感想文等 | これは割とリアルタイムで観ていたような……「変身」ではなく「化身」だというのはともかく、七つの姿にチェンジするというのは面白かった。尤も、火水木金は殆ど色違いなだけな感じだけど(笑)。 基本の化身である太陽の化身は月光仮面みたいだし、子供としては一番かっこよく目に映ったのは月の化身だった。けれど能力的にあまり使い勝手がなく(笑)、出番は少なかった。出たと思えば関節を外して蛇みたいな形で狭い穴を潜り抜けるという(^^;)。 見返すと、一番かっこわるく見えた土の化身の活躍が案外あり、人は見掛けではないという陰のテーマを感じた、なんて(笑)。 子供時分、最初に第一話を観た時は、主人公ヤマトタケシが、結局レインボーマンになることなく終わったので、「いかんな、期待を裏切るとは」などと憤慨した(笑)。 そこそこ面白いという感じで適当に観ていたと思うのだが、「テレビマガジン」であだち充がコミカライズを担当して、こともあろうに怪人ガルマだったかが火を吹いているシーンが最初だったような気がする。そう、私にとって最初のあだち充は「火を吹く死ね死ね団怪人ガルマ」だったのであります。 この「レインボーマン」のシュールとしか言い様のない面白さは、むしろ大人になってから楽しめるものだろう。 「黄色いブタ」日本人を憎み、皆殺しを企む『死ね死ね団』が敵役というところから凄いのだが、彼らにも動機があって、つまりは侵略してきた日本人に家族を殺されたり故郷を滅ぼされたりしたらしいのだ。今見ると随分と強烈である。 『死ね死ね団』のボスはミスターKという白人だが、演じるのは平田昭彦で、日本人に見える(日本人である)。無理やり大月ウルフやクロード・チアリに演じさせず、日本人そのものに大っぴらに演じさせたのがまた凄い。当然、構成員たちも、オルガとかキャシーとか白人名前だが、しっかり日本人である。 そして、こういう敵だから、別に世界征服に使えそうな改造人間とか怪獣とかを擁しているはずもなく、要はただの「国際的ギャング」みたいなものだったのだ。拳銃等は当然武器として所持していても、生身の人間である。それに対して主人公は超人レインボーマンに化身して戦うのだ。 「快傑ズバット」も地元のヤクザや暴力団やを相手に変身して戦ったが、ズバットの場合はまだ変身といっても強化スーツを身に着けたくらいだし、使うものといえば、鞭、それだけである。 レインボーマンは違う。ただの生身のギャングを相手に、超能力を揮いまくる。遠当ての術はまだ優しいが、火炎の術やら稲妻落としやらフラッシュ光線やら、容赦がない。 最初のうち、怪力乱神を語らないミスターKは、レインボーマンの超能力を「トリック」だと思い、「つまらぬトリックを使う不埒な奴だ」とか批判していた。真面目な人なのである(笑)。 この真面目なミスターKが日本人全滅のために作戦し実施するのは、幼稚園バス襲撃だの少年死ね死ね団結成だのではなく、真剣さの忍ばれる「日本を経済的に困窮させ、金で心を汚してしまう」ようなリアルなプロジェクトで、だから丸々1クール使って展開される。1年間、4クールで、四つの大掛かりな作戦が実施されたわけだ。この辺りも凄い凄いというところだ。 ただし、さすがにリアル系ギャング対超人ではさすがに苦しいところがあったようで、あんなに現実派で「超能力などトリックだ」と断言していたミスターKが、途中からイグアナなる「魔女」を召喚し(演じるのは塩沢ときだ)、前述したように怪人ガルマとかが登場し始めるのだ。 とはいえ、ショッカー怪人のように毎週一回こっきりではなく、数話に跨がり作戦遂行を実施しているので、いきなり「レインボーマン」が一話完結の変身アクションになってしまうことはなかった。塩沢とき演じるイグアナはやがて倒され、代わって曽我町子演じるゴッドイグアナが登場するなど、ますます「怪人対超人」性は強まったが、番組カラー自体は最後まで変に変わらなかったのは嬉しい。 敵が強くなるにしたがって、レインボーマンもパワーアップを余儀なくされ、次第に無敵性を強め、これ以上は逆に面白くなくなるよ、というところで全話が終了した。 個人的に記憶に残っていたのは、死ね死ね団の女団員ダイアナがタケシの恋人に変身(変装とか整形のレベルではなく、死ね死ね団の科学力で完全に姿形を変えてしまうのだ)して、彼の命を狙うエピソードだ。 ダイアナは変身作業の際に、ヘアピンを外し忘れていたミスのために、ヘアピンを付けていた辺りに火傷を負っていた。美しい顔に醜い火傷が残り、それの修復は叶わない(変身と言えるほどの科学的な整形ができるのに何故だ、と今思った(笑))。ショックで狂乱するダイアナ。 任務自体も、タケシにこの火傷を見られたことで失敗し、醜い火傷が残ったのもレインボーマンのせいだとさらに恨みを募らせるダイアナ……と、なまじな怪人妖怪話より、ずっと衝撃的だったのだ。 この他、「俺だって金も欲しいし威張りたい」と歌い上げているタケシの歌なるエンディングテーマなど、観れば観るほど、なるほどカルトだと思わされる怪作なのだ。(おっぺ)
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