感想文等 | 「十年目の再会」は、昔とは変わってしまったことは多いけれど、昔みたいにやってみてもいいじゃないか……という部分があった。 まだ、みんな――3人とも三十代だったのだ。カースケは結婚もしていなかったし、十年前の延長に近かった。グズ六と紀子さんもまだまだ十分仲良くやっていた。 オメダもそしてオメダをやっていた。 しかし、それからさらに十年が経ち、四十代に入っているこの時代――。 カースケは結婚し、さすがに大人として振舞うことを身につけていた。なにしろ子供がいるのだ。「劇画オバQ」ではないが、子供がいる人間が子供のままではいられない。 だから、カースケが「変わった」としても、それはグズ六や洋子が言うように「奥さんに対しておどおどしている」とかではないのだ。 「昔の津村くん、もっと堂々としてた!」という洋子の思い入れは、やはり懐古だろうと思う。カースケはそんな立派な人間ではなかった(笑)。そして、今のカースケが堂々としていないわけでもないのだ。ただ、大人として振る舞うことにも熟達した、自然にそうなった。それだけのことだ。 グズ六も彼本人はそんなに変わったようではない。しかし、十年前幼女だった娘は一人前の少女になり、紀子さんは普通に現実派にシフトしてきた。そして、十年前グズ六が会ったワカメは軽薄さよりも純朴さを見せていたが、今回のワカメは十年前の良き理解者に見えていた奥さんと別れ、コギャルめいた若い娘と再婚して浮かれ騒ぐバカさ加減だけを目立たせている。 グズ六はそんな中で、かなり疲れて見えてはいた。 オメダは市長になっているので、もはやオメダではなく、あまり本筋にも絡んでいない。 そんなふうに、十年前と比べてもかなり「しんどい」二十年目は、とりあえずみんな苦闘しているなあという二十年目だった。いくつになっても、「経験豊富だから大丈夫」なんてことには決してならない。 そう、だから「誰だって人生の一年生、初体験」なのだ。生きるすべてが……(おっぺ)
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