語る「万華鏡」

(「若きウェルテルの怪死」の一部削除)

若きウェルテルの怪死(わかきうぇるてるのかいし)

項目名若きウェルテルの怪死
読みわかきうぇるてるのかいし
分類ミステリ小説

作者
  • 梶龍雄(おっぺ)
  • 公的データ
  • 編集者の私は、知り合った金谷という老人から、推理小説になるかも知れないと日記を預かる。―金谷が旧制二高生だった昭和九年、師事する考古学者・大平の家で友人の堀分が変死した。同じ頃、大平邸から考古学資料として重要な人間の化石骨が盗まれていた。そして堀分がメンバーであつた非合法組織・東北反戦同盟を名乗る犯人から、化石骨と引換えに二千円の要求が…。長篇ミステリー。(おっぺ)
  • 感想文等
  • 旧制高校というのは、つまりは今の大学に相当するんだろうか?
    その辺のことはよく知らないし、調べてみようと思ったこともなかったのだけど、ちょっと調べてみよう。。。と辞書を引く。
    「旧制高校」の項はなかったので、確か「ナンバー・スクール」という言い方があったはず。。。と引いてみると、判りました。
     一高が東大というのは知っていたけれど、この「若きウェルテルの怪死」の舞台である二高は仙台の東北大学、ちなみに三高が京大で、おや、田舎にあ
    った岡山大学こそが六高だったのか。。。
     少し賢くなった。。。

     「イクコ……あの左側にアリという字のつく、郁子とありましたよ」
     「そう! 郁子ですか! 郁子……」

     こんな時、私はどうしても感的になってしまう。
     中学の時だったか、図書室の本を端から順に読んでいて、その結果として少女小説をしばらく読んでいたときがあって。。。
     いわゆる「お涙もの」という感じで数冊後に食し始めていたとき、やはり最初から最後までまさしくお涙ものだったのに、最後の最後、最後の1文で
    何だかとても胸が熱くなってしまった小説があった。

     「その新しい母の名は、エリカという!」

     エリカ。。。だったかどうかは実はもう忘れてしまった。。。
     少女小説の黄金パターンなのかもしれないが、このヒロインも薄幸だった。そして、エリカだったかどうか、非常に親切にしてくれた女性がいたのだ。
    。。
     なんだかんだと不幸が大挙して襲ってくる中、このエリカだったか、名前ははっきりしないのだけど、この女性がほとんど唯一の支えだったと思う。。

     そして最後の最後で「とどめ」として書かれたこの1文、たぶん父親が再婚することになったというラストだったのだろう。そして、これでやっと不幸
    の大挙からなんとか逃れたんだな。。。と読み終わる寸前に、読者としての私が安堵して最終ページをめくって、そして、最後の1文を読んだのだろう。。
    。そして。。

     「その新しい母の名は、エリカという!」

     ああ。。。よかったね。。。!!。。。と思ったのだった。。。

     これが、感情移入というものだ。。。(おっぺ)
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