6月28日に、光市成人大学講座で
「蓄音機の歴史とレコード鑑賞」の題名で2時間の講演を行った。 

そのために多少の資料を準備したところ、蓄音機は
このHOMEPAGEでも再三述べた如く
1800年後期に発明され発展してきたが、
一方、音を奏でるオルゴールも1800年初期に新作され、
1800年後期から
1900年初期に大いに発展していたことを知った。
 
そこで1800年後期から1900年初期における同じ鳴り物に属する
蓄音機とオルゴールの相互関係にも触れた方が良いと考え、
講演のためにまとめたのが表1である。

表2は第7回に述べたものであるが、
蓄音機の歴史を再度認識するために再度掲載した。 
 
なお、オルゴールや蓄音機の機器に関しては
P1〜P7で表示・説明を行っているので参照いただきたい
<P1とP3は今回初めて掲載・紹介、
P4のレジーナフォンは後に説明する瀬戸内海汽船社(株)
コレクション写真からの引用、
P5・6は以前に掲載、P7は今回初めて掲載・紹介>。

結論的に言うならば
【音楽と言う点では共通点があるが機械的にはかなり異なった
オルゴールと蓄音機の間に、
折衷的な(オルゴールも聴けレコードも聴ける)機械、
即ちレジーナフォンがあった】ということになる。



オルゴールは、
1…シリンダー型オルゴール(P1参照)
まずシリンダー型で1800年頃に作られ、その機構や装置は
人々の要望に応えながら進歩して行き1880年代には最盛期を迎えた。 
・1本のシリンダで数曲が聴ける物 ・シリンダーの
大型化(直径10cm、長さ50cm)
 ・ピストルの廻転弾倉のように1度に3〜6本のシリンダ装着が可能な
リボルバー型など機械は高級化、複雑化していったが、
1台で聴ける曲目が少ないことや、とんどが手作りのため製造コスト高、
取り扱い・維持・管理の煩雑さなどにより次代の
ディスク型オルゴールに移っていった。
小生所蔵のシリンダー型オルゴール(P1参照)は
外形36cm×20cm×13cmでシリンダーは
直径3cm×長さ8cmの小さな物であるが、
6曲演奏用で、1曲が終わる度にシリンダーが僅かに横に移動し、
新たな曲が次に演奏され、6曲が終了すれば元の方向に
大きく動いて振り出しに戻る仕組みになっている。

2…ディスク型オルゴール(P3参照)
オルゴールはシリンダー型オルゴールから
直接にディスク型オルゴールに移行されたのではなく、
その布石としてP2で紹介しているのオルガニート
(手廻し小型オルガン。1800年中頃から普及)があった。
構造としては廻転するディスクの下にハーモニカを横にして置いて下から風を送り、
ディスクの穿孔された孔のところだけ風が通って音が出る仕掛けになっている。
音階はディスク中心部が低音で、同心円上に外測に向かって
高音となっていく仕掛けである。
この音階の作り方がディスク型オルゴールの根幹になっている。
ディスク型オルゴールは、オルガニートの風琴部分をオルゴールの
ピンと櫛歯とに置き換え、駆動方法と円盤(ディスク)方式はそのままにしたもので、
シリンダーに代わるディスクは量産化が可能となったため製造コストも安く、
取り扱い・維持・管理もかなり容易く、結果として曲目も多くなったと考えられる。
ディスク型オルゴールは1900年前後に大いに進歩し、
長時間化、オートチェンジャー化、合奏が可能な物など高級化・大型化していったが、
いざこれからの時に蓄音機が現れ、衰退の一途を辿ることになった。
同じディスクでも後述するディスク型蓄音機のレコード(ディスク)とは
仕組みが全く異なる物である
(ディスク型レコードはディスク上に音の溝が切り込まれている)。
   
