しらたまのヴァイオリン・メモ 
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しらたまのヴィオラ・メモ
009547 (since 2000/12/10)

2000年12月10日から私しらたまはヴィオラを始めました。
このヴィオラ・メモは、身長150cmのヴァイオリン弾きがどんな風にヴィオラを弾きこなしていくかというドキュメンタリーです。いや、弾きこなせれば、の話ですが。
※No指定で過去の記事を呼び出せます
No. 以下20件を呼び出す。
空欄のままだと最新の記事から20件づつ表示します

現在NO.36 までの記事があります。No.36から20件が表示されている、と思います。
NO.36 めまい
2004/11/11[thu]10:53:7
フォーレ ピアノ四重奏曲 第2番 3楽章。

出だし。
♭三つ。教会の鐘の音を静かにピアノが模倣する。
町のはずれにあるフォーレの家で聞く鐘の音は遠く、家並みに反響し、こだまする。
大きな鐘を表すバス(ミ♭ーソーミ♭ーソー)、
大きな鐘のあいだに入りリズムを刻む小さな鐘の中声(シ♭ドレドシ♭ド)。
半拍遅れで大きな鐘の反響を表すソプラノ(ーミ♭ーソーミ♭ーソ)。

それぞれのパートは短調の要素をもたない。
長3度、または全音での長3度の進行。
Es-Dur、B-Durの重なりのなかに、偶然のように半音が生まれる。
反響音のミ♭、続いて小さな鐘の音のレ。
人々の希望、救いであるはずの教会の鐘の音に暗い陰がさす。

すきまに生まれた不安の裾をつかんでヴィオラが歌いだす。
「レーーー」
「レーミ♭ファーソーファミ♭ーレソー・・・」

反響によって偶然つくられた半音「レミ♭」。
これが短調への入り口であるように思う。

3つの♭を持つ、c-mollの譜面づらでありながら、
スケールの範囲が狭められると、臨時記号を使わずとも
部分的な半音や部分的な全音が他の調をよそおって歌いだす。
丁度、窓枠に切り取られたまやかしの風景のように。

この曲を聞くときめまいに似た感覚を覚えるのは、そのせいかもしれない。

NO.35 ハ音とト音記号、そしてピッチのハザマで
2004/10/20[wed]12:34:42
こんな私を「フォーレをいっしょにやりましょう!」と誘ってくださったVc.Sさんが
ご家庭の事情で参加できなくなってしまった(T T)。
人生、自分のために時間が使うことが許されている時期は短い。
私もできるうちにできることをしておかなくては、と思った。
で、せっかく縁あって集まったメンバーなので、Sさんの代わりのメンバーを探して、
フォーレをやってみることになった。

運良く代わりに参加してくださる方が見つかり、
練習日程が決まって、まず、弦を交換してみた。
ドミナントからヘリコアに。
A線はヤーガーのまま。
ドミナントより華やかさ(迫力)が少なくなった気もするけれど、
気になっていたビビリがおさまり、音程がクリアになった。
どんなに圧力をかけても音が割れなくなった。
弦の太さはヘリコアの方が細くて押さえやすい。
鳴らしているときの弦の振幅がドミナントよりも狭い。
ヴァイオリンよりもヴィオラの方がこの振幅が目に見えやすい。
張力(というか弾力)が若干強い気がする。

メンバーがみなさん上手な方なので、
顔合わせで一気に全楽章やるだろうと思って、
2〜4楽章の譜読みをはじめた。

相変わらず、ハ音記号が苦手な私にとって、
転調が多くて臨時記号ビシバシのフォーレの曲は譜読みが大変。
それに加え、今年1月からはじめたバロック講座のせいで、普通よりも半音低いピッチ(A-415Hz)が音名と結びついているので、これがまた大変。
例えばハ音記号Gisを見て押さえた音がGに聞こえて、「あれ?」と思いあせってト音記号に読み直したらFisで、これも聞こえている音と一致しないから「あれれ?」となり、指をずらして実音Gに下げてFisとし、次の音符が隣接しているからGとばかり思って弾いていたら、耳がもどってGは今弾いている音だからまたGなんてありえないということになって、目がハ音記号に戻って、「そうだよ、次はAだよ。じゃ、今鳴っている音は何だ???」ってことになる。

出すべき音を頭の中で響かせておいて断固とした意思をもって音名と結びついておかないと、
簡単に415の自然音階に持っていかれてしまうのだ。
そして、五線譜の四次元ポケットにおちて迷子になる。
もー何が何だかわけがわからない。

NO.34 まとめて1年
2004/10/18[mon]13:44:13
ほぼ一年ぶりにヴィオラ日記をつけてみます。
ん?これって日記じゃなく、年記??

まあ、それはともかくとして、まだ続いています。ヴィオラ。
えー、覚え書き程度にこれまでの経過を書いておきますと、

■2003年、春、5年在籍したオケを休団する。


■2003年夏、友人の紹介ではじめてのヴィオラレッスン(それまでは自己流)。
テレマンのヴィオラコンチェルト1楽章。
準備期間がほとんどない、突然のレッスンだったこともあって、
弓がまともに動かない。
いかに自分がヴィオラを弾けていないのか、甘く見ているか、
思い知らされる。
弓の毛を弦にべったりくっつける、指板と駒の中間をねらう、
元弓でも手首を曲げない、肘を上げない、左手指をばたつかせない。
先生の言うことはわかっても、思うように体がついてこない。
ヴィオラを扱うにはもっとしっかりした体が必要だと痛感。
しかし先生のヴィオラから奏でられる豊かな響き(ほとんどチェロ)を全身に浴び、
細胞レベルでヴィオラの響き(の理想)を記憶する。
先生、マイ・ヴィオラを指差して、
「あなたにはちょっと大きいんじゃない?」。
そして、自分で構えてみて
「あ、そう、でもないか・・・」。
そうなんです。私のは胴長41cmで私の体格にしてみれば
大きすぎるんだけれど、ネックが細くて意外に弾きやすいんです。


■2003年の冬、「来年になったら」ということで
フォーレのピアノカルテット2番のお誘いをいただく。


■2004年春、カルテットに向けてマイ・ヴィオラの大修理。
前から問題だとは思っていた箇所。ただ、これ以上の要求をしても
買ったお店では思ったようにしあがってこないのがわかっていたので、
思い切ってSヴァイオリンの工房に持っていく。
「こんなヤワなつくりのもの、うちの調整に耐えられるかどうかは保証できませんよ〜」
といわれつつネック上げ、駒と魂柱を交換してもらった。
全部で5万円ほどかかってちょっと痛かったが、音もまとまり、とても弾きやすくなった。


■2004年梅雨、ヴィオラの二回目レッスン。
フォーレのピアノカルテット2番1楽章を持っていく。
前日の山道ドライブで首をひどく痛めて歩くことも手をあげることも困難になっていた私は
楽器ケースを持ってでかけることができなかったので、一緒にレッスンを受けた友人の
楽器を借りた。家では楽器を構えるのも無理だったので、
本当は見学だけのつもりだったのだけれど先生に会ったら欲がでてしまったのだ。
楽器を構えると脳内物質も放出されたらしく(人間ってすごいね)、
1時間のレッスンをなんとか弾ききる。

右手の形は丸くてよいし、イントネーションがとてもよい、とお褒めの言葉をいただく。
(注:先生はほめ上手)
ただ、右の肘、手首、肩の関係が悪いと(全部じゃん・笑)。
あと、左手は絶対にどこも緊張させないように注意された。
届かないところは小指から置いていけと。

