感想文等 | 女好きの殿様に弄ばれる女性たちを助ける話。これなどもありきたりなプロットなのだが、女性たちを捕らえて逃がさない役目を担っている侍がモロボシダンこと森次晃嗣で、最初出てきたとき如何にも悪人面なので、「ああ、ダン、今日も悪役かい」と思ったところが。。。 ダンには奥様がいて、この人はやはり殿様に嫌な目に遭わされた過去がある。それで、囚われた女性たちに同情している。 ダンは奥方に言う。「俺は、、、武士だ!」(見ればわかる) 「こんな仕事などしていたくはない。。。もっと出世して、まともな役に付きたい!。。。おまえのためにも。。。」 殿様の捨てた不要女として、彼女はダンにあてがわれたのだ。拝領妻。だから、お互いに拘泥があった。しかし、連れ添った2人の間には交情があった。 「いつか、祝言をやり直そう」 そう強く言い切るダン。 だが、ダンはすでに、殿様の命令のままに、逃げだそうとした女たちを斬り殺してきてしまっていたのだ。とても、それを妻女に告げることはできない。。。 だが、仕舞人一味の介入で、ついにその忌まわしい罪が妻女に知れるところとなる。愕然とする妻女。だが、知られてしまったと気付いたときのダンの表情もまた。。。 囚われていた女たちを逃がす妻女、そして、ダンは追っ手を食い止めようとする。 やがて、仕舞人たちの目の前で、ダンと妻女は切って捨てられた。。。 殿様ども悪人たちの仕置が終わった後、仕舞人たちは徒然と語っていた。 「あの夫婦、あの世で祝言のやり直しをしているかな。。。いや、あの侍は地獄に行っているか。。。」 「あのお侍にとって本当の地獄は、奥さんに自分の罪を知られたときだったんだよ。。。」 そして物語は終わる。 映像の見事さももちろんのこと、こうした、ストーリーやプロットとはまた別の点でのテーマ性が、まだまだこの辺りでは失われていないことが分かる。これが仕事人後期になってくると、森次晃嗣はただの悪人でしかないから、妻女が秘密を知った段階で、「ええい、邪魔者め」と殺してしまっているだろう。 「祝言をやり直そう」という約束が、最後のところで浮かび上がってくることも、けれど侍の方は地獄に行ってしまっているからそれは叶わないだろうという、罪を犯した者に対する甘やかしのなさ、さらには、死んで地獄に行くことよりも、妻に秘密を知られた瞬間こそが本当に彼にとって地獄だったと指摘する容赦のなさ、このあたりが必殺だなあ、、、と思わせる。 観終わって、脚本は誰だったんだろうと見てみると、後期必殺の咎人扱い(^^;される吉田剛でした。 うーん、やっぱりルーティンワーク化が問題なんだろうなあ、、、後期の何とも言えない「緩み」というものは。。。(おっぺ)
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