小生所蔵のオルガニート(P2参照)にはAristonの名がありドイツ製であろう。 
外形は40cm×40cm×24cm、ディスクは直径33cmで堅いボール紙で作られている。
小生所有のシリンダー型オルゴール(P3参照)にはPolyphonの名がありドイツ製である。
退職金が出た時に、女房からの贈り物として強引に女房に買わせたもの。
外形は3cm×48cm×25cm、ディスクの直径は40cmで、
鉄盤製または銅盤製でその盤にピンが丁度ビンゴゲームの当たり番号を
織り込むような形で突起化されてピン化されており、
このピンが音を出す櫛歯を間接的にはじいて音が奏でられる仕組みになっている。

3…レジーナフォン(P4参照)
当該機種は、ディスク型オルゴールがかけられ、ディスク型レコードもかけられる
正しくオルゴールと蓄音機の折衷機であり、
小生が今回蓄音機の歴史の中にオルゴールと蓄音機の関係を
取り入れる所以となった機種である。

音を奏でるという点では同じ範疇の鳴り物機であるが、
構造が全く別でオルゴールと蓄音機は縦割り的に
発展・衰退していったとものと思っていたが、
1905年頃から1925年頃まで両者が繁盛していた頃に、
両者を架け橋した機種がこのレジーナフォン
(この名はレジーナ社の当機種にたいする製品名であろうが、
一般名が不明であるので他社にも同類の機種も合った物と推測されるが
敢えてこのレジーナーフォンと呼ぶことにした)である。
では、何故に折衷機が出現したのであろうか
 
小生は以下の如く推論する。
1)オルゴール、蓄音機、共にかなり高価な物で、
購入費用などの面から兼用できる機器が望まれた。
2)単純ではあるが音色の美しいオルゴールと、
ある程度複雑な音を奏でるが音色は今一で、録音できる曲の種類も
独唱・少人数の楽団編成曲などかなり制限の在ったレコードとは、
在る点で両者は対等・双璧のものであり、両者を聴く機会が多かった。 
当時のレコードの録音方法は電気式でなくアコースティック方法と言って、
メガフォンの太い方(吹き込み口)から細い方(レコード溝のカッッティング装置)に向かって
大きな音を吹き込み、細い部分に取り付けられた振動板とこれに連結された
音溝カッッティング用の針を物理的に振動作動させて録音するものであった。
従って、音の不良さもさることながら、狭い吹き込み口からはオーケストラ楽団や
大合唱団の音を満遍なく取り入れることは出来ず、
結果として独唱・独奏・室内楽団・朗読などが主となり、曲目にかなりの制限があった。
両者の長短を埋め合わせる形で流行ったレジーナフォンも、
レコードの録音方法に電気式録音方法(いわゆる現在のマイクロフォンによる録音)が
発明されたことで急速に衰退さされていった。 
すなわち、電気的録音方法は前述2)で述べたアコースティック録音方法の欠点を解決した。
マイクロフォンを何本も設置することで広範囲の録音が可能となって、
録音対象の制限が無くなり、また、音溝カッッティングも
電気的に行われるようになり、種々の曲目を良い音に録音できるようになった。


蓄音機については
4…シリンダ型蓄音機(P5参照)
小生のHOMEPAGE第3回(H15年1月)で既述しているエジソンスタンダード類である。
オルゴールのシリンダ型と同様、シリンダーレコードのコスト高、
シリンダー型蓄音機のコスト高、レコードの維持・管理の煩雑さ等のため、
ディスク型蓄音機に取って代わられた。

5…ディスク型蓄音機(P6参照)
小生のHOMEPAGE第6回(H15年4月)で既述しているニッポノフォン25号類である。
1910年頃からディスク型蓄音機には圧倒的に勝り始めたが、
先の3項で述べた如くレコードの電気式録音方法が出るまでは
ディスク型オルゴールやレジーナフォンと市場争いをしていたのではないか。
1917年頃に本格的なラジオ用真空管やマイクロフォンの
発明・実用化によるレコード録音に飛躍的な質の向上を持った
電気式録音方法が出現してから、電気式録音レコードと蓄音機による音楽性が
普及・繁栄していき、その結果、
オルゴールはもちろんシリンダー型蓄音機をも衰退させることになった。

