感想文等 | 個人的には、特にアウトロー性の強い久坂や、ユニークすぎる金吾の印象が強いのだが、全話通して最も波乱に富んだ形で存在したのは藤太だろう。 オープニング画面で、元締長兵衛に続いて登場する藤太は、第一話では「満を持して」という感じで最後に登場し、第二話でも隊長毛間内への反撥から隊士たちが離反する中、ただ一人悠揚迫らずという感じで長兵衛・毛間内と三人で死地に赴く。まさしく隊士の中でも主人公格といった立ち位置だった。 その藤太が、わずか七話目のこの「激流に消えた男」で突然文字通り消えてしまう。第一話の鮎川聞多に続く2人目の殉死者という形だった。主人公格の突然の降板であり、もしやスケジュールの急な都合かと思わせる退場劇だった。 数話前から登場していた藤太の友人である金吾が最後に藤太の名を悲痛に叫んでいるシーンが心に残る。 金吾は次の回から藤太に代わって隊に加わってくるのだが、さてオープニング画面はといえば藤太に続く二番手だった新八郎が繰り上がり、金吾が新八郎の次という順序だった。 新八郎役の柴俊夫は、のちのはぐれ仕事人・壱として人気を博したが、新八郎のキャラクターは遊撃隊のうちでは爽やかすぎ、隊士のトップとしては少しアクが弱かった気はする。遊撃隊にはやはり、藤太のワイルドさが必要だったのだ。 藤太はのちに第15話「帰ってきた藤太」でちゃんと帰って来るが、その後レギュラーとして登場し続け、数度程だけ隊士たちと共に戦うときもあったものの、決して隊に復帰することはなかった。 市井の中で、やはり藤太は藤太のペースで生き続けた。 その藤太の生き方はやがて小助の運命にも影響を与えもするのだが…… 隊から離れた藤太が、この遊撃隊物語の主人公であるはずはない。 しかし、藤太の存在はやはりこの「江戸の激斗」の屋台骨だった。全体を見返した時、そんなふうに感じたりもするのだ……(おっぺ)
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