| 感想文等 | 本来、あんまり「警察」小説というのは読まない。大学の頃、マルティン・ベックのシリーズは読破したし、一時期、87分署シリーズも読んではみたけれど、そして、決して面白くないとは思わなかったのだけど(特に、87分署のものでは、某嫌われ者役の刑事は何だか不思議と好きになっていった。人気があるらしいキャレラとかはあんまり。。。バート・クリングやコットン・ホースの方がキャラレより気に入っている(笑))、とうとうファンとかマニアとかにはなれずに来た。所謂「本格ミステリ」とは違っているからなんだろう。ルパン、ドルリー・レーン、ファイロ・ヴァンス、神津恭介、星影龍三、キリオン・スレイ、物部太郎、そして御手洗潔、神麻嗣子(笑)、と進んできてしまったタイプのミステリ読みには、刑事群像のようなタイプの小説は食指の湧く種類ではないとインプットされているのかもしれない。
というわけで、この「クリスマスのフロスト」も、どうやら警察小説らしいので、いかに人気があるらしいと判ってもなかなか手を出さずにいたのだけれど、いろいろきっかけがあったのでとうとう読み始めた。 どうやら主人公のフロストは「下品きわまる名物警部」とのことなので、これはたぶんドーヴァー警部なんだろうなどと予想する。赤川次郎のキャラクターの中にも似たようなのがいたと思うのだけど、その種類なんだろう。今さらありふれているじゃないか。。。などと思いながら、オープニングを読んでビックリした。 なにしろ、当の主人公のフロスト警部、突然撃たれて死にかけているかどうかしているのである。これには度肝を抜かれた。いや、ホントにビックリした。おかげで、一気に読んでいきたいベクトルが生まれたのだから、上手いものである(笑)。 で、読み進んでみると、このフロスト、実はぜんぜんドーヴァー警部でも大貫警部でも(思いだした。赤川次郎の持ちキャラはこういう名前だった)ない、読めば読むほど印象が変わる。。。というより、膨らんでいく。一体どの「顔」が本当のフロストの顔なのか、判らなくなっていく。 もしかしたらドーヴァーの振りをしたコロンボかモースとも思ったが、そうでもない。名推理を働かせているのかと思ったら、そうでもなく、そうでもないと思ったら運が開けていきなりどんどん解決する。。。のかと思ったらまたそうでもなく(笑)、よくわからない(笑)。 この辺り、サブキャラのクライヴ刑事もいささかパターン通りのキャラではなく、生真面目な若い刑事かと思えば、出世主義の俗物にもなり、スケベなナンパ野郎にもなり(これは私がそう思うだけで、実はごくごく普通であるのかもしれぬ。。。(ーー;))、と思うと熱血というか真摯な部分も見えるような気もし。。。
「大小様々な事件」はそれぞれ特に凝ったものでもミステリアスなものでもなく、普通といえば普通、本格ミステリ好きの血を沸き立たせるわけではないのだけれど、このキャラクターが読み進める原動力となって、一気に500ページを飽きもせず読んでいくことになった。続編もちゃんとあるようなので、当然読んでいくつもりになっている。
キャラ萌えなどいう言葉もあって、ストーリーやプロットがしっかりしていなくて、キャラクターの魅力に寄りかかった小説やらはだめだという言い方もあるし、それももっともだとも思うのだけれども、でも、キャラクターに魅力のない小説は最初から読みたいとも思わないし、読み終わって印象に残らないし、再読の意欲も湧かず、仮に湧いても再読しているうちに飽きてしまう。小説は論文ではないのだから、筋書きだけでは面白くもなんともないのである。
どんな筋立てだったかは忘れてしまっても、キャラクターのことだけは覚えている。そんな小説たちの方が、実は何度も再読したくなるんだよね、などと今さら思ったり。。。(おっぺ)
|