感想文等 | 幼児向け(のフリをしているのかもしれないと時々思う)の特撮シリーズには、特に日本の三大シリーズとでもいうものがあって、誰でも知っているだろうウルトラマンのシリーズと、仮面ライダーのシリーズと、そしてもう一つ、ゴレンジャーに始まって今に至るまで続いている「戦隊」のシリーズがある。 「戦隊」が他の二つに比べて一歩引いてしまうのは、ウルトラマンがいくら代替わりしてもウルトラマンであり、ライダーもそうであるのに比べ、戦隊は1年ごとに新しいヒーローに入れ替わってしまい、同じキャラクターで続くわけではない、という点が大きいのかもしれない。 確かにウルトラマンにしても、エースだタロウだティガだコスモスだと、違うヒーローが登場しているのだが、それでもウルトラマンはウルトラマンで、一括りのものとして認識できている。ライダーもその点同じであり、どんなに新しいものが出てきても、「これは仮面ライダーなんだよ」で、共通認識ができてしまう。歴代のウルトラマンやライダーが、平気で同じ画面に出てくることも多いので、いつまでも同じヒーローが続いているような感じにもなるので、なおさら知名度的な点でも強くなる。 「戦隊」は、一年経つと、ガラリと何もかも変わる。思い切りよく変わる。逆に言えば、変えなければならない宿命を持つ。ウルトラマンやライダーは、むしろワンパターンの面白さもあるといえば言えるのだが、戦隊については、前の年と同じであってはならないのだ。ライダーやウルトラマンは、キャラクターの顔立ちが変わり、必殺技が変わるだけで、それ以上の変更はあっても困る。なぜなら、ウルトラマンのスタイル、ライダーのスタイル、というものがあるからだ。ひとつひとつのシリーズは完全に独立しているのではなく、前作までの設定や世界観を引き継いでいることが多い。 戦隊は逆だ。前のシリーズと同じであってはならない。なぜなら、子供たちが飽きてしまうから。そのシリーズごとの個性がなければ、飽きられて、見られなくなり、オモチャが売れなくなってしまう。ウルトラマンは、子供たちは「ウルトラマンを見たい」から見る、ライダーも、子供たちは「ライダーを見たい」から見る。ウルトラマン○○とか、仮面ライダー○○とか、名前は変わっても、ウルトラマンはウルトラマンであり、ライダーはライダーであり、そのパターンを見たいのだから、同じでいいのだ。――しかし、戦隊は違う。 戦隊は、最初は「秘密戦隊」だった。秘密戦隊ゴレンジャー。もしもその後、引き続いて、「秘密戦隊ジャッカー」「秘密戦隊バトルフィーバー」であったなら、これは、「秘密戦隊シリーズ」であり、ウルトラやライダーと同じように、『今年の秘密戦隊』ということで、キャラクターの顔や必殺兵器だけ変えるだけでパターンの面白さで続行できたかもしれない。 しかし、戦隊はそういう道を歩めなかった。戦隊は、ついつい、「○○戦隊」で行ってしまったのだ。この「○○」の部分が様々に変わることになったために、シリーズの特色、「さて、今回の特色は」が強調されることになった。 最初のうちは特にそうでもなかったかもしれない。「電子戦隊」でも「太陽戦隊」でも「大戦隊」でも、特に内容に違いはなかった。この頃までなら、戦隊もキャラクターの顔と必殺武器が違うだけで、それほど各シリーズに相違点はなかったとも言える。 あとになるに従って、シリーズごとに「今年の目玉」的企画が必要になってきたらしい。 「恐竜戦隊」とか「忍者戦隊」などは一番わかりやすい例かもしれない。 そして、シリーズが1つ終わるごとに、それまでのキャラクターがリセットされて、「さて、今年は。。。」になった結果、戦隊「シリーズ」とはいいながら、それぞれのシリーズの独立性は強く、ウルトラマンやライダーのような集合ヒーローとしての強みは失われた。 いわば、ライダーやウルトラは、同じ「ウルトラマン」や「仮面ライダー」という1つの作品の中で、主人公が変遷していったようなものだ。「太陽にほえろ!」のメイン刑事の入れ替わりと似たようなものだと言ってしまえるかもしれない。 比べて、戦隊シリーズは、「シリーズ」というよりむしろ、「○○物」の仲間かもしれない。つまり、「時代物」「刑事物」のような。「子供物」の中の、特に「戦隊物」。単体のヒーローではなくて、基本的に五色・五人のヒーローが出てきて、戦うというスタイル。その点だけが共通している。 この各シリーズの独立性が、キャラクターの毎年ごとのリセット、悪く言えば使い捨てとなり、ウルトラマンやライダーは、大人でも大体知っているが、戦隊となると、あまり知らない、という結果になっているかもしれない。 が、だからこその成果というのか、ウルトラやライダーが一部の例外を除いて、シリーズの枠内でパターンの中に封じ込められがちなのに比べて、戦隊は毎年の「目先を変える」おかげで、ルーティンワークの弊害から逃れられているような気がする。 おおむねの傾向として、「特に幼年向け」「ちょっとアダルト向け」な内容が毎年交互に作られているように思う。それもまた、シリーズのルーティン化、パターン化を防ぐ結果になっているかもしれない。 かつて、この世の中には、時代物の中に「必殺シリーズ」という物があり、スタート当初、その内容の斬新さに、愛好家は毎回毎回酔いしれていたそうだ。それが、あるとき、この必殺シリーズは、「仕事人シリーズ」となった。それまでは「必殺仕掛人」「必殺仕置人」「必殺必中仕事屋稼業」「必殺からくり人」と、タイトルが変わるごとにコンセプトも変わり、ルーティンワークだのワンパターンだのとはなかなか言えない物だったのだが、「必殺仕事人」というシリーズが突然ブレイクし、大人気となった。その後、作られる作品は「新必殺仕事人」「必殺仕事人3」「必殺仕事人4」「必殺仕事人5」となっていき、、、衰退した。 いまは、もうない。 ウルトラマンや仮面ライダーは、時々シリーズが中断する。何年かの間を置いて復活したりするのだが、戦隊だけは、ゴレンジャー以来、途切れることがなかった。 それは、それだけの努力があったからではないかとも思う。目先を変えると簡単に言うが、本当に目先しか変わっていないならそれは面白いものにはまず、ならない。 戦隊が衰退せず続く限りは、とりあえず、まだ楽しめる時代が続くのではないかと思ったりはするのだが。。。 しかし、今は実はライダーアギトの方がずっと面白い(笑)。(おっぺ)
|