To Heart SS マルチの話
琴音ちゃんいけません!
くのうなおき
はあ・・・・・・、なんでわたしはこんな事をしているのでしょうか・・・・・・?
今、わたしはデパートの婦人服売り場にいます。
わたしの目の前には藤田さんと、あかりさん、マルチちゃんがいます、といっても
わたしは物陰に隠れて、3人をみているわけで、こんな調子で、もう二時間あまり経って
います。えっ?ストーカーですって?ととと、とんでもないことです!い、いつもこんな事
しているわけじゃありませんよ、今日はたまたま、街で藤田さん達をみかけて、声をか
けようかどうしようかと迷っている内に、こんなふうに後をつける形になってしまったわけで
そんな、いつもいつも藤田さんを追いかけて、夜藤田さんの家に電話なんかかけて、「うふ
・・・・、お楽しみの寸前で申し訳ございません♪」とか「はあ・・・・・、はあ・・・・・・、浩之さん
・・・・・、今わたしなにしていると思いますか・・・・・?」なんて言ったり、藤田さんが出した
ごみ袋をあさって、ティッシュなんかを・・・・・・・、きゃっ!?わ、わ、わ、わたしったら
な、な、な、なんてはしたない事を言ってるのでしょう・・・・・・、と、とにかくわたしは
そんな事を断じてしていません!!
とにもかくにも、藤田さん達に一声かければこんな怪しい事をせずに済むのに・・・・。
一言、「こんにちわ」と言えばそれでいいのに、何故それが言えないのでしょう、お邪魔
虫と思われたくないから?それもありますよね、あんなに楽しそうにしている藤田さん
達の前にわたしが来たら、せっかくの家族の楽しい一時が台無しにされないでしょうか、
藤田さん達はわたしを恨みますでしょうか?そのような事はないとは分かっています。
高校時代、超能力に悩まされていたわたしを、親身になって励まし、一緒にいてくれた
藤田さんにあかりさん、あの時、恋人同士になったばっかりで二人っきりの時間だって
たくさん欲しかった筈なのに、わたしなんかのために一生懸命になってくれた、そんな
人達が二言三言、会話を交わす程度で気を悪くするとは思えません、ま、まあ・・・・、
普通は誰でもそうなんですが・・・・・・。
ふう・・・・・、そうは思ってもなかなか、藤田さん達の前に出れないんですよね・・・・。
何というか、あの3人の幸せそうな中にわたしが入っていっていいのでしょうか?
ちょくちょく、藤田さんの家に葵ちゃんと一緒に遊びに行って、皆と楽しい時間を過ごして
はいますが、それはやっぱり、わたしの方にも藤田さんの方にも、事前に心の準備
みたいなものがあるからであって、いきなり目の前に出ちゃったら、どう思うのでしょうか?
でも・・・・・・、あ~あ、これじゃあ堂々巡りです・・・・・・。わたし、あまり利口ではありません
よね・・・・・いじいじ・・・・。
目の前にいる3人は、とても幸せそうで、このままそっとしておきたいようで、それでも
やっぱり、あの3人とお話がしたくて、決断がつかないままこうしているわたし。ああ・・・
、もし、あかりさんが今いる所にわたしがいることができたのなら・・・・・・、なんていけません!
わたしったらなんて事を考えているんでしょう、わたしが好きになった藤田さんは、あかりさん
を、そしてマルチちゃんを想う藤田さんなのに、そんな事、高校の時から分かっていたのに、
お二人の結婚式の時、幸せそうな表情のあかりさんを見て「この人が藤田さんのお嫁さん
で本当に良かった」と思っていたのに、それでもなかなか想いは捨てられません、う~ん
、でもあかりさんだって大好きですし、やっぱりわたしにとってお姉さんみたいな人だし。
ならば愛人でも・・・・・、本妻と同居の愛人なんておかしいけど、でもでも藤田さんとあかり
さんならOKして・・・・・なんて、なにバカなことを考えているの!?やっぱりここはマルチちゃん
と同じように妹みたいな関係で・・・・・・、だけどマルチちゃんって妹というよりは娘のような
、え~い、娘でもいいわ!!あの3人と一緒にいられるのならって、アホかい!!
ああ・・・・、まったくわたしときたら、どうしてこうバカなことを考えているのでしょう、たかが
声をかけるくらいのことで・・・・・・・、へんな妄想を抱いたりして。もう・・・、みんな藤田さん
とあかりさんが悪いんですからね、お二人がわたしに優しくしてくれたから、人と接する
勇気を下さったから、だから今わたしはこんなに悩んでいるんです。ふふっ、勝手ですねわたしも。
よし、お二人に責任をとってもらう為にも、藤田さん達にあいさつしよう!!
あいさつだけですからね、けっして愛人にしてくださいとか、妹でもいいです、なんて
いいませんからねっ!
