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エネルギーに関するネットワーク産業の代表は、電力である。 電力の自由化には、多義的な意味があるが、大きく二つの流れがある。 (引用はじめ) 【第三者アクセス方式】 イギリスを嚆矢とする発・送・配電の分離という方法は、原理的にもともと電力ビジネスが国営で営まれていた諸国で使われてきた方法である。いわば人工的設計である。 (引用はじめ) 英国の大思想家エドモンド・バークを周知のサッチャーが行ったこの強制的な自由化。バークならどんなコメントをするであろうか? 余談であるが、欧州で電気事業が、国営企業となっていった経緯は興味深い。 (引用はじめ) 欧州諸国でなぜ、「国家・独占事業体」というモデルへの収斂が起こったかということについては、当時の欧州の経済思想、社会情勢から推測するならば、この時期欧州はちょうど社会主義思想の影響が強まり、「民間資本」の活動に対する懐疑が広がり、社会政策の重要性を重視する動きが目立っていた。すなわち、現代社会にとって最も重要な基礎材であり、大きな発展可能性を持っている「電気」という商品を民間資本の手に委ねてはならないというイデオロギーの梃子が働いたのではないかと推測される。(「電力の改革の構図と戦略」西村陽 34,35頁 エネルギーフォーラム2000年11月) 一方、第三者アクセスは、発・送・配電の分離を前提とするものではないが、発電事業者が電力会社の送配電施設を使って電気を送ることを委託(託送)する場合、料金算定の公平性の担保、末端市場での新規事業者と電力会社との公正な競争の担保といった点で、電力会社内部で利害の対立が生じるために、結局は、電力会社内部の発・送・配電部門の明確な経理分離、分社化といった方向に引っ張られている。
2001/08/28(Tue) No.01
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