「ねえ、あかり。」
「どうしたの志保?」
「アンタさぁ、ヒロの家によく行<よね。」
「・・・よくって程じゃないけど、たまに・・・。それがどうしたの?」
「晩御飯作りに行ったりとかするんでしょ?」
「・・・うん。他にはお掃除とかお洗濯とか・・・。」
「ヒロってさ、一人暮らしみたいなもんじゃない。」
「そうだね。」
「・・・と言う事は、ヒロの家で二人っきりって事だよね。」
「・・・う、うん。そう言う事になるよね。」
「・・・変な気、起きない?」
「・・・え?」
「もう! 鈍いわね!『その気になんないのって!』って聞いてるのよ!」
「え? え! え~!」
題目 『 小さな約束 』
じゃ~~~。
カチヤカチヤ・・・。
(・・・その気・・・か。)
今日志保に言われた事を、頭の中で反芻してみる。
志保にはカの限り否定しておいたけど、あれから浩之ちゃんの顔を見る度に変に意識しちゃう。
決して、嫌とか言う訳じゃな<って、むしろ・・・とか思ってるけど、まだ私達高校生だから早いかな・・・なんて・・・。
でも、私がこうしてお台所に立ってるのを見て、浩之ちゃんってば、もしかして欲情なんかして、後ろから抱きついて来たら・・・。
一応・・・ホントに一応、形だけは拒むふりだけするんだけど、ホントは全然そんな気なんて無くって、求められるがまま
されるがままに身を委ねちゃったりして・・・。
それから、抗う気なんてこれっぽっちも無いくせに、『ダ、ダメだよ、浩之ちゃん・・・。』とか一応言ってみたりすると、
浩之ちゃんったら、『良いじゃないか、な、あかり・・・。』とか言いながら、浩之ちゃん、色んな所に荒々しく手を伸ばしたりして・・・。
私は、『ダ、ダメ・・・』とか殊勝な事を言いつつも、浩之ちゃんの愛撫に身も心も熱くなってきたら、やっぱり浩之ちゃんに
あ~んな事や、こ~んな事まで、『御奉仕』するんだろうなぁ・・・。(真っ赤)
じゃ~~~。
カチャカチャ・・・。
・・・それも・・・良いかな・・・・なんて・・・。
・・・きゃっ!(真っ赤)
じゃ~~~。
カチャカチャ…。
「・・・・・・・・・・・・・・・? あかり?」
「きゃっ!!」
ぱりん! ぱりん! ぱりん! ぱりん!
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
「ったく・・・・何やってんだ。」
「ご、ごめんなさい、浩之ちゃん・・・。」
浩之ちゃんと二人で、コップやお皿の破片を拾いながらうな垂れてしまう。
う”ぅ・・・。
だって、だって・・・。
だって、脳内暴走幕進中だった時に、急に浩之ちゃんの声が聞えたものだから、ビックリしちゃって・・・・。
思わず洗い物を落としちゃった・・・。
「浩之ちゃん、ごめんね。後は私がやるから・・・居間に行っててくれる。」
「良いって。急に声をかけた俺も悪いんだしな。それより、早い所片付けようぜ。」
そう言いながら、いっしょに破片を集めてくれる浩之ちゃん。
私の失敗で、浩之ちゃんに迷惑をかけてしまい心苦しく感じる。
思わず伏目がちになってしまう。
「うん。ありがと。」
私の一言を最後に、キッチンは沈黙に包まれた。
破片を拾う、カチャ、カチャ・・・と言う音だけが嫌に響く。
お皿4枚に、コップが2個、浩之ちゃんのお茶碗に、私が使ったお客様用のお茶碗・・・。
そう言えば、お皿とか割るなんて久しぶり。
滅多にしないんだけど、やっぱり弁償とかした方が良いのかなぁ・・・。
「痛いっ・・・。」
他所事考えながら破片を拾っていたら、突然指先に痛みが走った。
ガラスの破片で切ったのか、見る間に真っ赤な鮮血が流れてきた。
「如何したあかり。」
驚いて何も出来ないでいた私の所に、浩之ちゃんは駆け付けてくれた。
「・・・あ。」
浩之ちゃんは私の指を怪我を見ると、何も言わず私の手を取り傷口を吸って<れた。
「ひ、浩之ちゃん・・・。」
強張る指先に、浩之ちゃんの舌がちろちろと動く。
くすぐったい気持ちとは違う感情が、体の中を駆け巡る。
痒れるような感覚に身を委ね、小さな声を上げそうになるのを必死で堪える。
浩之ちゃんの舌が私の指に絡まり、蠢き、吸われる度に、背筋に電流が走った型のように、ビクッ、ビクッとする。
甘い吐息を吐きつつ、耳まで真っ赤にした私は、半ば茫然自失になりながらトロンとした瞳で浩之ちゃんを見詰めた。
「結構深いな。指を高くして、ちょっと待ってろ、救急箱持って来るから。」
「・・・はっ。う、うん。」
ちょっとだけ・・・ほんのちょっとだけ、あっちの世界に飛ぴかけた私に、浩之ちゃんの言葉が遠くから聞こえる。
我に返るも、ぼぉ~~~っとしたまま生返事をするのが精一杯。
だって、頭の中はちょっとだけピンク・・・。
・・・仕方ないよね。
結局、簡単な応急処置をしてくれた浩之ちゃんは、私を居間に残して後片付けを始めた。