私がつけて言ったフォーレのポジショニングはおおむね気に入ってもらえたようだ。
しかし、「ここはこの方がいいと思う」と直されたところは
意外に主要な音を小指でとることが多く、びっくりした。
なにしろ身長180cm以上、体重××kg以上ある先生の小指は私の人差し指くらいある。
いいよな〜。そりゃ、小指で情熱的なヴィブラートするのにも躊躇ないだろうさ。
だけど、まあ、きっと表現の幅も広がるだろうからがんばって4を使ってみようと思う。
しかし一箇所だけ、1stポジション、G線からC線に小指で5度の移動しつつ重音をとる
ところがあって、そこはどう考えて私には無理なんだけれど、
「旋律の中でのこの5度の関係を明確にするために同じ指で取る必要があるんだよ」と
そこだけはかなりキッパリと言われた。

あと、先生の真似をしたつもりで、なるべく全弓を使うようにしていたら、
「そこはそんなに弓を使わない。弓を全部使うことを優先して音楽を無視したらダメ」と
言われた。ヴァイオリンだったら、圧力を抜いて全弓を使うところ、
先生はその小節で弓を4分の1だけつかって、次の小節を中弓よりやや上からはじめた。
こういうところもヴィオラならではの弾き方だろうか。

帰り際、先生が「次はバッハの無伴奏を1曲持っておいで」と言った。
スポットのレッスンなので、これまでは自分で好きな曲を持って行くだけだったのだけれど、
先生から曲をはじめて指定された。先生が本気で教える気になってくれたのだと思った(超プラス思考)。
とてもうれしかった。


■2004年夏、ヴィオラ3回目のレッスン。
フォーレ1楽章と、バッハ無伴奏チェロ組曲1番。
この日は、風邪をこじらせていてあまり耳が聞こえなかった。
レッスンの日に限っていつもどこかしら調子が悪い。
バッハは鳴らしていい音、鳴らしてはいけない音を細かく教わる。

手首、肘、肩の関係は前よりよくなっていると言われた。
さらに、ボウイングを弓先でも手首を曲げない形に、
ヴィブラートを手首(というか手の中)でやるよう言われる。
これは大改造である。
ボウイングはともかく、ヴィブラートは体格的に本当にできるの?という
気がする・・・んだ・・けど・・・ともかくやってみようと思う。
「手首のヴィブラートの方がエネルギー効率がいい」と
先生は言う。私もできるだけ体力温存型にしていって、息長く音楽を楽しみたいと思う。
ヴァイオリンとどう使い分けるのか、今通っているバロック講座ではどうするのかとか、
問題は山積なんだけど、言われたらとりあえずなんでもやってみる。

先生がまた、私のヴィオラを指差して「それあなたには大きすぎない??」と言う。
去年も同じこといわれたんだけど、まあ、年に1回か2回じゃ無理もないか。
そして、やっぱりそう言わずにはいられないくらい異常に見えるんだろうな。
私が構えると(爆)。
で、私「そうでもないですよ、ネックが細いから」と言ったけれど、
昨年とは違って、「いや、やっぱり大きいよ」だって。
なるほど、ヴィオラってヴァイオリン以上にサイズのせいでできないことって多いだろうから、本気で教えるとなると気になるのかも。
だけど、その後で「その楽器はいい音するね。どこの?」ですって。
せ、先生、その言葉、本気にしていいんですかっ??


後日、音楽のことは何もわからない友人に先日のレッスンのヴィデオを見せていた時のこと、
友人が「あ、ときどき先生と同じ音になるね!今のは先生の音だと思った」と言う。
ちなみに先生の楽器は1000万近くするイタリアン・モダンです。
私のは20万、ノーラベルの中国製。
よく言ってくれた!うれしいぞ、Tちゃん(感涙)。

NO.33 クリスマス・パーティ
2002/12/30[mon]9:33:18
10月にマイ・ヴィオラを購入した。
あちこち気になるところがあって(駒の形、高さ、魂柱の状態、顎当ての高さなど)、
買ったお店に相談したら快く無料で調整を引き受けてくれた。
そして、2週間後に楽器は概ね改善されてかえってきた。
私が不注意でつけた傷などにもさりげなくニスが入れられていて良心的である。
けれど、仕上がりは少々粗いように感じられた。
もともとの素材のためかもしれないけれど、
駒を削った切り口(ノミあと?)が私には「きれい」だとは思えない。
でも、なんとか使えるようにはなった。ありがたいことだ。

そういえば、この12月でヴィオラ歴丸2年になる。
とはいっても、やっぱりメインはヴァイオリンなので、
ヴィオラをさわった時間は、ヴァイオリンの10分の1に満たないのではないだろうか。
上達の度合いを年数でいうことはできないと思う。

それ以降はほとんどヴィオラをさわる機会がなかった。せっかく買ったのに。
しかし、12月になって突然ヴィオラの仕事が舞い込んできた。
平日のクリスマスパーティの余興でやるアンサンブルで、アマとは言え少々のギャラがでる。
本番が平日だということで、他のヴィオリストにはことごとく断られ、私まで話が回ってきた。
さあ、マイ・ヴィオラお披露目のチャンスだ!

このコンサート、
いろんな楽器の組み合わせでトータル1時間ほどの演奏になるのだが、
ヴィオラの出番は、
「クリスマスソング・メドレー」四重奏
「アイネ・クライネ・ナハトムジーク1楽章」弦楽合奏
「主よ人の望みの喜びよ」管弦楽合奏。
どれもそう難しい曲ではないのだけれど、
曲目が決まったのは実に本番の1週間前だった・・・。
練習期間が短いのは、にわかヴィオリストにとっては結構つらい。

アマを承知で依頼があったとは言え、
ギャラをいただくからにはあまりみっともないマネはできない。
他はともかくとして、クリスマスソング・メドレーは四重奏なので責任重大だ。
私が落ちれば音楽が欠ける。
しかも、それがメロディーであったりすれば冗談ではすまされない。
そしてこういうポピュラーものには、まずスコアはないし、音源もない。
四重奏をやろうという人たちの多くは、大抵、
ポピュラーのパート譜を初見で弾くことくらい平気でやってのける。
しかし、私はそれがとってもニガテだ。

ニガテだからといって避けられることでもなく、
ちょっとずつ音にして見ると、その音の進行具合から
なんとなく「もろびとこぞりて」だったり「ジングルベル」だったりするのが
想像できる。なんだ、意外にわかるものじゃないか。身構えて損したわ。
ところが、途中、全く何の曲だかわからない曲にであってしまった。
SOLOと書いてあるフレーズを弾いてみたけれど、心当たりがない。
4ヶ月のブランクのため、ハ音記号読みもままならず、
心当たりのない音符の羅列を読もうとするとイライラする。
楽器は重いし、弓(を当てるところ)は遠いし、おまけに譜面台も遠いよ。
ああ、つらい。
でも、マイ・ヴィオラは重音だけはラクに押さえられる。
ネックの幅が狭く、弦の間隔がヴァイオリン並なのだ。
こういう特殊なつくりのヴィオラは、この価格帯(20万)で滅多に見つかるものではない。
知人からは、「軽率な買い物だ」とか、「○○が××だ」とか言われ、
それはもっともなご意見だけれど、
自分としてはやっぱりこれを買ってよかったと思う。


さて、1回の合同練習会を経て、当日のリハにて。
四重奏曲の途中のヴァリエーションで、
どーしてもヴィオラの最低音Cが皆とハモらない。
私は先の合同練習会ですでにそのことに気づいていて、
ヴィオラ弾きからアドバイスをもらって、多くのヴィオリストがやるように
事前にC・G線を高めに調弦しておいたけれど、まだハモらない。
音がにごるので、私は曲にCを入れることができない。
しかたなく、その音が出てくると擦音だけにして、
音程をなるべく出さないようにして通り過ぎた。
だけど、カスんだせいか他のメンバーには全く気づいてもらえず、
リハ中一人悶々と悩む。

 本番でもこのままカスむべきか?
 C線をもっと高く調弦しておくか?
 いや、それでは他の曲でCがハモらなくなるじゃないか??

