| 感想文等 | 里美が主役だし、タイトルもこれだから、とりあえず過大な期待(御手洗物の新作を読むときのような)はしないで読み始めた。 里美というキャラクターには毀誉褒貶あるようだが、これまでの作品の中で正直言ってあまり印象強く読んで来ていなかった。つまり、特に好きでもないし、嫌いでもない。 しかし、この作品の里美を読んで、かなり印象は上昇した……文字通り、上向きに。 正義感とか、そういう面だけのことより、殺されそうになって「もうしませんから許して」「なんでもするから殺さないで」と泣きながら懇願してしまう、当たり前さが――そして、それなのに「見逃せ」と言われて「できない」と返してしまう……このかたくなさ。 自分を無力だと思い、諦め、嘆き……けれど、抵抗せずにはいられない。 死にたくない、なんでもするから殺さないで、もうしませんから許して下さい、とひいひい泣きながら、自分の突き止めた犯人に泣いて懇願する主人公がどこにいただろう。しかも、それでもなお、やはり…… 島田荘司ならでは、のものではないのかと思う。 ミステリの形としては、読んでいて不思議と高木彬光を思い出したが、直接連想を誘うものはなかったはずだ。 「食べた」には呆然だが、なるほど伏線だけは張ってあった。バカミスには違いないし、必然性が胸落ちしないが、まあいいや(笑)。 里美はどうやら本当に石岡のことを異性として好きらしい。今後どうなるかは、全くわからないのだが。(おっぺ)
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