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マルチの話 番外篇
哀しみよりは笑顔で
くのうなおき
「それじゃあ、今日は帰りが遅くなるから、先に夕ご飯食べててくれないか?」
「ええ、わかったわ。それじゃあ気をつけて行ってくださいね。」
「ああ」
と夫は答えると、「お~~い琴音、途中まで一緒に・・・・・」
と言いかけて、黙ってしまいました。そして視線を私に移し、苦笑を浮かべます。我が家のお姫様は、また「思考のループに突入中」でした。
「あはは・・・・」と、ばつが悪そうに苦笑する夫、私もつられて笑ってしまいます。
そして私達は、娘の思考を中断させぬよう、そ~~~っと、リビングを出て、玄関に向かいました。
「やれやれ・・・ここのところずっと、あの調子なんだからな・・・・・。」
ちょっと嫉妬のこもった口調で、夫が言います。そう、あの子が「思考」に入るときは、必ずと言っていいほど、ある
一人の男の子の事を考えているのですから。父親としては、娘が自分以外の男の人の事を考えているという事は、
自分から娘を奪われるようで口惜しいものなんでしょうね。
「だけど、これでいいのかな・・・・?『彼』には、ちゃんとした恋人の女の子がいるんだろ?」
夫が心配そうに言います。
「大丈夫ですよ、私達が思っている以上に、あの子はしっかりしてるから。藤田さんと神岸さんのことを全て承知して、邪魔しないようにしてるんですから。それに・・・・・・」
「それに?」
「もし、そのことであの子が辛い思いをしたら、悲しい気持ちになったら、今度こそは私達が受け止めてあげましょうね。」
「・・・・・・・そうだな・・・・・・・・・、今度こそは・・・・・・・・」
そのまま私達は黙り込んでしまいました。あの子が「超能力」に苦しんでいた時、私達は何もできなかったようなものでした、ただどうにもならない大きな問題の前に、あの子以上におろおろするばかりでした。前向きに、前向きに
問題と向かい合う事を忘れていたあの頃・・・・・・・・・、我が子のような年頃の、恋人達に教えられた大切な事。
でも、いつまでもそのことでくよくよしていても仕方ないですよね。
そう思って、私は目を覚まさせるように、「パンパン!」と、手を鳴らします。夫は催眠術から解けたように、はっとした表情を見せました。
「お互い辛気臭くなるのはよしましょ?何かあったらその時はその時、どっしり構えてなきゃね♪」
「ま、そうだな・・・・」
少し照れくさげに呟く夫、そして「それじゃあ行ってくる」と言って玄関を出て行きました。夫を見送って、私はリビングへと戻ります、あの子はまだ「思考中」なのかしら?
「・・・・・・藤田さん、今度は何が食べたいですか・・・・・?・・・・・・え・・・・・・?ええっ!?。そ、それはあ~~~~~~・・・きゃん♪そ、そんな・・・・あかりさんに悪いです、いけません、不義理ですう・・・・・・、で、でも・・・・・・・藤田さんが望むなら・・・・その・・・・わたし・・・・・・・・・(ぽっ)」
・・・・・・・・・・・・・・・、まだ思考中でしたね・・・・・・・・・・・・・。
「はあ」と軽いため息をついて、私は娘の前に座ります。「思考」にふけってる娘の顔は、とっても幸せそうで、明るくて・・・・・、「超能力」に苦しんでいたあの頃がまるで嘘のように感じます。いえ、もともとこの子は、明るい子だった、それが「超能力」を持ってしまったことが、この子の哀しみのはじまりだった。
・・・・・・・だけど、ちょっと明るくなり過ぎたかな?って思うときもしばしばです。いつぞやお友達の葵ちゃんと一緒に、唐草模様の手ぬぐいでほおっかむりして、藤田さんと神岸さんのデートの後をつけていたのを見た時には、思わず二人にハリセン突っ込みを入れてしまいましたし、「お母さ~~~~ん、こんな事できたの~~~~~♪」と言って、家の周りをぎゅんぎゅん飛び回ってる日には、どこかの国の悪い組織に捕まったりしないでしょうか、と心配になってしまったりします。もっとも、今のこの子なら、そんな人達なんか、返り討ちにしてしまうんでしょうけど。
藤田さんのことについても、以前は、私も夫と同じように心配はしていました。だって、この子の部屋を掃除しようとして入ったら、いきなり、彼の大きな引き伸ばし写真がお出迎えしてくれたんですよ、それくらいの、この子の彼への思い入れの深さに不安が無かったと言えば嘘になります。