悩んだ末、無茶なお願いにでる。
「あのぅ、このヴァリエーションだけ全体のピッチを下げてもらえませんか?」
メンバー全員がぽかんとして私を見た。
そんな目で見ないでくれ。私だってわけがわからないんだよぅ〜。
だけど、リハ時間はこの時点ですでに終了、もう一度返して検証している時間はない。

そして、本番。
そのヴァリエーションでは
打ち合わせどおり、皆がピッチを下げてくれて、
ビシっとではないけれど違和感がない程度にCがハモった。
ああ、よかったよ〜(T_T)。皆、ありがとう。

マイ・ヴィオラは音量では困ることはなかった。
だけれど柔らかい音を作るのには骨がおれた。
合奏に溶けていかない感じ。
響き成分が足りないんだな。
気持ちの良い響きでないことは確かだ。


Cがハモらない件については、私はなぜそうなるのか原因を探ることも、
解決策を見つけることもできなかった。
後日、思い返してみるに、
もーっと大胆にG・Cの調弦を高くしてもよかったのかもしれないと思った。
ヴァイオリン弾きにしてみれば「ゲッ」と思うくらいに高く(笑)。

まだまだ、わからないことが多い。
ハ音記号が読めるようになったくらいでいい気になっていてはいけないなと思った。
でも、初心者ヴィオリストがヴァイオリンにない苦労をしているかもしれないことが、
ちょっとわかって面白かった。

NO.32 穂高オフ記
2002/9/7[sat]15:42:2
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■行きの列車「あずさ」の中で
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前日までブランデンブルク6番の練習にかかりっきりだった私は、
行きのあずさの中で人目も憚らず楽譜を広げていた。
ブラームスのピアノ五重奏曲は、まだパート譜しか見ていなかった状態なので
さすがにやばいと思いスコアで全体の流れやバランスをチェック。
入りや自分の役割など、アンサンブルに必要な情報を
パート譜に書きこんだ。
弾きこんでさえあれば、こんな必要はないのだが、今回はしかたがない。
ブラームスを一通りチェックしたあとは、アリオーソのフレージングを見直す。
このソロ曲が決まってから楽譜を広げるのは今日がはじめてだったりして・・・。
だいたい暗譜はしてあったので譜面なしでは何回か弾いていたけれど、
この「だいたい」というのが曲者で。
改めて楽譜を見直すと、「えーっ!こんなフレージングだったっけ?」
というところが山ほど見つかった。
非常にあせった。
あーでもない、こーでもないと弓順をいじっていたが、
「あずさ」独特の横ゆれでとうとう乗り物酔いしてきてしまった。

あきらめて楽譜をしまい、窓の外、モコモコの入道雲を眺めていると、
ちょっと目を引く元気な親子連れが乗りこんできた。
お母さん、高校生の息子、中学生の娘。
お母さんの身長は推定170cm、息子さんは180以上あるだろう。
ビッグな親子連れだった。
なかなか言うことをきかない子供達をしかりつつも愛情が感じられる母親の
言葉の一つ一つが小気味良くて、悪いとは思いつつ盗み聞き。
私はそのやりとりに耳を傾けていた。
夏休みで、これからどこかの山に登ろうというのらしい。

「ほら、見て!見て!きれいね!」
子供達が、ちらりと母親の指す方を見る。
「なに?」
「雲がおもしろいかたちね。」
なんだそんなことかと子供達無言でまたゲームにもどる。
「あんたたち、せっかく旅行にきてるんだから、
ゲームばかりしてないで外の景色を楽しみなさい!」
子供達は無関心であるというよりも、そんな母親の一生懸命さに
ちょっと照れているようす。
反発するでもなく、無関心であるわけでもなく。
知らんぷりを装いつつうまーく母親をあしらっているような。
子供達は母親が思っているよりずっと大人なのかもしれない。

しばらくして、
私の隣に席をとった母親が、話し掛けてきた。
「それはヴァイオリンですか?」
ヴィオラのひょうたん型ケースを指した。
「いえ、これは・・・(モゴモゴ)」
「あ、ではヴィオラですね」

ヴァイオリンでなければヴィオラ。
名前がすぐにでてくるあたり、このお母さんなかなかできる!
きっと音楽に詳しい方だろう、と思ったら、
子供達にヴァイオリンを習わせているんだそうだ。
お母さんもそれにつきあって、少々は弾くんだとか。
なんという偶然。
この電車、この車両、この横一列の席に、
4人のヴァイオリン弾きが並んで座った(爆)。

お話をきくと、子供達が偶然ついたヴァイオリンの先生が
エラすぎて困っているんだとか。
お弟子さんたちのほとんどが音大・コンクール・ソリストを目指していて、
やるのはソロ曲ばかり。
ぜいたくな悩みだけれど、子供達に音楽の楽しみ方を教えたいという
母親の希望とはちょっと違うのだという。
そして、お兄ちゃんは高校受験をきっかけに、
だんだんヴァイオリンから離れていっているらしい。
それを残念がりながらも、どこかゆったりと構えている
母親のそのおおらかさに好感をいだきつつ、私、
「アンサンブルを楽しむ機会があれば、またやる気がでるかもしれませんねー」
「背が大きいんだから、コントラバスなんてどうかしら」
本人が通路を挟んで向こう側にいて口をはさめないのをいいことに、
私も母親もいいたい放題。
しまいにはアマオケに入るには、とか、ガット弦は高すぎる!などと、
掲示板でやるような話題まで。
思いがけず楽しいひと時だった。

話がつきないままに、列車は親子が下車する駅に到着した。
私に挨拶する親の後ろで子供たちが
「うちの母親が、すみませんでしたね〜」とでも言うかのように
大きく会釈した。
いい家族。いいアンサンブルだ。

役割分担としては、
お母さんがファーストヴァイオリン、お嬢さんがセカンドヴァイオリン、
息子さんがヴィオラ。
今日はいらっしゃらなかったお父さんはチェロかな?
お母さん、ご心配いりません。
ご家族は楽器なしでも十分アンサンブルを楽しんでいますよ〜。


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■そして穂高オフ
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とっても楽しかった。
体力的にはかなりきつかったけれど、参加して本当によかったと思う。

私が参加した曲目は以下の通り。

バッハ/アリオーソ(ソロ)
バッハ/ブランデンブルク協奏曲 1楽章(1va.)
モーツァルト/フルート四重奏曲 全楽章
ブラームス/ピアノ五重奏曲 1楽章
モーツァルト/ピアノ協奏曲 d-moll 1楽章
シベリウス/アンダンテ・フェスティーボ
バッハ/管弦楽組曲第2番より抜粋

うーむ。
こうして並べてみると、
我ながらよく頑張った・・・。
抜粋なので量的にはそんなでもないのだけれど、
1ヶ月前まで4段の譜読み(ハ音記号)に3時間かかっていたことからすれば、
やっぱり大した成長ぶりだ。
やればできるもんだな、とつくづく。

