| 感想文等 | まず「第1部」たる「一九七五年」はただ純粋に「青春小説」のように読めばいい。十分に読みごたえがある。 それが「第2部」たる「一九九六年」を読み始め……そう、そしてしばらく読んでいくうちに「あれっ?」と思うようになり、徐々に、「え?え?」となっていく。いったい自分は「何を読んでいるんだ」……?! これが、叙述トリックというものであり、またその醍醐味なのだ。今回は再読であり、2度目に読むわけだけれども、それでもやはり、「え?」を味わい直すことができた。こういうのを「上質」というのである。満足。 そしてもうひとつ大事なことがある。それは、第2部を読んでも、第1部がつまらなく色あせてはこない、ということだ。「犯人やトリックが判ると、それまでのドラマやストーリーが途端に色あせ、つまらなくなってしまう」というミステリもある。だがこの小説はそれではない。「裏側」が露呈しても、「第1部」の感情が損なわれてしまうことはない。満足。 強いて言えば……まあ、やっぱり第1部の方が面白い、ということか。とはいえ、第2部には前述のような別種の面白さがあるわけだから、とりあげて「不満足。」とはしない。 満足。(おっぺ)
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