感想文等 | 名作と名高い「ミステリーゾーン(トワイライトゾーン)」だが、さすがにリアルタイムで観てはいない身からすると(アナウンサー調の平板な吹き替えに聞こえるためもあって)、いまひとつ感情移入しきれないのは否めなかった。 だから、印象に残るエピソードも、感情・心にではなく、いわば「頭に」訴えるような回のものが多かったようだ。 たとえば、この「素晴らしき未来」。主演はカーク船長のウィリアム・シャトナーだが、吹き替えは矢島正明ではなく、やはりアナウンサーぽく――流暢だが、感情表現は平板に抑えられて、いかにも昔の吹き替え作品という感じだ。ナレーターも、主役の二人も、なんだか淡々と「語り」をやっているように聞こえる。 だから、主人公達に感情移入することは、とうとうできなかった。どんどん自縄自縛となり、追い込まれていく主人公。困惑するヒロイン。不気味な人形――。けれど、感情移入はできない…… ヒロインが主人公に最後に言う言葉で、ついに主人公は迷路から脱出する。これは、物語的にはヒロインの感情に主人公が打たれているように見える――のだが、観ているこちらは、ヒロインの説得に正当性は認めて納得し、「なるほど」と感心するにとどまる。 個人的には、その納得と感心のために印象には残りはしたのだが…… 吹き替えには吹き替え独自の演じ方が、やはり在るのだろう。舞台の芝居に舞台独自の演じ方があるように。 昔の吹き替え作品を観ていると、思うところが色々とある。(おっぺ)
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