さて、穂高オフは
1日目の練習、14時から21時30分まで。
2日目の練習、10時から17時30分まで。
そこから本番(発表会)で、20時30分まで。

2日の間、食事時間以外合計で2時間くらいは降り(休憩)があったかなぁ〜。
それ以外はほとんど弾いていた気がする。
学生オケの合宿ってこんな感じなんだろうか。
怒涛の2日間だった。
私にとっては初の体験。

練習不足もあって、練習時間を沢山いただけたのは嬉しかったけれど、
2日目の夕方にもなると、さすがにこのままでは体力が持たないと思い、
本番前の全体練習はさぼらせてもらった。
ホールを出て行く私を見つけて、
同じようにほぼフル出場、疲労困憊のティファコさんが
何か言いかけたけれど、振り切った!
ごめん、あの時、ほんとに限界だったの(笑)。
そしてその時間(30分?)はお昼寝していた。
本番前には甘いもので景気づけ(ケーキ屋への往復2回・・・ケーキ漬け?)。
その甲斐あってか本番でもバテることなく
最後まで弾くことができた。


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■譜めくりで失敗・・・
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本番は、概ね上手くいったけれど(自己評価で)、
ブランデンブルクの譜めくりでは大失敗してしまった。

もともと、この譜めくりは二拍半の休符しかないところ(時間にして2秒くらい)。
自分でも危ないと思っていたので、
家でもいろんなテンポを想定して譜めくりの練習をしておいた。
休みが短いので、弓を持ち替えて右手でめくるわけにはいかない。
それで左手で、ということになるのだけれど、
何しろ私の場合、手よりも先にヴィオラのスクロールがある(爆)。
普通に構えたままでは、スクロールが譜面台につかえて
左手は譜面に届かず、空しく宙をつかむ。
だから
左手で譜めくりするときは、

まず譜面台に当たらない方向に楽器をずらす。
楽器がその重みで下がってこないようにアゴでバランスを取りながら、
すばやく左手を伸ばす。
確実に譜面の右下カドをつまみ、譜面台に振動を与えないように慎重にめくる。
楽譜が戻ってこないように完全に開く。

リズムにあわせて計画的にこの手順を踏まなければならない。
こういうときは音を出すだけが音楽ではないなーと思う。

譜めくりは練習中もかなりギリギリの線だったので、
一応、譜面台2本使って4枚を開いて置くことも考え、
楽譜は蛇腹につないでおいた。
だけど、穂高の練習では一度も失敗しなかったので、
本番でも自分でめくることにした。


本番では、練習どおり左手を伸ばした。
楽器のよけかたも上々、タイミングもバッチリ、
上手くいくはずだった。
しかし私は長時間引き込んだあとで左手がケイレン状態になることをすっかり忘れていた。
左手がケイレンしていて、つかみたい所がつかめない。
やっとカドをつかめたと思ったら、今度は
コントロールが効かず自分の意思とは関係なく
楽譜を手前に引っ張ってしまったのだ。
楽譜が譜面台から浮いた。
普通なら、そこで強引にでも押し込めば元にもどるのだが、
蛇腹が災いし、ほどけて4枚に開いてしまった。
左手だけで4枚に開いた楽譜を譜面台に戻すのは難しいので
右手も差し出した。
その拍子にバランスがくずれて楽器が下がってきた。
スクロールがつかえて両手とも譜面台に届かず
私は楽譜を両手にもったままジタバタ・・・。
結局、3小節ほど落ちてしまった。
時間にして10秒ちょいくらいだろうか。
うー、せっかく練習していったのに。
非常に残念だった。


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■温泉とマッサージ椅子
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今回は体力配分が上手くいったと思う
(全体練習ではちょっとズルしたけれど)。
ちょうど本番にピークを迎えることができた。
テクニックがどうこうよりもその辺の調整に一番気を使った。
ウォーミングアップは十分に、だけど疲れすぎてはいけない。
ヘロヘロの「ヘ」のあたりにしておくのがコツかしら。

そんなだったから練習後の温泉がとてもありがたかった。
入ったあとは体の芯まで温まり、お肌もスベスベ♪
そして、風呂上りは電動マッサージ椅子のお世話に。
これがまた気持ちよかった。
最近のマッサージ椅子はすんばらしい。
コントローラに液晶画面がついていて、
これからここをもむよ〜というのがわかる。
心構えができているから、マッサージされるのが苦手な私でも
安心して使えた。
温泉やマッサージ椅子のお陰かもしれないけれど、
期間中、疲れてはいたけれど痛いところはなかった。
つい数年前まではちょっと無理をすると手だの腕だのどこかの筋肉を痛めて、
バンテリンのお世話になっていたのに、最近は全くといっていいほど必要がない。
少しは脱力ができてきているのかな?



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■反省点
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このオフ会で、一つ反省すべきことがある。
バッハ組曲が初見であったこと。
そんな状態で参加してしまって、
ソリスト・マリポンには大変失礼なことをしたと思う。
「アマなりにもその時点でできうる最高の音楽を提供する」という
私のポリシーに反することをしてしまった。
組曲ではただ音符を追うだけで精一杯だった。
せっかくホールという場所をもらい、同じ時間を共有したのに、
私は少しもマリポンと音楽を交わすことができなかった。
非常に心残りだ。
ごめんね、マリポン。


NO.31 続・あご当てイタイ
2002/8/14[wed]23:46:56
通勤電車のに揺られながらも私はアゴ当てのことで頭がいっぱい。
痛さから逃れるための方法を、頭の引き出し全開で考えていた。
そして、とうとう開けてはいけない引き出しまで開けてしまった。
その引き出しは封印してあったのに。
「コノ抽斗危険ニツキ開ケルベカラズ」。
ヴァイオリンのアゴ当てをはずして、ヴィオラに装着・・・。
ああ、やってはいけない。
こんなことはやってはいけないのです。
皆さんは真似してはいけません。

アゴ当ての金具を外す専用の道具がないので、
太めのゼムクリップを伸ばして使用(真似しないでください大変危険です)。
以前ヴィオラのアゴ当てを外そうとしたときは、
コルクがニスにべったりと貼り付いていて動かすことすらできなかったが、
今回は簡単にとれた。
裏を見るとコルクは張ったばかりの新しいものだった。
調整に出した時、ついでにやってくれたのだろう。
エライぞ、墨田区Sヴァイオリン!
というか、もしかしたら魂柱調整ってテールピース外さないとできないのかも?
ためしにアゴ当てなしで弾いてみた。
アゴ当てなしというのも、一つの案だ。
弾けないことはない。
痛いアゴ当てが着いている時よりは安定して弾ける。
けれど、ポジションを上がることはできるが、下りることが難しい。
ポジションを上がる時は、「首」という壁がストッパーになり、
ポジションを下りる時は、アゴとアゴ当ての間で起こっている摩擦力がストッパーになる。
今の私だと、このストッパーがないと演奏は困難。


サブ・ヴァイオリンのアゴ当てを外す。
このアゴ当ては工房でいい具合に削ってもらったものだが、
裏を見るのは初めてだ。
なーるほど、音に極力干渉させないためにこう削るわけね。
コルクも、ふむふむ、わざとそうするか。
すばらしい、杉並区Sヴァイオリン。
見えない部分にも、いろいろな工夫が施されている。


さて、アゴ当ての装着で一番の問題になるのが金具の長さだ。
ヴィオラはヴァイオリンよりもかなり厚さがあるので、
アゴ当て本体は共用できても、金具はそれぞれ専用のものを使う、らしい。
だが、友人ヴィオリストから「ヴァイオリンのでもいけるよ〜」との証言を
もらっているので、私はやや強気である。

