感想文等 | 読んでいる間は、乗れなかった。 読み終わったとき、「……すばらしい」とひとりごちた。 読んでいる間、乗れなかったのは、これまで読んできたこの作者の本とは違う、重苦しい未来の存在を予感させられてしまったからかもしれない。 グレアム・グリーン「ジュネーヴのドクター・フィッシャーあるいは爆弾パーティ」を読んでいた時のような。。。 けれど、このひとつのハッピー・エンドは、とてもやさしい。「それがおまえを守る」。ハッピーエンドが、物語を守るときもあるものだ。ハッピーエンドは物語の死だという言葉も、在ったのは知っているけれど。 この兄の言葉、会話は、何かを思わせるなあ、とは思っていた。つかこうへいとか、落語とか、いろいろ考えてみたが、いきなり、はたとわかった。 芦原すなお「ミミズクとオリーブ」の夫さんだった。あのシリーズで、奥さん不在で、果敢に夫さんだけで事件に立ち向かった、そんな感じだったかもしれない。 今までの諸作と比べて、確かに読んでいる時は乗れなかったけれど、読み終わって、やっぱりいい話だったなあと思う。そういう物語も、この世にはあるらしい。 セリフとかをヘンに変えないで、そのまま映画にしてもいいかな。そんな感じもして。(おっぺ)
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