそういう、そういうつらさで。。。

     とにかく第1部が終わって、どんなに息をついたことか。

     第2部はそれこそ或る意味ひとごとで済ませることができた。。。

     これは、少なくともこの第1部は、やっぱり、追体験につながる私のあまりにもつらい過去、記憶、体験、してしまったこと、だ。

     この物語を再読する勇気はない。一度読んだのだから、耐えきれる耐えきれないではないのだが、耐えたいとはみずから進んで思うことはできない。何度読んでも、たぶん同じつらさを味わわされるだけのことだろう。逃げさせてもらうことにする。

     まったく別のことを書いて締めくくることにする。
     先に読んだ「いつまでも折にふれて」のひとことコメントとして、このタイトルが歌の題名として何度か作中に登場したが、個人的にはラスト近くでのヒロインのセリフの中にさりげなくぽつんと出てきたあの一ヶ所だけの方がよかった。。。などと無い物ねだりなことを感じた、とひとさまへのメールに書いた。
     今回は、この「歩くと星がこわれる」というタイトルのことを、動けば、行動すれば、一途に必死に生きれば、それは何か大切なものをただ哀しく壊していってしまう。。。というような意味なのかなと思いながら読み始めて。。。そして、第2部に入って彼女のセリフ、会話の中であらわれてきたこのタイトルのことで、ああ、、、、と思う部分があった。

     第1部の後遺症で、立ち直れていないので、感動とかそういうことではなかったのだけど。

     二度とは読み返せないだろうけれど、もしかしたらこれ以上はなく心や記憶に残る小説だったのかもしれないと。。。思う。つらくて、苦しかったけど。(おっぺ)
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