浩之さん・・・・・・・、どうしたんですか・・・?
 
 どうしてそんなに悲しい顔をしているんですか・・・・・・?
 
 あなたの前で、わたしは笑っていないのですか・・・・・・?
 
 
 
 
 
  

        Hiro様生誕XX周年記念(笑)贈呈SS          To Heart   マルチの話          思い出が一つになる時                               くのうなおき
 幾度も幾度も繰り返し、決して覚める事のない「夢」というわたしの世界。 幾度も幾度も繰り返す、浩之さんとの楽しい時間。  わたしの目の前にはいつも浩之さんがいて、わたしに優しく語りかけて くれます、笑ってくれます。  二度とめを覚ますことは無い、わたしに許された終わりの無い時間。  そんな時間が突然変わってしまいました、観覧車で向かい合って 笑っていた浩之さんは、浩之さんの部屋で悲しそうにわたしを見つめて いました。  「前みたいに、笑ってみろよ・・・・・・・」  「前みたいに、甘えてこいよ・・・・・・」  「また、頭なでてやるからさ・・・・・・・」  辛そうに、それでも笑顔を見せようとして話かけて下さる浩之さんに わたしは笑おうと、浩之さんの胸に飛び込もうとしました、だけど 浩之さんの悲しそうな表情は変わることはありませんでした。  そんな浩之さんの悲しそうな姿は何度も何度も繰り返されました。 何故わたしはこんな夢をみるのでしょうか?これがわたしの望んだ 世界なんですか?、わたしの夢なのに、どうして浩之さんを悲しませて しまうのでしょうか?  浩之さんはわたしを抱きしめてくれます、わたしの頭を撫でてくれます。 だけど悲しみの顔は消えません。  どうして、どうしてなんですか!?せっかく夢の中であなたのメイドロボット になれたというのに、あなたの笑顔が見れないなんて・・・・・・。  浩之さんの顔が、何かを決意したようにみえました。そしてわたしに 話しかけてくれました。  「マルチ、掃除をしてくれないか・・・・・・・?」  お安いご用です、わたしは掃除をはじめました。浩之さんに喜んで 貰う為に一生懸命に掃除をしました、ようやくわたしが浩之さんの 為に出来る事が出来ました。  不意にわたしは、浩之さんに抱きしめられました。浩之さんは涙を ためて、「マルチ、ごめんな・・・、ごめんな・・・・・・」と言っていました。  「マルチのこころは生きているんだよな・・・・・。」  「笑わなくたって、マルチはマルチなんだよな・・・・。」  涙を拭いて、浩之さんは笑顔で言いました。やっと。浩之さんの 笑顔を見る事ができました。そして笑顔は二つになりました、浩之さん とその隣にいる女の人、あかりさんでしたね?とっても優しそうな人、 浩之さんに向ける目が優しさにあふれて、その目がわたしに向けられて ・・・、頭をそっと撫でてくれます。  「これから、よろしくね、マルチちゃん。3人で・・・、思い出を一杯作ろうね・・・・。」  あまりお話ができなっかった人でしたけど、浩之さんと一緒にいる姿がお似合いな 人と思っていました、あんな二人のそばにいたいとも思いました、それがこんな夢を 見させているのでしょうか?  「はい、わたくしこそよろしくお願いします!」    そう言おうとしたとき、お二人の姿が霞んで、消えてしまいました。わたしの 目の前は白くてもやもやとしていました。  『マルチ・・・・・・・・』  えっ?浩之さんですか?  もやもやの向こうでわたしを呼ぶ声がしました。  やがて、目の前がはっきりとしだしました。そこは浩之さんの部屋でした、そして わたしの前に浩之さんがいました。  これも夢・・・・、いえ、違います夢ではありません、浩之さんの息遣いが、わたしを 見つめる浩之さんの優しいこころが、たくさん、たくさん感じられました。  わたしは、今浩之さんの目の前にいるんですね。  「マルチ!」  今度は、はっきりとわたしを呼ぶ声がきこえました。わたしを呼ぶ浩之さんの顔はとても 心配そうでした。でも、もう悲しい顔はさせません、だってこれは夢ではないんですから、 わたしは、浩之さんのそばにいるんですから。  わたしは、たくさんの想いをこめて応えました。  「浩之さん・・・・・・・・」と        「その夢はな、お前が帰ってくる前のことだったんだよ」  再会のお祝いの時、わたしが見た夢の話をすると、浩之さん はそう言いました。  「お前の妹が笑顔をみせられない、そんなことは覚悟の上だったんだが、 それでも、辛かった。お前のこころはお前の妹達に受け継がれなかったのか と思った。」  「でもね、マルチちゃんのこころはちゃんと受け継がれているのよ。」  あかりさんが優しい笑顔で言いました。  「掃除をやってくれている時のお前はとても一生懸命だった、言葉 では出なくても、お前の一生懸命なこころを充分感じられた。」  「きっと、いえ、絶対にマルチちゃんの妹達にも、マルチちゃんの 頑張るこころは受け継がれている、浩之ちゃんもわたしもそう思うの。」  