語る「万華鏡」

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俺たちの旅 二十年目の選択(おれたちのたびにじゅうねんめのせんたく)

項目名俺たちの旅 二十年目の選択
読みおれたちのたびにじゅうねんめのせんたく
分類青春ドラマ

作者
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  • 公的データ
  • 隠岐で再会してからさらに十年。40十代になった彼らは、それぞれの人生を歩んでいた。
    カースケは仕事で知り合った聡子と結婚。聡子の実家の会社を再建し、社長に就任したものの、自由のない生活にうんざり。グズ六は人材派遣会社を経営しているが、浮気が原因で紀子とは別居中。オメダは鳥取で造り酒屋を営み、市長選への出馬準備で忙しい日々を送っていた。
    そんな彼らのもとにワカメから手紙が届く。身延で旅館を始めるので最初の客として招待したいというのだ。ひさしぶりに集まることになった彼らだが…。
  • →「俺たちの旅
  • 感想文等
  • 「十年目の再会」は、昔とは変わってしまったことは多いけれど、昔みたいにやってみてもいいじゃないか……という部分があった。
     まだ、みんな――3人とも三十代だったのだ。カースケは結婚もしていなかったし、十年前の延長に近かった。グズ六紀子さんもまだまだ十分仲良くやっていた。
     オメダもそしてオメダをやっていた。
     しかし、それからさらに十年が経ち、四十代に入っているこの時代――。
     カースケは結婚し、さすがに大人として振舞うことを身につけていた。なにしろ子供がいるのだ。「劇画オバQ」ではないが、子供がいる人間が子供のままではいられない。
     だから、カースケが「変わった」としても、それはグズ六洋子が言うように「奥さんに対しておどおどしている」とかではないのだ。
     「昔の津村くん、もっと堂々としてた!」という洋子の思い入れは、やはり懐古だろうと思う。カースケはそんな立派な人間ではなかった(笑)。そして、今のカースケが堂々としていないわけでもないのだ。ただ、大人として振る舞うことにも熟達した、自然にそうなった。それだけのことだ。
     グズ六も彼本人はそんなに変わったようではない。しかし、十年前幼女だった娘は一人前の少女になり、紀子さんは普通に現実派にシフトしてきた。そして、十年前グズ六が会ったワカメは軽薄さよりも純朴さを見せていたが、今回のワカメは十年前の良き理解者に見えていた奥さんと別れ、コギャルめいた若い娘と再婚して浮かれ騒ぐバカさ加減だけを目立たせている。
     グズ六はそんな中で、かなり疲れて見えてはいた。
     オメダは市長になっているので、もはやオメダではなく、あまり本筋にも絡んでいない。
     そんなふうに、十年前と比べてもかなり「しんどい」二十年目は、とりあえずみんな苦闘しているなあという二十年目だった。いくつになっても、「経験豊富だから大丈夫」なんてことには決してならない。
     そう、だから「誰だって人生の一年生、初体験」なのだ。生きるすべてが……(おっぺ)
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