・・・・・・・・だけど、それでも私はこの子を信じています、そして明るくなったことをとっても嬉しく思います。
今、この子の周りには、お友達がたくさんいます、この子の事を理解して支えになってくれる素晴らしいお友達が、この子の部屋には、藤田さんの大きな写真以外に、もう一つ大切にされている写真があります。この子と、藤田さん、神岸さん、葵ちゃん、森本さん、来栖川さん、佐藤さん、保科さん、宮内さん、雛山さん、長岡さん・・・・・・・・・・、沢山のお友達に囲まれてとびっきりの笑顔を見せているこの子の写真でした。これを見たとき、わたしはこの子の全てを信じることにしました。この子にとって藤田さんは大好きな方、でもそれ以上に、この子は、藤田さんと彼と共にいる方々が大好きなんですね。
「・・・・あふう・・・・・、藤田さん・・・・、そ、そこは・・・・・え?・・・・・・『とっても甘くておいしいよ』?ですか・・・・いやん・・・・・わたし・・・恥ずかしいです・・・・・あっ、藤田さんの舌が・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・、そろそろ「思考」も危なくなってきましたし、このままほっておくと遅刻してしまいますね・・・・・・・。
「えい」
ポコッ
「・・・・・あっ、ママ・・・・・?あ、あれ・・?パパはどうしたの・・・・・・・?」
おでこを軽くこつんとされて、夢から覚めたような表情で、あたりをきょろきょろと見回す娘、私は「やれやれ・・・」と苦笑します。
「もう・・・、パパはあなたが、『考え事』してる間に、とっても寂しそうな顔をして出かけたわよ。」
「あ・・・、そ、そうなんだ・・・・・・・・・」
ちょっと大袈裟な言い回しに、心底すまなさそうな顔をする娘。私は「ふふっ」と微笑むと
「藤田さんのことを考えるのはいいけど、少しはパパの事も思ってあげないとね・・・、パパ拗ねちゃうわよ♪」
「え、え、え、え!?あ・・・・う、う、うん・・・・・・・・・・・・」
娘は、しばらく顔を真っ赤にしてうつむいていましたが、時計をみると、途端にあわてて鞄を持って玄関へと駆け出していきます。
「い、いけな~~~い、もうこんな時間!!」
「もう、ここの所、いつもいつもこの調子なんだから・・・、朝から『考え事』するのもいいけど、度を過ぎると遅刻しちゃうわよ。」
「あうあう~~~~~~~・・・・、ママの意地悪う~~~~~~~~・・・・・・」
「さ、いつまでもそんなとこでぐずぐずしてると、本当に遅刻しちゃうわよ。」
「こ、こうなったら・・・・、よし!!アレを使って・・・・」
娘のその言葉に私はぎょっとします、ひょ、ひょっとして・・・・空を飛んでいくんじゃ・・・・・!?
「じゃ、いってきま~~~~~す♪」
と、明るく玄関を飛び出していく娘を、思わず私は追いかけました。さ、さすがに空を飛んでくのはまずいんじゃ・・・・・!!
「こ、琴音!!空は止めなさい、空は!!」
しかし、娘はにっこりと笑うと
「大丈夫よママ、そんな人騒がせなことはしないから。」
と言って、地面すれすれに体を浮かせると、まるでホバークラフトみたいに滑るように
ばびゅ~~~~~~~ん!!
と駆けてゆきました・・・・・。はあ・・・・・、それだって結構騒がれると思うんだけど・・・・・・・。
ここ最近は私も夫も、あんな調子の娘に振り回されっぱなしで、ため息を付かない日など、一日もないという状況です。
でも・・・・、それでも・・・・私達は幸せだと感じています。娘には、哀しい顔よりも、底抜けな明るい笑顔でいて欲しいから・・・・。娘の幸せは、私達の幸せだから・・・・・・・。
「腕白でもいい、逞しく育って欲しい」と言った感じでしょうか?ニュアンスとしては間違っていませんよね?
・・・・・・・・・すでに、娘の姿が見えなくなった方向に、私は「いってらっしゃい」と声をかけました。そして心のなかで語りかけます
「皆さん、今日も、娘を宜しく御願いします・・・・・・・」
終
後書き
ほのぼの~~~~、とした琴音ちゃんの話を書こうと思ったのですが・・・・・・・・
はあ・・・どんなものでしょうかねえ?(^^;;
何というか、いくら手段を講じても、「もうオフィシャルな彼女には戻れない」って
思うのは私だけなんでしょうか?(笑)
全く、一体全体、こんな琴音ちゃんにしたのは誰なんだろうか?まあ、私は好き
ですけどね、ぶっ壊れ琴音ちゃんは(^^
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