着いた・・・。
なんとかネジも数回回して固定することができた。
バンザーイ、バンザーイ。
本来ならば、楽器のカーヴに合わせて金具の角度だとか、
コルクの角度だとか調整するらしいが、この際ぜいたくは言っていられない。
弾くこともできなくて、何のための楽器か。
とりあえず楽器が楽器であるための最低条件を満たさねば。


臨時装着のヴァイオリン用アゴ当てはガルネリ型。
テールピースをまたぐタイプのもので、
アゴが当たる部分はかなりフラットである。

付け替えた後で構えて見た。
使用感はとっても快適。
そうそう、こうでなくちゃね。
音もすごく変わった。
明るく、軽くなった。
ちょっと軽くなりすぎの気もする。
弦で調整するか。

私の弾き方も変わった。
今までできなかったことができるようになった。
道具は奏者を助けることもあるし、奏者の足をひっぱることもある。

NO.30 あご当てイタイ
2002/7/31[wed]12:16:14
穂高オフまであと残すところ半月。
さほど練習が進んでいるわけではないけれど、
ヴィオラを優先するあまり本業(?)のヴァイオリンがおろそかになってしまった。
オケでは、さらってないのがバレバレで周りからの視線が痛い痛い・・・。
私が頼りないせいで、
インの人に大きくザッツを入れられる始末。なさけない。
特に一番奥の金管軍団からは体にピリピリ感じとられるくらいの怒気が送られてくる。
彼らいつでも全力投球である。真剣なだけに他パートにも厳しい。
視線が痛すぎて、怖くて振り向けない〜。


痛いと言えば、ヴィオラのあご当て(切り替え早すぎ)。
隆起が大きくてしかも山頂がとがっていて、以前から痛かったのだけれど
この期に及んで我慢ができないほどになってきた。
痛すぎてつい顔をそむけてしまい、楽器の方向が安定しない。
このあご当てつけている限り、これ以上上手くなれないような気がしてきた。
気分の問題ではあるけれど、気になりだすともういけない。
私の左手がモタモタしてるのも、しょっちゅう他の弦引っかけて重音鳴らしちゃうのも
全部あご当てのせいに思えてくる。

観念して、アゴ当てを購入するか・・・。
でも、楽器を工房に持っていったら土日が丸々つぶれちゃうなー。
貴重な土日、練習にあてるのか、楽器のメンテにあてるのか、
さて、どうしよう・・・。

NO.29 ヴァイオリンが弾けなくなってしまった・・・
2002/7/12[fri]18:0:53
このところヴィオラばかりにかまけてて、
ふと気づけばもう2週間もヴァイオリンに触っていない。
さすがにヤバイと思い今日は久々にヴァイオリンを弾いてみた。
すると、右手はコチンコチンだし、左指は鉛のように重いし、
自分の体がなにか別のもののようになっている。
関節や筋肉がすっかり固くなっちゃって全身にヨロイを着けたよう。
持ち替えはもうOKだと思っていたのにショック〜。

ヴィオラはこの2週間で、楽器にも弓にも手ごたえを感じはじめていたのだけれど、
同時に体はヴィオラ用にカスタマイズされてしまったらしい。
ヴァイオリンに必要な筋肉が落ちて、ヴィオラ用の筋肉がついてしまったということか・・・。
持ち替えがあるのならば、ヴィオラを弾いたあとにちょろっとでもヴァイオリンを弾いて、
ヴィオリストとヴァイオリニストの中間のあたりに体を作っておいたほうがいいみたい。

結局、この日ヴァイオリンの感覚が70%くらいに戻るまで3時間もかかってしまった。
そして、とうとう100%に戻らないまま力尽きた。
オケが休みの週でよかった・・・。

NO.28 6月1週目続き
2002/7/11[thu]1:17:20
引き続き楽器のメンテナンス。
弦を選びます。
選ぶといっても、今までバラバラだった銘柄を
統一するというだけのレベルの低い話。
まずは、D線ヘリコアM、これは私の楽器には弱すぎたので×。
安易だけど手元に在庫があったドミナントで統一することに決定。
しかしC線はまだ仕入れていないのでオイドクサのまま。
銘柄が違うせいかC線が他の弦よりもずっと太くて押さえにくい。
G線を弾く時にも時々引っ掛けてしまう。
これは早急にドミナントCを手に入れなくては。

通販で弦を注文する。
ヴィオラA弦の定番ヤーガーが品切れということで
同じく評判のよいラーセンにしてみた。
このラーセンのAにはヴィオラには珍しくボールエンドでなくループエンドがある。
ラッキー!
この間壊してしまったからヴィオラ用L型アジャスター(ボールエンド用)はないけれど、
ループエンドならあまっているヴァイオリン用のI型のアジャスターが使えるじゃない!
その方が見た目もスッキリだし。バンザイ!

注文して5日後、品物が届いた。
今回特に珍しいものは買っていないつもりだったけれど、
ラーセンのパッケージには驚いた。
四角い紙袋の裏側に、なんと封ろうがしてあるじゃないですか!
LSマークの赤い封蝋。
オシャレ〜。
しかし、私は見たとたん「なんて余計なことを!」と思ってしまった。
いや、かっこいいんだけれど、持ち運びにかさばるし、
なによりもったいなくて使えないじゃないですか(笑)。
見た目インパクトはあるけれど、
こういうことするくらいなら値段を安くして欲しいよラーセンさん。
そう思ってしまうのは私が貧乏だから?
さて、よく読んだらこの封蝋の色は弦の強さを表しているらしい。
レッドがミディアム、ブルーがソフト、イエローがストロング。
私はね〜、私はやっぱり赤が可愛いと思う〜♪
ほら、また惑わされてる(笑)。

さて、待望のドミナントのC線は、というと・・・。
なんとオイドクサCより太かった(爆)!!
どうやらヴィオラのC線というのはそういうものらしい。

NO.27 しらたまはD線にアジャスターを装備した
2002/7/4[thu]11:31:35
*******************************************************
しらたまはD線にアジャスターを装備した。
「シャキーン!」
そのアジャスターはノロわれていた・・・。
「えー、うそーっ!(怒)」
「うーん、うーん。まわらないよ〜、はずれないよ〜(泣)。」
*******************************************************

・・・なんだか昔やったファミコンのゲームを思い出してしまった。
D線に手が届かないので古いヴィオラ用のアジャスターを先日つけたばかりだが、
ニッケルメッキのこのアジャスターさびていてものすごく汚かった。
それで少し磨いてやろうと思って取り外し、再び装着したところ
途中でネジが回らなくなってしまった。
息を整え渾身の力をこめるが、ビクともしない。
ネジが回らなければアジャスターの意味はない。
しかも本体とネジでテールピースを挟み込む形になっているので、
ネジが回らなければ外すこともできない。

いかーん。もしかして、これ工房に持っていかなくちゃなんないの〜?
アジャスターたった1つのために?
忙しいのに、工房までいってらんないよ。

ああ、あのゲーム、呪われた武器を外すには
どうしたんだったっけ?
余計なことまで考えつつ奮闘すること小1時間。
指先も真っ赤になってもう限界、絶望しかけて目が宙を泳いだ。
その時、棚の工具箱が目に留まった。
「!」
ペンチを取り出し、ネジの頭を挟み込み慎重に力をこめる。
なんだか、少し動いたような気がする。
んん?動く、動くぞ、やったー!
と思ったら、ネジの頭「だけ」がヌルリと取れた。
しらたまは30のダメージを受けた・・・・。


ネジの頭が取れたおかげで壊れたアジャスターは取ることができた。
しかたなく元どおり普通にD線を張り、悲しい気持ちで調弦する。
すると、
「ん!?」
なんだ、なんだ?届くじゃないか!D線のペグに。

実はこのとき肩当なしで調弦していた。
肩当なしでかなりスクロールを下げた状態であればD線のペグにも
手が届くことがわかった。
そうか、肩当つけるとその厚さ分スクロールは遠くなるんだなー。
じゃあ肩当なしで調弦して、調弦のあとで肩当をつければいいんじゃん?
転んでもタダでは起きないしらたま!

