感想文等 | ウインスペクター復帰の三部作は見応えあり。
前作「ウインスペクター」は、数本の記憶に残るエピソードこそあれ、個人的にはそれほどのヒット作ではなかった。続く「ソルブレイン」も、だから、宮内洋の続投がなければ、ちゃんとは観続けなかったかもしれない。 「ウインスペクター」から比べて、幾つかの(個人的な)プラス面とマイナス面とがある。 プラス面は、主人公のソルブレイバー・大樹のパートナーが、ウインスペクター時のバイクル、ウォルターらロボット達から、ソルジャンヌ・玲子という人間の女性になったこと。別にバイクルやウォルターが「×」だったということはない。ただ、素顔を持つ人間の芝居が見たいという個人的な理由に過ぎない。 だから、マイナス面として、せっかくの人間のパートナーだったジャンヌにほとんど活躍もドラマも用意されなかった……という結果的な部分も出てきた。キャラクターとしては、ジャンヌよりも、ウォルターやバイクルの方が面白かったのだ。 同じロボットとして登場したソルドーザーが、やはりバイクル、ウォルターと比べては、キャラクター的に面白くなかったのも、残念なところだった。 何より、スタート時点で「うーん」と思ってしまったのは、ウインスペクターの竜馬に替わって、ソルブレインの隊長となった主人公の大樹についてだった。 竜馬との明確な差別化を図ったのかもしれない。竜馬はルックス的にもキャラクター的にも、シャリバン以降の正統的な「ヒーロー」造形だった(元祖メタル・ヒーローのギャバンのルックスだけが、単体ヒーローとしては異色だったと思っている(笑))。しかし、大樹は、もしこれが「戦隊」ならばレッドにはならないだろうというキャラクターなのだ。あまりヒーローという感じでもなく、かといってギャバンやジャスピオンのようにユニークでもなく、それこそ七人の刑事のうちの1人、みたいな――そんなに個性を全面に打ち出していない、地味な主人公だったのだ。 そして、「ソルブレイン」という番組自体も、主人公同様かなり地味な印象だった。 「人の命を救う」ために活躍したウインスペクター――だが、ソルブレインは、さらに進んで「人の心も救う」をテーマに作られた組織であり、番組だった。 そんなに簡単に人の心が救えるはずがない。 出来心から罪を犯した犯人が後悔し反省し生まれ変わる。そんな話もたまにはいいが、毎回毎回ではうんざりもする。一体どういうシリーズになるのか……。 しかし、最初のうちの「うーん……」も次第に跳ね除け、「ウインスペクター」はヒーロー番組だったが「ソルブレイン」は「人のドラマ」だった。そんな気にさえさせるエピソードも、この番組は産みだし始めたのだ。 これは意外な進展だったのだ……。(おっぺ)
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