感想文等 | 最初から常にオメダはカースケの生き方に憬れていた。自分にはできないことを、平然と、大胆に、自信ありげにやり切ってしまう。 「俺はダメだ」 とオメダは言う。そして思う。(カースケはすごい) これは不良に憧れる心理と大差なく見える。だが、オメダがカースケに魅かれるのは、カースケが喚く言葉に、意外性と情熱を感じるからだろう。リメイク版のカースケに絶対的に欠けていたのが、背負った体験や、そこから噛み締め考えてきた、こうした「カースケの思い」というものだったはずだ。オメダのカースケへの憧憬を「レールから踏み出せない真面目型が、束縛から解き放たれた気儘な自由人(或いは「不良」)に憧れる」という類型で捉えたなら、それは間違いなく、不正解だ。 カースケは実のところ、オメダが思考停止してしまう部分より先のこと、奥のことを考えている。そして、選択しながら生きている。 その考えや選択が、オメダの限界を越えたとき、オメダはカースケと袂を分かとうとするしかない。 「おまえはいい加減なんだよ! いい加減なんだよ! いい加減だ!!」 感情が振り切れ、涙を絞りながら弾劾せずにはいられない。 オメダが出て行くと聞いて、ワカメも泣く。 「僕は、あなた達のおかげで、人生は勉強ばかりじゃないって、知ったんです。あなた達のおかげで、世の中には信じられる人もいるって、知ったんです。あなた達のおかげで、人生は素晴らしいものだって、知ったんです。そのあんた達が別れるって、俺どうしたらいいの……」 これは十年が過ぎてからもワカメが言い続けていた言葉だ。ワカメにとって、カースケやオメダはそういう存在であり得た。 そしてオメダにとってもカースケは…… だから――。 「おまえはおまえでいいよ……俺は俺だよ……今まで通りでいいじゃないか……今まで通りで行こうよ……ね」 それからのちも、何度もオメダはカースケに反発し、腹を立てたり、呆れたり、してはいくのだが……(おっぺ)
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