NO.26 1年半
2002/7/3[wed]20:38:35
■6月1週目。
シュタルクさんのオフにヴィオラで参加することになった。
ヴィオラはずいぶん長い間触ってなかったので心配になって
ちょっと弾いてみた。
すこぶる弾き難い。
ただの木箱と棒のよう。
以前よりもさらに調整の悪さが気になった。
「このままでは楽器が足かせになるな」と思い
とうとうヴィオラを調整にだした。
実際は楽器のせいでなくても、自分が楽器に不安をもっていると
いい音はでてこない。

やりたいことはいろいろあるけれど、
楽器が借り物なので必要最低限にした。
魂柱の位置を変えてもらい駒を削ってもらった。
随分と弾きやすくなった。
音割れしなくなったので
安心して弓を預けられる。
ただ、以前よりも大人しい音になってしまったので
弦は華やかなものを選ぶ必要がありそう。
以前の割れがねを叩くような音がちょっとなつかしいかも・・・。


■6月2週目。
シュタルクさんから楽譜が届く。ハ音記号、全く頭に入らず。
たった4段を読むのに2時間かかる。
大丈夫なのか??
このペースで間にあうのか?
モーツァルトのCDを購入。


■6月3週目。
パート譜をみながらCDを通勤時間聞きまくる。
1日1時間くらい。
多少頭がハ音記号読みに慣れてくる。

D線のペグに手が届かず調弦ができないので
Dにもアジャスターをつけた。
見た目が悲惨〜。


■6月4週目。
CDにあわせて弾いてみる。
ところどころ落ちるけれど目だけはついていく。
よし、OK。これならいける。
1ページ目中段あたりと、フィナーレ部分が不安。
臨時記号と転調で全然音がわからない。

KUNの肩当がじゃまくさい。
厚みのある楽器なのでちょっと高すぎるのかも。
できるかぎり足をねじこんで低くしてみたけれどダメ。
ところどころ肩当が邪魔になってポジ移動や移弦が上手くいかない。
こころみに肩当を外して弾いていたら、こんどはアゴアテの隆起部分がリンパ腺を直撃。
いたた・・・。
このアゴアテ、ちょっと変わった形をしていて、隆起部分がとがっていて高い。
いやだなー。アゴアテ替えたい〜。
でもそこまでするならMY楽器買う・・・。

それにしてもヴィオラって全弓全速で弓を走らせることがとーっても難しい。
肘の回し方と楽器の方向をかなり研究しなくちゃだめだな。

弓の吸い付きが悪いのが気になった。
力が分散してしまって1点に集まらない。
この弓買った当時からこんなににぶかっただろうか。
それとも私の耳が変わったのか?
楽器を調整したためだろうか。
腕が鈍ったのかもしれないけど(それは多いにありえる)。
それともそろそろ毛替えが必要なんだろうか。
毛がバサバサしている感じはする。
うーん、やだな、やだな。

NO.25 1年と4ヶ月
2002/4/16[tue]10:47:5
仲間に誘われてバッハのブランデンブルク協奏曲6番1楽章に取り組むことになった。
6番はヴィオラ2本のためのコンチェルトで、ヴァイオリンなしの編成で書かれている(らしい。スコアなし。)。
ヴァイオリンがいない分、ヴィオラはのびのびと羽を伸ばし、歌いまくる。
ヴァイオリンを使わない、すなわち高音域が故意にカットされた響きは実に面白い。
ストイックかつ重厚でシブい。大地の広がりを感じる。
もしくは、男性ばかりを集めた会合。の、隣室で聞き耳を立てるとこういう響きかも。
今回使うのはピアノリダクション版でソロ・ヴィオラ2本+ピアノ。
本来は、第1ヴィオラ、第2ヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバスなのかな?
私は1stヴィオラの譜面をいただいた。
たぶんパートナーが私の譜読みの遅さを考慮してくれたのでしょう。


難易度はヴァイオリンで言えばニ短調 (BWV1043) ドッペルコンチェルトくらいかしら?
譜面ヅラはそう難しくは無いが、耳に柔らかい中音域で
終始人を飽きさせないよう魅力的に弾くのは相当な実力がいるだろう。
しかし、今の私はそんな高いところを目指しているわけでは全くない。
まずは、譜面を読めるようにしなくちゃだわ!
いくらハ音記号には大分慣れてきたとはいえ、
私がはじめて取り組む本格的な曲・・・いや!長くて早い曲、である。
おたまじゃくしがびっちり並んでいて、見ただけでクラクラする。
ちょっと気を緩めると、ト音記号読みしたり、ヘ音記号読みしたり、
勝手に転調しちゃう。いか〜ん。譜読みはカメの歩みである。
期限は1週間。間にあうのか、私?

NO.24 1周年!……と1ヶ月
2002/1/17[thu]21:56:15
あっという間に2ヶ月たってしまった。
最近あまりに忙しく、ヴィオラは週ニくらいでケースを開けて健康チェックするくらいで、
弾くひまがなかった。
だから12月は記念すべきヴィオラ一周年だったのに書きこむネタがなかった……。
やっとお正月休みに時間がとれたので(いや、本当はオケの曲をさらわなきゃいけなかったんだけど)、
久しぶりに弾いてみた。

そうしたら、昔感じていた持ち替えの時の違和感がほとんど感じられない。
ありもしないE線を弾いちゃうこともなく、ポジションを意識することなく音の位置がわかる。
音階が手のひらの中にある感覚。ヴァイオリンと同じだ。
頭の中に音マップができかけているのだ。
1時間ほど弾いた後でヴァイオリンに持ち替えてみたけれど、それも問題なかった!
やっとここまで来たか〜。うるうる。ちょっと感動。
ヴィオラを弾くのに十分な筋肉がついて、さらに力を抜けるところまでこれたってことなのね。

思えば、ヴァイオリンの練習はヴィオラのためになり、
ヴィオラの練習はヴァイオリンのためになった。
いい時期にヴィオラをはじめたと思う。
ヴァイオリンにとって、ヴィオラを弾くことはストレッチや筋力のトレーニングになったし、
ヴィオラにとって、ヴァイオリンを弾くことで素早い動きをシミュレーションできて、かつ強制的な脱力にもなった。
でももし十年前の私だったら、一度期に両方はできなかったかもしれない。

ハ音記号は架線が多くなるとやっぱり数えちゃうけれど、以前よりは断然読むのが早くなった。
逆に、ヴァイオリンに持ち替えたときにト音記号をハ音記号読みしちゃって、苦笑。
体力的には休憩を入れれば3時間はOK。でも、やっぱり次の日ぐったりしちゃうんだけど。
肩当なしだと、サウンディングポイントが少し自分側に寄るので右手と背中がラクに感じる。
だけど、C線の5thにのぼるときは(体格的にかなり無理があるから)肩当なしだと楽器が横滑りしてちょっと危険。
今は半々くらいでつけたりはずしたり。

でも新しい曲を取り込むヒマがなく、
同じ曲ばーっかり弾いているからレパートリーがちっとも増えない。
ん?もしかして、それって上手くなっているとは言えないのかな?