「例え笑わなくても、甘えてきてくれなくても、マルチはマルチ、そう 思ったんだ。」  わたしがわたしの体に戻る時に、戻る前の「思い出」が夢となって わたしに入ってきたんですね。わたしが戻るまで、浩之さんはとっても 辛い思いをしたんですね。  でもわたし、とっても嬉しいです、浩之さんもあかりさんも、あんなに わたしを思ってくれて、わたしを、わたしの妹達を理解してくれて。    こんなお二人に会えてわたし、わたし・・・・、とっても嬉しいです・・・・・・。  「わあっ!?ま、マルチ!どうしたんだ!!?」  「マルチちゃん、どうしたの!?」  「ご、ごめんなさい、でも・・・・・・泣いても、泣いてもいいですよね・・・・?」  お二人はわたしをしばらく見つめて言いました。  「しょうがねえなあ、甘えん坊さん。」  「嬉しいときにはね、一杯泣いていいんだよ。」  そして二人の手がわたしの両肩を抱いて、わたしはお二人の体に抱き寄せられました。  「改めて言うよ、マルチ、これから3人ずっと一緒だからな。」  「3人で一杯、一杯思いでを作っていこうね。」  そう言う、お二人の顔は夢の中と同じように優しい笑顔でした。   だからわたしも・・・・・・・・・・・・  「はい!わたくしこそよろしくお願いします!!」  夢の中では言えなかった一言を、わたしは精一杯の笑顔を 見せて言いました。                 「ううっ・・・・、泣かせるわよね~、あんたたち・・・・・・・・ぐしっ・・・・・」  「ねえ長岡さん、やっぱり黙って入ってきて、挙句覗きってのはまずいんじゃないの?」  「何言ってるのよ!チャイムを何度も鳴らしても、出てこないヒロ達が悪いのよ、 まったく、このあたしが落ち込んでるヒロを慰めてあげようと来てあげたのに、あいつら ったら、勝手にハッピーになっちゃってて、ぶつぶつ・・・・・・。 大体、そんなに気が咎めるなら、入ってこなければいいんじゃない?綾香さん?」  「あ、あ、あ、あたしは、来栖川の人間として、マルチが来るのが遅れちゃったせいで 浩之に迷惑をかけたことをお詫びしようとしてきたわけで、呼び鈴をいくら鳴らしても 出てこないから、どうしちゃったのかな~、まさか、自殺なんてしてないよね?って 心配になっちゃったから、入ってきたわけで、やっぱり覗きは良くないけど気には なるじゃなーい、ね、姉さん・・・・って、あれ?」    「わっ!?せ、先輩!いつのまに・・・・って、え?何度も呼び鈴を鳴らしたんですけど お出でにならなかったので心配のあまり黙って入ってきてしまいすいません?」  こくこく  「い、いえ、ついつい話に夢中になったオレ達も悪かったから・・・・・、え? 今回はマルチさんのことで、ご迷惑をおかけしまって、本当に申し訳ありません ですか・・・・・・・。  ・・・・でも、それでオレ達は大事な事を教えてもらいましたよ、マルチに・・・・・。」  「芹香先輩、せっかく来てくださったんですから、マルチちゃんの歓迎会一緒に どうですか?]  こくこく  「それじゃあ、椅子を用意するから、ちょっと待っててくれないか?あ、先輩一人なんだ?」  こくこく  ・・・・・・・くすっ・・・・・・・・・・・・(素直が一番ですよ)  『『ぐはーーーっ!!抜け駆けーーーっ!!裏切り者ーーーーっ!!デビルマーーーーンッ!!!』』                 終       後書き  「マルチの話」を今後も書いていくのなら避けて通れないテーマ と思い、今回この話を書きました。  この手の話では、既に良いSSが多数ありますので、今更という 考えもありましたが、自分なりの話を、と考え直しました。  マルチが戻ってくるまでの浩之の思いは色々と考えられます、 だけど、やはり浩之には前向きでいて欲しいと思います、だから こういう話にしました。  マルチのマルチたる所以は、その一生懸命さにあるのでは ・・・?なんて思うこの頃です。  最後にHiro様、誕生日おめでとうございます!!
 ☆ コメント ☆ セリオ:「良いお話ですねぇ。感動してしまいました」(^^) 綾香 :「むー」(--) セリオ:「マルチさん、幸せになって下さいね」(^0^) 綾香 :「むー」(--) セリオ:「もっとも、既に充分すぎるくらい幸せかもしれませんけどね」(^^) 綾香 :「むー」(--) セリオ:「……って、さっきから、何を唸ってるんです?」(;^_^A 綾香 :「むー」(--) セリオ:「芹香さんが抜け駆けしたのが、そんなに悔しかったのですか?」 綾香 :「むー」(--) セリオ:「まあ、気持ちは分かりますけど」(;^_^A 綾香 :「むー」(--) セリオ:「でも、素直になれなかった綾香さんが悪いんですよ」 綾香 :「むむむー」(--;;; セリオ:「……自業自得ですね」 綾香 :「……………………しくしくしく」(;;)  ・  ・  ・  ・  ・ 芹香 :「……人間、素直が一番です」(´`)v



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