基督教は犠牲の宗教
副題(基督教の本質)

 基督教の特質として、御利益宗教では無いと云う事があります。
そもそも堕落した人類の救いの為に、神が今生に遣わされたのがキリストであ
ります。人類の贖いの為に咎無くして命を引き換え、復活後も私を捨てて人類
を救う為に尽くしたのがキリストです。特色として、信徒は現世での幸せより
も、肉体の死後から永遠に続く霊魂の安らぎを求めます。一般に云われる樣な
「輪廻転生」の観念は無く、天国・地獄・煉獄で永遠の時を過ごします。現世
での命は高々数十年、比するに死後の世界は永遠で生まれ変わりも無いのです
から、皆が天国に行かれる樣に願うのです。

 公教会の信徒は身に災厄が降り掛かっても、それによって信仰を揺るがす事
が少ないのも特色です。カトリック新聞や各修道会発行の冊子には、信徒が災
難に遭ったと云う記事が散見されます。他宗教であれば信心が足りないとか、
邪教故の結末と言われそうですが、公教会員は冷静に運命を受け止めています。
迫害に遭っても信仰を過つ者が少なかった理由も、是で判る樣な気が致します。
また、この辺が他宗教信者には分かり難いところでもあります。
 因果応報を念頭に行いを慎んだり、より良い生まれ変わりを願って現世で徳
を積む宗教もありますが、死後の世界をも重視するのが基督教です。

 煉獄とは何か
 人は生前の行いが良く、信仰も正しければ死後は直ちに天国へ帰天出来ます
が、その樣な人は本当に僅少です。悪事を働き過ぎた者は地獄へ落ちますが、
是もそう大勢ではありません。大部分の人達・・・悪人で在っても幾分の良心
が殘る者や、善人でも難のある者等の行く「仮住まい」が煉獄です。
 煉獄は地獄と同じ環境ですが、根本的な相違があります。天国や地獄は一度
行けば、二度と余所に転ずる事はありません。其処で永遠の命を長らえると言
われますので、遣り直しはありません。煉獄では現世での行いの反省を求めら
れ、悔い改めが要求されます。改心の無い者は何時までも煉獄に留め置かれ、
脱する事が出来ずに地獄と同一の責め苦を負わされます。悔い改めた者は改め
て、天国へ上れます。
 この煉獄は存在しないとする基督教派もありますが、公教会の教義も説得力
のあるものと思っています。