何だか、簡単な答えを出すのに大きな手間をくってしまいました。わたしは3人の所へ
行こうとしました。
「ちょっと、失礼ですが」
びっく~~~~~~~っ!!ひょ、ひょっとして警察の人!?わたしをストーカーだと思って!?
「ち、ち、ち、ち、ち、違います~~~~~!!」
思わず叫んだ拍子に、わたしに声をかけた男の人の頭上に金だらいが現れてまっすぐ落下
しました。
ごわわわ~~~ん!!
最近、アポーツ(物体引き寄せ)という能力が身についてしまいました。これは自分が引き寄せたい
と思うものを瞬時に持ってくるもので、ものはテレポートするように現れます、でもまだまだ使いこなせなくて
おどろいた拍子についつい発動してしまうんです・・・・・・・、わたし、金だらいなんか出したかったのかな・・・・。
男の人は頭に直撃をうけて
「次まいりましょう、次どうぞ」
といってばたっと倒れてしまいました。「だめだこりゃ」と言わなかったところにこの人の妙なこだわりを感じました。
「えっ?こ、琴音ちゃんどうしたんだ!!」
気がつくと、藤田さん、あかりさん、マルチちゃんがびっくりした顔でわたしの横に立っていました。
男の方は、私服の警備員さんでした、お店の方から、怪しい女の人がいるとの通報を受けて、その
怪しい女であるわたしに声をかけたという事でした。頭に金だらいをぶつけてしまった事は、藤田さん
達とわたしの説明で納得してくれたようで、お咎め無しにしてくれました。でも、藤田さん達がわたし
に気付いてくれなかったら今頃わたしは、変質者扱いされていたことでしょう・・・・・・、う~、怖いです。
結局藤田さん達には事情を話さざるを得ませんでした、でも藤田さんもあかりさんも笑わずにわたし
の話を聞いてくれました。
「ふう・・・・、琴音ちゃんさあ・・・・、もう少し俺達を信用してくれよ・・・・・・・・・」
藤田さんがちょっと辛そうな顔で言いました。
「わたし達はいつだってあなたや、葵ちゃんが来てくれるのを歓迎するわよ。」
あかりさんが微笑んで言ってくれました。
「はい、お友達と一緒にいるのはとっても楽しいですから。」
マルチちゃんもあふれんばかりの笑顔で言ってくれました。
「そうそう、変な遠慮は無しだぜ。」
えっ、えっ、いいんですか・・・・・、そんな事言ったらわたし・・・・・・・・・、って違う!!
「はいっ、これからは変に遠慮はしません。」
わたしは笑顔で答えました。
「でも・・・・・、控えるところは控えますけど・・・・・・。」
あっ・・・・、藤田さんもあかりさんも顔をあからめてうつむいてしまいました。ううっ・・・・・、余計な
事を言って、すみません・・・・・・。
「あっ、そうだ、琴音ちゃん、夕ご飯食べに来ないか?」
藤田さんが照れ隠しのように言いました。
「そ、そうだね、一緒にご飯食べようよ。」
あかりさんも、顔をあからめたまま言いました。
「はいっ!」
わたしは元気よく返事しました、ふふっ、遠慮してはいけませんよね。
「わーい、今日は琴音さんも一緒です~。」
マルチちゃんも大喜びです、そんなマルチちゃんを見ていてわたしも、とっても嬉しくなりました。
わたし、あなた達とこれからも楽しく過ごして行きたい、藤田さんが好きだから、いえ、あなた
達が大好きだから・・・・・・・・、いつか、わたしに愛するひとができたらきっと藤田さん達みたいな
・・・・・・・・・・。
それまでは、甘えさせてくださいね・・・・・・。あっ、妹でいいですから、お兄さん、お姉さん♪
終
後書き
とりあえず壊れ気味の琴音ちゃんの話です。
ラストがなんか志保の時と同じようですが、これは私の未熟さゆえ・・・・・、精進します。
☆ コメント ☆
葵 :「うー」(--)
琴音 :「ん? どうしたの?」
葵 :「琴音ちゃん……先輩たちと夕ご飯……」(--)
琴音 :「え?」
葵 :「琴音ちゃんだけ……抜け駆け」(--)
琴音 :「え? あ? う?」(@◇@;
葵 :「ずるい」(--)
琴音 :「う゛っ」(--;;;
葵 :「ずるい」(--)
琴音 :「あうあう」(--;;;
葵 :「わたしも、先輩たちとご飯を食べたかったのに」(--)
琴音 :「ううっ。ご、ごめんなさい」(--;;;
葵 :「わたしがご飯に招待された時は、琴音ちゃんの事も、『必ず』呼んでるのに」(--)
琴音 :「あ~ん。ごめんなさ~~~い」(;;)
葵 :「もっとも、遊園地やプールに誘われた時は………………。
あ、今の無し」(--;
琴音 :「ちょっと待った!!」(ーーメ
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