6…電気蓄音機(電蓄。P7参照)
小生のHOMEPAGE第7回(H15年5月)で紹介した
コンポ型電気蓄音機と同類のもので、表2に記載している如く
蓄音機はピックアップ(電気を使わない手廻し式蓄音機では
サウンドボックスに相当する物で、電気又は電磁式サウンドボックスともいう)・
拡声部(手廻し式蓄音機のホーン又はラッパに相当。
ラジオのアンプ部分とスピーカーに該当)・
駆動部(手廻し式蓄音機のゼンマイとギアに相当)ともに電気式となっており、
レコードも電気式録音方法のものと、総てが電気式となり、
当時としては音色・曲種の多さに加えて先端機種として画期的な物であったが、
価格も当初は家が一軒建つくらいの物のようであった。
小生所蔵の電気蓄音機(P7参照)は15年ほど前に購入した物で、
シャープラジオ社のカタログ等からすると、発売は1937年で価格は145円で、
当時の教員の初任給が総額50円/月であり、現在のように月賦などの掛け買いが
普及していない時代では大変高価な物であった。
このラジオについてはコンデンサー取り替えやピックアップのコイルの
まき直しなど多少は手をかけたが、もともと全くのうぶ物であったので、
今でも当時のラジオ外観や音色を彷彿とさせるが如くに音を奏でている。


以上、各論を交えて音楽演奏機の歴史を縷々述べたが、
表1を今一度眺めてみると栄盛と衰退があたかも袈裟懸けに斜め下方に
並行的に切り込まれた如く列記されている。
これらの機種が相互に関連し又は無関係に、
おのおのの長所・短所が継承・排除されながら、新規性やニーズの高揚などに
対応すべく発展してきた様相が一目にして理解できたと思っている。


【瀬戸内海汽船(株)星ビルについて】
今回の主内容であるオルゴールと蓄音機の折衷機である
レジーナフォンの写真掲載を許可して下さった星ビルについて追伸する。
本店は広島市内で
「広島店  広島市中区紙屋町1−6−9 TEL;082−249−1941」
東京にも「銀座店(TEL;03−3574−0970)」が在り、
URLは「http://www.hoshibld.co.jp
広島店である星ビルの5Fにはティーサロンがあり、
ここにはハウステンボスにも負けないくらいの豪華なオルゴールが
数多く展示されており、サロンへの入店者にはお好みの機種と曲名による
オルゴール音楽を聴かしてくれる。 
ティーサロンはシックで落ち着いた雰囲気で正しくレディーが相手してくれ、
コーヒー1セット千円は決して高くない。
小生も1980年と1996年に行ったことがあるが十分に癒され、
1996年には小生所蔵のディスク型オルゴールのディスクを
3枚(トロイメライ、アベマリア、ダニューブの流れ)を
製作注文(40cmもので1枚1万5千円)したが、
アメリカまで頼んでくれて、入手できた。 
銀座店にはティーサロンは無いとのことであるが、
オルゴールをゆっくり楽しみたい方には、
アクセスの便利な広島の当店をぜひお勧めする。
                

                                      
                                 以上
               2003年7月20日

 

今月は今までのパソコンがおかしくなったため
(パソコンの得意な息子に見て貰ったらそこそこの手直しで復帰できたらしいが、
既に購入済みであり如何ともし難し。
10万円有ればかなりのアンティークが買えたのに!!)、
急遽パソコンを新規購入したが(価格は10万円。新物に金を注ぐつもりは更々無い。
最低機種で良し、動けば良し、使えれば良し)、
プログラムの入れ替え等で途轍もなく時間を食ってしまい、
原稿提出が7月20日となってしまいました。






笹井清二郎
  E−mail
 sasanoya@ycbi.ne.jp
  Tel 0833−79−2124
  〒 743−0007
  山口県光市室積6−16−27