「女子空手部!ランニング行くぞ!」
押忍!!!!!
サッカーの練習をしていたらとても大きな声が聞こえてきた。
「なぁ垣本、女子空手部のあの綺麗で強そうな人知ってる?」
「お前そんなのも知らないのかよ…
あの人は二年で女子空手部主将になった坂下好恵だ。」
「へぇ…」
凛々しい人だ。僕の彼女への第一印象はそうだった。
「気の会う運命」
「はぁ、今日も疲れた…」
「おい佐藤、先に帰るぞ」
「あぁ、またな垣本」
さて、あとはボールをしまえば僕も帰れる…って誰かうずくまってる。
「大丈夫ですか?」
「余計な心配はいらない」
うずくまってた人物は女子空手部主将、坂下好恵だった。
どうやら捻挫をしているみたいで足首が赤く腫れていた。
「あの、他の部員は?」
「先に帰った。わたしは後片付けをしていたのだが、足を滑らせてしまって」
「じゃあ、僕の背中におぶさりなよ。保健室まで連れて行ってあげるよ」
「へ?」
「だから、おぶさりなって」
「余計な心配はいらないと言っただろう」
「それでも女の子が怪我をしてるのをほおっておけないよ」
「物好きな奴だな。今回は言葉に甘えるとしようか」
「それじゃあ」
彼女は意外に軽かった。
「お前、名前は?」
「僕は佐藤雅史」
「佐藤か、覚えておく」
そんな会話をしている間に保健室へたどり着いた。
「それじゃああとは先生にまかせるね」
「佐藤、世話になったな」
「いいよこれぐらい」
坂下さんの怪我は保健の先生にまかせて僕は帰宅した。
次の日
「あれ?スポーツドリンクが一つあまったな?」
そうか、今日は垣本が休みだった。
「これどうしようかなぁ」
その時空手部道場を見ている坂下さんを見つけた。
「坂下さん、どうしたの?」
「あぁ、なんだ佐藤か。思ったよりも捻挫がひどくてな、部活は休みだ」
「ふぅん、そうなんだ。あ、そうだこれいる?」
手にもっていたもう一個のスポーツドリンクを差し出した。
「いいのか?」
「元々余ってたやつだからいいよ」
「あ、ありがとう」
「いいよいいよ」
「佐藤、この前のお礼と言っては何だが、いい場所を教えてやる」
「どんなところ?」
「ついてこい」
僕は言われるままに坂下さんについていった。
「ここだ」
そこは道場の裏でちょうど木陰になっていて涼しかった。
「そこのベンチに座ろう」
「う、うん」
そうして二人でスポーツドリンクを飲んだ。
「なぁ佐藤、お前は体育祭は何の種目に出るんだ?」
「う~ん、多分クラス対抗リレーになると思う」
「そうか、私といっしょだな」
「もし一緒になったら負けないよ」
「私も負けるつもりは無い。空手だけでなく足にも自身がある」
こうして坂下さんと楽しく雑談をした。
体育祭当日
「雅史、リレーのアンカー、がんばれよ」
「うん、がんばるよ、浩之」
「雅史ちゃん、ファイト!」
「雅史~しっかりしなさいよ~」
「あかりちゃんも志保もありがとう。それじゃいってくるよ」
リレー参加者待機場所には坂下さんがいた。
「お前もアンカーか、この前もいったが負けないぞ」
「僕だって」
こうしてリレーが始まった。
アンカー直前までは坂下さんのクラスの方が早い。
「お先にな」
坂下さんは余裕の笑みで駆けて行った。
少し遅れて僕のクラスのバトンが来た。
「負けられない!」
僕は全力で走った。
そのうちに坂下さんの背中が見え、ついには追い抜いた。
そしてゴール。
「やったぞ雅史~!」
「雅史ちゃ~ん!」
「よくがんばったわね雅史!」
みんなの声援が聞こえてくる。
「負けたぞ佐藤。正直お前があんなに速いとは思わなかったぞ」
「ははは…一応サッカー部だしね」
体育祭も最後のプログラムのフォークダンスに差し掛かった。
みんな自由に踊っている。
「あれ?いないな…」
僕は人ごみのなかで坂下さんを探していた。
「もしかしたらあの場所かな」
僕の足は自然と道場の裏へと向かっていった。
そこに彼女は居た。
「坂下さん、こんな所に居たんだ」
「私はあんな人ごみのなかで踊るというのは苦手でな」
「じゃあさ、僕と踊らない?」
「え?」
「ほら、ここなら誰もいないしさ」
「…そうだな」
「僕じゃ役不足かな?」
「いや、そんなことはない」
僕は彼女の手をとり、踊り始めた。
「佐藤」
「ん?何?」
「リレーの時のお前の走り、惚れ惚れするような走りだったぞ」
「僕は足だけが取り柄だからね」
「そうか」
運動場から流れてくる音楽に合わせてしばらく二人で踊り続けていた。
「坂下さん」
「なんだ?」
「坂下さんってかっこいいよね」
「それは女子に対しての褒め言葉ではないぞ」
「いや、そう言う意味じゃなくてなんていうか、僕の心を引き付けるかっこよさというか」
「…それは告白ととってもいいのか?」
「告白は大げさだけどね」
運動場から聞こえていた音楽が鳴り止んだ。
踊りの最後として僕は彼女を抱き寄せた。
「でも僕は坂下さんに惹かれているよ」
「そうか、面と向かって言われると恥ずかしいな…でもな」
坂下さんは僕により一層抱きついてきた。
「私も気持ちはお前と同じだ。好きとまではいかないがお前に惹かれている」
「今はそれで十分だよ…」
「何で私はお前に惹かれているのだろうな。自分でもよくわからない」
「理由なんてなんだっていいさ」
僕たちはしばらく抱き合っていた。
その姿をみていたのは誰もいなかった。
後書き
久しぶりに書いたSSなのでちょっと軽めのを書こうと思いましたが、
カップリングが異色ですねw
まさかサブキャラ同士をくっつけるとは思いませんでした。
これからも僕は雅史主体で書いていきたいと思いますのでみなさんよろしくお願いします。