私の様な、どじどじっ子が一緒に居たら、浩之ちゃんに迷惑をかけるだけ・・・。
悲しい気持ちで胸の中が一杯になる。
「お待ちどう・・・・あかり?」
浩之ちゃんの声のする方に見上げる私。
私の目に写ったのは、涙に彦んだ浩之ちゃんの姿。
急いで涙を拭ったけど、泣き顔を見られちゃった。
「何泣いてるんだ。」
「あ・・・うん・・・ごめんなさい。」
顔を背けて、膝に置いた両手をぎゅっとさせた。
浩之ちゃんは、何も言わずに私の近くまで歩いてきた。
叩かれるのかなぁ・・・との思いから、体がビックっと強張る。
「バカだなぁ・・・皿割っただけで俺が怒ると思うか?」
優しい言葉といっしょに、浩之ちゃんの手が私の頭に乗り、髪をくしゃくしゃっとする。
たったそれだけの事で、悲しい気持ちが無くなり、優しさや、いたわりといった感情が私の中に伝わって<る。
「・・・ううん。でも、今日割った分くらいは買って・・・。」
「良いって。皿やコップなんか沢山有るから、気にするな。」
「・・・う、うん。ありがとう。」
浩之ちゃんの体に、おでこをちょこんと当ててみる。
浩之ちゃんは、そんな私の頭を優し<抱きしめながら、ゆっくりと撫でてくれた。
「その替わりと言っちゃあ何だが・・・。」
「え?」
・・・帰り道。
何時もの様に、浩之ちゃんが私の家まで送ってくれる。
短い間だけど、二人だけの夜の散歩。
私の大好きな時間。
結局、浩之ちゃんに志保との話を全部言わされた。
そしたら、浩之ちゃん突然笑い出して・・・。
『あのバカ、あかりにも言ったんだな。実は、俺にも言ったんだよ、あかりと一緒にいて『その気』にならないかって。
ほんっとに呆れた奴だ! いったい何考えてんだろうな。』
浩之ちゃんと私、きっと志保にからかわれたんだ。
それが判った途端、変に意職してた自分が可笑しくって、浩之ちゃんと一緒に笑っちゃった。
「あかり、明日の放課後暇か?」
「・・・え? う、うん・・・暇だけど。」
「じゃぁ、ちょっと付き合え。」
「どこに?」
「そう言えば、俺の茶碗とかも割っちまったから、買いに行こうかなと思ってさ。」
「あ、そう言う事なら・・・。」
「それに、何時までもあかりの茶碗が『お客様用』じゃ、悪いだろ。」
「・・・・え? あ・・・・う、うん!」
・・・帰り道。
何時もの様に、浩之ちゃんが私の家まで送ってくれる。
短い間だけど、二人だけの夜の散歩。
私の大好きな時間。
でも、今日はちょっとだけいつもと違う。
小さな約束と一緒に、優しい・・・・・。
浩之ちゃんの腕の中、目を開けた私の前には浩之ちゃんの優しい顔。
二人とも、頬を朱に染めて見詰め合う。
「・・・・浩之ちゃん。」
思わず、浩之ちゃんにカいっぱい抱きついちゃった。
嬉しさと、喜びと、幸せな気持ちが少しでも浩之ちゃんに伝わりますように・・・。
私の気持ちが伝わりますように・・・。
おわり
あかり : 『ねえ、浩之ちゃん。ちょっと聞きたい事が有るんだけど・・・良いかなぁ。』
浩之 : 『はぁ、何だ?』
あかり : 『志保から、”私と一緒に居る時、その気にならないか”って聞かれた時、如何答えたの?』
浩之 : 『はあ? ”馬鹿じゃねえの!” の一言。』
あかり : 『ははは・・・。じゃ、じゃぁ・・・ホントは・・・どう思ってるの?』
浩之 : 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・多分、あかりと一緒だ。(ぼそっ)』
あかり : 『え? は?(ぽっ)』
浩之 : 『・・・・・・・・(ぽっ)』
あかり : 『・・・えっと・・・あの・・・その・・・もう一つだけ・・・良い?』
浩之 : 『・・・な、なんだよ。』
あかり : 『私が洗い物してた時・・・私の後ろで何してたの?』
浩之 : 『言えねぇ!』
あかり : 『え~~! 浩之ちゃん、教えてよ!』
浩之 : 『ぜってぇ言えねえ! エプロン姿のあかりに欲情して、抱きしめたいって思ったら、居ても経っても居られ
なくなって・・・・。気がついたら、あかりのすぐ後ろで手を伸ばしてただなんて、ぜってぇ言えねえ!』
あかり : 『え!(ぽっ) え!(ぽっ) え~~~!(真っ赤)』
浩之 : 『そうしたら、あかりが、にへら~~~~って笑いながらぶつぶつ呟いてたんで、心配になって声かけただなんて、
もっと言えねえ!』
あかり : 『う"ぅ・・・・・(泣)』
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あとがき
こんにちは、ばいぱぁです。
最後まで読んで下さいまして有難うございます。
なんかこの頃書けません。
如何したんでしょうか? ネタは沢山浮かぶんですが、最後まで書けません。
途中で頓挫して、放棄されて、ゴミ化してます。
もうそんなのが5本もあります。
次は、もうちょっとアマアマなSS書きたいなっと。
おーばあ