少年――長瀬祐介――は『そのモノ』と出会う。
運命に導かれるように。
「な、なんだこりゃ!? 化け物!?」
祐介は、目の前の巨大な存在に驚愕の表情を浮かべる
「…………」
「え? 『化け物ではありません』?」
その祐介に、技術一課E計画担当博士――来栖川芹香が静かに答える。
「…………」(こくん)
「で、でも! どう見たって、これは……」
「…………」
「『科学と魔術の融合により造り出した究極の汎用決戦兵器。人造人間ウマンゲリオンです』?」
「…………」(こくこく)
「人造……人間……ウマンゲリオン」
芹香の出した名を無意識に反芻する祐介。
「…………」
「へ? 『別名はセバスチャンです』? って、別名があるんかい!?」
少年は少女と心を通わせるようになる。
神秘的。そう表現するのが最適と思われる少女と。
その少女の名は――月島瑠璃子。
ウマンゲリオン零号機(別名:長瀬おじさん)パイロットである。
「長瀬ちゃん」
「え?」
「わたしは死なないわ。…………あなたが守るもの」
「……………………おい」
「こんな時、どんな顔をしたらいいのか分からない。本当はうれしいはずなのにね」
「そんな時はね、笑えばいいと思うよ」
目に涙を溜めて、祐介は瑠璃子に優しく諭す。
「…………長瀬ちゃん」
「瑠璃子さん」
「……………………」
「……………………」
「…………電波届いた?」
「なんでやねん。会話に繋がりが無いでしょうが」
「晴れた日はよく届くから」
「答えになってないよ」
「知らないわ。わたしは3人目だから」
「わけわかんないって」
さらにもう一人。
ウマンゲリオン弐号機(別名:フランク長瀬)のパイロット――新城沙織。
「ひぃ~のぉ~たぁ~まぁ~スパーーーーーーイクッ!!」
沙織の操る弐号機の必殺技が使徒に炸裂する。
その必殺技を受けて、真っ二つにされる使徒。
「おみごと」
沙織の戦闘力の高さを目の当たりにして、祐介は素直に感嘆する。
「どう、祐くん? 戦いは常に無駄なく美しくよ」
「うん、凄いよ。……って、沙織ちゃん! 敵はまだ動いてる!!」
「えっ!?」
戦いの中で、祐介と沙織の絆は深く強い物となっていく。
「折角やったのに。………やだな………ここまでなの?」
ケーブルが切断され、マグマの中を沈降する弐号機。
だがその時、ふいに沈降が止まる。
「え? なに?」
呆然と目を見開く沙織。
その耳に、聞き慣れた声が飛び込んでくる。
「沙織ちゃん!」
「……!! ゆ、祐くん!?
…………ばか…………無理しちゃって…………」
少年は恐怖する。命を懸けた戦いに。
少年は怯える。いつ壊れても不思議ではないほどの重圧に。
だが、少年は前に進む。
守りたいと思う人たちがいるから。
家族の温もりを知らずに育った少年にとって、特務機関ネルフ作戦部長来栖川綾香は姉であり、特務機関ネルフ特殊監察部所属藤田浩之は兄であった。
ネルフ本部のエレベーター内で、綾香が浩之に抱き締められている。
「……っ! やだ! 見てる!」
エレベーター内に設置されている監視カメラの目を気にして、綾香は何とか浩之を振りほどこうとする。
「誰が?」
だが、浩之は綾香の抵抗を抑えながら白々しく尋ねてきた。
「誰って……んっ……んんっ!」
綾香が答を言うより先に、浩之によって口を封じられる。
……と同時に、身体中から力を抜く綾香。先程の抵抗がウソのように、素直に浩之に身を委ねる。
長いくちづけ。狭い密室の中に、舌の絡まる淫靡な音が響く。
「…………ぷはっ。……ち、ちょっと待て綾香! お前、受け入れてどうするんだ!? 抵抗しろ、抵抗を!」
「抵抗しろって言われても……あたしが浩之のキスに抗えるわけないじゃない。…………抗う気もないけどゥ」
「抗え! つーか、台本を無視するなーっ!」
「うるさいわねぇ。男のクセに細かいことを気にしないの。そんな事より、続きしよ♪」
「……お前なぁ……」
『友』の存在も、少年にとって本当に大切なものであった。
「こら、和樹! 掃除をサボるんじゃなーい! 今日こそ逃がさないからね!!」
教室内に少女――クラス委員長、高瀬瑞希――の怒声が響く。
「み、見逃してくれ、瑞希! 時間がないんだ。原稿が……原稿がーっ!!」
その怒声を受け、千堂和樹は両手を顔の前で合わせて瑞希に頼み込む。
だが、瑞希は冷ややかな声で切り返す。
「関係ないわ。もし、今日も掃除をサボったら……明日からあんたのお弁当作ってこないからね」
「うぐっ! わ、分かった。参ったよ。掃除します。いえ、させていただきます」
観念して、肩をガックリと落とす和樹。
「うん。よろしい♪」
対照的に、非常に上機嫌な瑞希であった。
「うむむ。女の尻に敷かれまくっているとは。えーい、情けない! 情けないぞ、まい兄弟!!」
そんな二人の様子を見て、彼らの友人である久品仏大志が嘆いていた。
家族や友に支えられながら、幾多の戦い・苦難を乗り越え、少しずつ成長していく少年少女たち。
そんな彼らの前に、『最後の使者』が姿を現す。
「浮気はいいねぇ。リリンが生み出した文化の極みだよ」
「…………そういうことを平然と言いますか、あなたは」
「今の発言はシナリオ外の出来事よ。千鶴ちゃん」
「ふっ。問題ありませんよ、ひかりさん」