NO.23 11ヶ月目
2001/11/20[tue]11:18:32
相変わらずヴァイオリンの方が忙しくて、ヴィオラをさわるヒマがないので、
無理やりアンサンブルの予定を入れて、強引にヴィオラを弾かせてもらう。
ハ音記号は、C線上の低い音域は数えないと読めないが、
その他は大分すんなり読めるようになってきた。

最近ようやく落ち着いて自分の出している音に耳を澄ますことが
できるようになってきた。
そして、自分の音程が甘いと感じられるようになった。
それを修正する努力も少しづつできるようになってきた。
音程が低くなってしまった場合、どこから低くなったのか、
なぜそうなったのか、分析しなければ改善のしようがない。
それが少しずつできるようになってきた。
いい傾向だ。

ヴィオラはヴァイオリンよりも音程のツボが広い。
ヴァイオリンはちょっとした指先の角度で微調整が可能だけれど、
ヴィオラは指を振り下ろした後で修正がほとんど効かない。
ヴァイオリン以上に、振り下ろす前にポジションをよく吟味することが大切。
左手手首から肘のラインでポジションをとる気持ちになると安定する。
指で「お迎え」に行っていては、力強いストロークを振り出せない。
どちらかと言うとヴィオラは肘の重みで弾くのかな?
ヴァイオリンだと意識を手のひらに置くけれど、ヴィオラだと意識を肘に置いた方が上手くいく。


先日、知り合いのヴィオラをさわらせてもらった。
弦高が低くて押さえやすい!
これが普通なのか〜。ショック。
私の楽器はかなり指板が下がってきているようだ。
ハイポジションを押さえこむのに時間がかかる。
押さえ込むときのアクションで、弓もぶれがち。
駒を削ってもらうべきなんだろうな。
でも、駒だけで済むのだろうか。
ネック差替えになったら大ごとになるな〜。

調弦するのに、まだちょっと時間がかかるけれど、
これはペグの状態のせいもあるかもしれない。
コンポジションを塗っても、思う場所で止まってくれない。
ひと削りしてもらいたいなー。

NO.22 G線切れる
2001/9/17[mon]0:16:59
今日、ケースを開けたらヴィオラのG線(オイドクサ)が切れていた。
なぜ、G線ばかりよく切れるんだろう(T_T)。
泣く泣く弦を交換する。
今度は周囲のヴィオリストに人気の弦、Helicoreを張ってみた。
・・・あ、ダメだ。まろやかすぎてG線の音だけ落ち込んじゃう。
この楽器にはもっと明るい音の弦がいいみたい。

ちなみに、今私の楽器には、
E線、ラーセン
D線、ドミナント
G線、ヘリコア
C線、オイドクサ
が張ってある。
バラバラだ・・・・(^^;。

切れたG線を見ると、上駒よりもペグ側で切れている。
「もったいないなー。」
はっ?!。この長さならヴァイオリンのGに張れないか?
貧乏症の私、早速試してみた。長さ十分。G音まで調弦もできた。
けど、やっぱり張力などが心配で使うのは怖くてやめた。


実験ついでにヴァイオリンのE線を張り替えることにした。
Infeld「赤」のE線の古弦を引っ張りだしてきた。
以前使っていてすぐに音がひっくり返るため途中で使うのをやめた「赤」。
「この金色メッキが滑る元じゃないのか」
そう思っていた私は、「赤」のE線を張ったあと、
サウンディングポイントを銀磨きで磨いてみることにした。
磨き布を2〜3回往復させるだけで金色はすぐに落ちて
銀色の線が剥き出しになった。
「これで使えるかも・・・」
期待に満ちて弓を当ててみた。
「ツルン」
あれ?

弓を動かして見た。
「スカ、スカ、スカ」
およよ。滑っちゃって音にならない。
金色のメッキは伊達じゃなく
ツルツルの表面の滑り止めの役目をしていたのね〜!!

NO.21 8ヶ月目
2001/9/4[tue]10:28:33
昨日はヴィオラを連続3時間弾いた。
朝起きると、肩甲骨のあたりの筋肉に鈍い痛みがある。
ヴィオラを弾く時、かなり無理してるんだなー。
でも、3時間持っていられたのはすごい。我ながら快挙。
この分だとあと数か月もすればオケの舞台OKかも(ハ音記号での譜読みは別として!)。

この間の四重奏の舞台(私は2ndヴァイオリン)をビデオで撮影してくださった方がいたので、
テープを借りて自分の演奏している姿を見た。
あらあら、私ったら、相変わらず姿勢わる〜い。もっと背筋をピンとせねば。
それに、速いパッセージになると弓が5cmも動いていないことに気が付いた。
かなり激しく動いていたつもりなのに、これじゃお客さんも見ててもつまんないわね。しょぼん。
手が小さいと、弓の支持点(?)も狭いから、指にかかってくる衝撃が大きい(と思われる)。
加えて指の力が弱いので、弓が暴れるのを恐れて演奏がこぢんまりしちゃう。
ヴィオラを始めてからかなり指の力ついたように思ってたのに、まだまだ足りないんだなー。
よーし、カッコイイ演奏(とりあえず見た目だけ)目指して、筋トレするぞ〜。

NO.20 ついに譜面台を買いました
2001/8/30[thu]12:30:38
オオハシ産業 ミュージックスタンド MSA 101-B 560g 長さ470mm(折りたたみ時)

譜面台を持ち歩くことが多いので軽いものを探していました。
ウィットナーの譜面台を持っていますが1kgほどあってちょっと重いのです。
YAMAHAから軽いのが出ていてそれも候補だったのですが、台が狭くてちょっと不安定。
大きな楽譜をのせるとふらふらするのです。
で、見つけたのがこれ。
軽いけれどなかなかしっかりした作りです。
ハネがついているので大きな楽譜もOK。
しか〜し、折りたたんでも長さが470mmあります!
専用のナイロンバッグつきなので別に持ってもいいのですが、
普通のバッグには収まりきらないですねー。
ただコンパクトにならない分構造が単純なので、
ウィットナーの複雑な折りたたみ方にイライラしている方にはおすすめかな(笑)。

NO.19 新しい弓、使用感
2001/8/20[mon]11:4:40
●音がでかい。
*-*-*-*-*-*-*
ヴィオラは箱が大きい分、ヴァイオリンよりも音量が豊かだ。
だから、弾いていて満足感がある。
しかし、弓を替えてから、一回り音が大きくなった気がする。
以前なら、常識的な時間帯なら弾いても問題なさそうだったけれど、
今は、近所の人が生活音を出していそうな時、昼食時間とか夕食の支度時間とかじゃないと、なんとなく音を出すのに気が引ける。
ヴィオラは音域的には気に障らないだろうけれど、低い音というのは、意外に外に漏れたときの減衰が少ないらしい。
気の弱い私は(本当か?)、しかたなくミュートをつけて練習する。
ダメだ〜。これじゃ上手くなれないよ。


●失敗だったか?
*-*-*-*-*-*-*
音はでかいが、新しい弓がどうも手に馴染まない。
軽くて柔らかい、借り物の弓の方が弾いていて気持ちがいい。
弓先まですんなり走るし、移弦もラク。
右手が自由に動くので、その分感情込めて歌える気がする。
「私の弓の選択は失敗だったのかなー?」と思う。

