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2004年8月14日です。 また、大変な事故が起きてしまった。 冒頭から余談となるが、 ただし、このような疑いを持って、調査すべきは、国家の保安に関わる中枢のスタッフである。彼らは、世論の流れとは無関係に、常に冷酷な視点を持ちつづけることが期待される。 アメリカのスリーマイル島の原発事故の際に、最初にかけつけたのは、CIA対破壊工作の捜査官だったと、以前、落合信彦氏の著作で読んだことがある。(真偽は不明) 私自身、サボタージュの可能性はありえないと思うし、想像もしない。このような大規模なプラントの配管材料の破壊を、意図的にタイミングを狙って起こすというのは、後述するようにまず不可能だからである。 が、これは凡人の発想?であるからであって、サボタージュの可能性を疑い続ける人は国家の中枢においては秘密裡に存在しなければならないと思う。サボタージュの場合は、今回の事故が長崎原爆の日であったことも、重要な意味を持つかもしれない。 ところで、今回の美浜原発事故は、事故の恐ろしさのレベルからいうと、1999年のJCOの臨界事故よりも格下である。実際、原子力安全・保安院は事故の評価を、ゼロプラスレベル(ほとんど影響なし)と暫定発表している。(少し低すぎる気がするが) しかし、再発性の観点からは、今回の美浜原発事故は、JCOの臨界事故よりも深刻である。なぜなら、JCOの臨界事故はつまるところ、労務管理の不徹底が引き起こした事故であり、原因が不明な事故では全くなかった。 一方、今回の美浜原発事故は、原因を突き止めるのに、まず時間がかかるであろうし、結局、ある原因が最も疑わしい云々のレベルで終わってしまうかもしれない。と書いていたが、朝日新聞2004.08.12によると、今回の配管破裂の原因は、「減肉」が広範囲に起こっていたためとされているが、なぜ、このような減肉が起こったのかは判らない。 (引用はじめ) 配管の肉厚は年平均で0.31ミリ進んでいたという計算も報告された。配管で減肉が進むと穴が生じることが多い。ところが、今回の事故では、配管がバナナの皮がめくれるように延性破壊していた。このことから内部で減肉がかなり広がっていた可能性が高い。(朝日新聞2004.08.12) 里屋和彦です。 (引用はじめ) 里屋和彦です。 伝えられているように、美浜原発の二次冷却水の配管延長全体を検査し終えるのに、定期検査ベースで40年かかるという。ということは、当然、一回の定期検査で、全配管延長を検査している訳でない。 この時点で、当然ながら、一定のリスクは入っている。 しかしながら、オリフィス下流についていえば、下記の毎日新聞(2004.8.11)によると、加圧水型原発を持つ関電以外の4社はいずれもオリフィス周辺の減肉調査をマニュアル化しているとある。 (引用はじめ) 里屋和彦です。 ただし、あくまでこれは管理体制としての事故の原因の追究であって、このことと同時に、減肉(下記の新聞記事参照)が、これほどまでに進んだ原因は学問的に突き止められなければならない。日経新聞2004.8.13より引用する。 (引用はじめ) 保安院は、破損部分の肉厚を超音波計測装置を使って測定。関電のこれまでの発表では、破損部分の肉厚は最も薄い部分で1.4ミリとされていたが、破裂してめくれ上がった配管の内面に長さ約3センチの亀裂が走り、そばに2カ所、肉厚0.6ミリの薄い部分があった。保安院は摩耗によるものか、破裂の際に薄くなったのかは不明としている。(日経新聞2004.8.13) 里屋和彦です。 もっと、厳密に言えば、今回の美浜原発では、材料の破壊力学の観点から、設計として見逃されてしまった条件があるのか、それとも、そもそも破壊力学の理論の不完全な部分であったかという点は大いに議論されるべきである。 また、余談であるが、関西電力は、稼動中の原発8基順次停止して点検するそうである。一昨年の東電データ隠蔽事件に端を発した原発停止を思い起こさせるが、今回の停止は充分に納得ができるものである。配管の予想を超えた減肉の原因がまだわかっていないからである。 しかし、東電の時の原発停止は、全くの政治的なものであり、実態に合わない基準自体が問題であった。専門家は、原発停止に理不尽に追い込まれる状況を苦々しく思っていたに違いない。 従って、個人的な見解であるが、東電の時は謀略の線も大いに考えられるが、今回は起こそうと思ってタイミングよく起こせる性質のものではないため、単なる事故だと思う。(繰り返すが、これは、冒頭に書いたように凡人だからである) 無論、このような事件を梃子に、攻勢をかけることは十分に考えられるのであるが。電気新聞2004.8.13によれば、既にこの攻勢による成果が現れ始めた。 (引用はじめ)
2004/08/10(Tue) No.01
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