感想文等 | タイトルを見ると、つい「幼い頃のケス」を思ってしまうが、実はオカンパ人の年齢単位はスパンが違っていて、9歳のケスというのはもう老人期なわけだ。 で、冒頭いきなり老いたケスの姿があり、しかも病んでいる。寿命の尽きようとしている時だ。 すでに孫もいる未来で、ホログラム・ドクター(名前はまだ……いや、もうあるらしい(笑))に頭髪が有ったり、ヴォイジャーの未来図としていろいろと興味深い。 いよいよ臨終の時……というところで、ケスの精神は過去へとターンする。何かのきっかけで、何年かずつ時を遡ってしまうのだ。精神だけの遡行なので、ケスはどんどん若返る。若返るというのは正確ではなくて、その時代その時代のケスの精神・記憶が、未来のケスのそれに上書きされてしまうのだ。9歳のケスは病気のためにほとんどの記憶をなくしていたので、過去に戻っても状況はその都度、「ここはどこ? あなたは誰?」となってしまう。「私にとっては、未来が過去なのよ」。 過去へ戻る度に、その時点でのドクターやクルーに相談するが、解決できないままにどんどん遡っていき――ついには子供へ、そして出産される時点へ、胎児へ、受精卵へ! これでケスの一生が終わったら物凄かったが、ドクターの施していた治療が効果を顕したのか、そこからケスは逆にスキップを始め、正常なレギュラー放送時点へと戻る。 ケスの体験した未来図は、あくまで可能性の未来のうちひとつにすぎない。そして、再視聴である今、ケスが今後実際にはどうなったか――あくまで、レギュラー放送の宇宙では、ということだが――知っていると、このエピソードは何ともせつない話になる。 ケスが子供や孫に恵まれて幸せに過ごしている、そんな世界もどこかには存在しているはずだ……そう思えば、少しは……。(おっぺ)
|