今日は、MDでヴィオラの音を録音してみることにした。
新しい弓と、借り物の弓で同じ曲を交互に弾いてみた。

録音を聞いてみると、借り物の弓で弾いた方はカスカスの音だ。
表現したものが、半分も伝わってこない感じだ。
それに比べて、新しい弓の方は自分としてはぜんぜん歌えていない気がしていたのに、
なんとなく艶やかで彩り鮮やか。
やっぱり、この弓を選んでよかった。

たぶん、こういうことなんだろう。
借り物の弓は、その性能の100%(近く)を使いこなせているから、満足感がある。
また、反応が鈍く、アラを拾わないので、気持ちいい。だけど逆に表現力もない。
新しい弓は、まだその性能の一部しか使えていないから、満足感がない、
小さな力の変化にも鋭敏に反応するので、アラが目立って気持ちよくない。
満足は上達の最大の敵と見た。
天井は高いほうがいい。
でも、重いんだよなー、この新しい弓(泣)。



●スクリューを磨く
*-*-*-*-*-*-*
新しい弓のスクリュー(弓のしっぽについているねじ)が固い。
回し始めからすでに固いけれど、毛を1cmくらい張ったところが限界で、それ以上回すことができなくなる。
おかしいと思ったので、スクリューを抜いてみた。
錆びていた。
表面に黒いポツポツが見えて手で触ってみると、ざらざらしていた。
潤滑剤としてワセリンを少量塗ってみた。(真似しないでください。責任もてません。)
少しはすべりが良くなったけれど、やっぱり1cm以上は張れない。
ワセリンをつけつつねじを磨いてみた。
黒い錆びが布についた。
でも、まだ固い。
銀磨きの布を出してきた。
ごっしごっしとねじを磨く。(再び、責任もてません)
お、回った!
回るぞ、回るぞ、どこまでも・・・。

NO.18 ヴィオリストデビュー
2001/8/8[wed]11:41:6

先日チェロのパート譜(ヘ音記号)を読んでいたら、いつのまにかハ音記号読みしていました。
私はこれまでヴィオラのハ音記号をヘ音記号読みしてしまうことはありましたが、まさかその逆をやるとは思いませんでした。
それだけハ音記号が馴染んできたってことでしょうね!ちょっと嬉しい。
そろそろオケ曲もいけるかな?

先日、ヴィオラで某アンサンブルに参加したのですが、
人前で弾く機会を与えられると本気になるのでいいですねー。
これをきっかけに、大分上達したしヴィオラ弾きとしての自覚も出てきたように思います。
人間追い詰められると、普段以上の力を発揮しますからね(笑)。
本番の出来は問題じゃなく、本番へ向けての集中力と努力が重要なんです。

*-*-*-*-*-*-*-*
最近になってようやく落ち着いてヴィオラを点検する余裕がでてきました。
良く見ると、この楽器、

A線が駒に深く食い込んでいる、
ネックよりも指板の幅が少し狭く、境目に段差がある、
魂柱が表板を押し上げていて、表板を指でなぞると表板の盛り上がりで魂柱の場所がわかってしまう(かなりやばい!)、
のです。
早急に調整に出さなくちゃダメだわ。
でも借り物だから、勝手に調整にだすわけにもいかず・・・。

NO.17 ヴィオラ弓を購入
2001/7/16[mon]3:12:54
弓の選定

ついにヴィオラ弓購入を決意。
きよさんの紹介で大手楽器店にヴィオラ弓を20本ほど用意していただく。
価格は3万〜10万円。
ひとつの場所に同価格帯でこれだけの数のヴィオラ弓を集められるとは、さすがは大手です。
普通、弦楽器は専門店以外で購入するべきではないと言われますが、
店員の知識やアフターケア、割引をあてにしないならば、これもありでしょう。



さて、私はこんな風に弓を選んでいきました。

安いものから一本づつロングトーンして、
それぞれのコンディション、毛の張り具合や松脂のつき方を確認します。
お店の人が一通り用意してくれているのですが、
何分専門家ではないのでどうしてもムラがありがちです。
それを一定に揃えて、まずは準備です。
松脂にムラがある状態では弓の性能を比べることはできません。

20本のうちの半数ほどは松脂を塗りなおす必要がありました。
ここまでで、すでに15分経過。
10本も塗りたくると松脂で手がベタベタです。

試奏室の響きにも慣れる必要があります。
大方の試奏室は、狭い空間で反響が大きく、普段よりも大きな音、響く音に聞こえがちです。
それを差し引いて考えなければなりません。

さて、20本を価格の高低で2つのグループに分けて順位をつけることにしました。
一般的にこのくらいの価格帯ならば、値段の順に性能は良くなっています。
一本一本を比べていけば、3万の弓は10万の弓には到底かなわないでしょう。
しかし、まれに値段のわりに特別優れているものがあります。
それを見逃さないように、上は上で、下は下でベストを選ぼうと思ったのです。

再びppのロングトーンで、雑音の多いものを外していきます。
次にC線で圧力をかけたとき弓がつぶれてしまわない、弓のコシのあるものを。
そして音量。どの音域でも均一に大音量が出せるもの、音量の変化が滑らかなものを。
あと、早いスピカートで発音の速さ・音のまとまりを見ていきます。

ここまでで約1時間。
4本の弓が残りました。
10万1本、8万2本、3万1本。
ふう。
かなり疲労。
ヴィオラをフルパワーで1時間、しかも人前で弾くのはつらいです。
頭も耳も疲れてだんだんわけがわからなくなってきたぞ。
ということで5分休憩。

気を取り直して、楽器を構える。
中弓を弦に押し付けて弾力を見る。
8万、3万、10万、8万の順で柔らかくなっている。

一番柔らかい8万は、他のに比べて音量が出ない、ということで外す。
あと3本。
自分の持ち弓(借り物)とかわるがわる持ち替えて使い心地や音を比べてみる。
8万と3万は、C線で音がつぶれない、コシが強いという点ではすでに合格だけれど、
音が硬い。高い倍音が出づらい。2本とも同じようなタイプ。
また3万円は、どちらかと言うと線が細い、ヴァイオリン寄りの響きになる。
そして、10万のものよりは右手で小細工しなければ音量がでないので、長時間弾く時に疲れるかもしれない。
店員さんに意見を求める。
店員さんは、
「こっちの弓はこういう音、そっちはこう、聞こえます」
と両手で空中に図形を描いて表現してくれた。
10万の方はふんわりとした大きな丸、3万の方は先細りの三角。
うん。的確な表現。
3万でがまんするか、一番いいと思われる10万のにするか、ってことです。
8万出すんだったら10万出すのもそう変わらないので、8万はパス。

結局、長く使うことを考えて10万のにしてしまいました。
お店側の策にはまったかしら(笑)。
カールヘフナー、ドイツの量産品です。
72g。ヘッドはサルトリータイプ。
3万の、捨てがたかったんですが、ヴァイオリンっぽい音になってしまうところが引っかかって「あとで不満が出て買い替えになるかも」と思ったのが決定の理由になりましたが、どこかで活躍して欲しい一本でした。

結局決定まで2時間かかりました。
店員さんも長時間よく付き合ってくれました。
私が「長時間つき合わせてすみません」と謝ると、
「いいえ、弓によって全然音が違って聞こえるのが面白くて、全然飽きませんでした。」って言ってくれました。
私も、違う楽器を弾くくらいの音の違いを感じました。
性能だけじゃなく、キャラクターが違うんですね。
明るいキャラクター、シブいキャラクター、率直なキャラクター、
どれが悪いというのではなしに。
プロが曲によって弓を変える気持ちが分かる気がするなあ。
さあ、ヴィオラ練習するぞー!!

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