あかりちゃん誕生日ＳＳ　　マルチの話番外篇

　欲しいものはなんですか？

　　　　　　　　　　　　　　　　くのうなおき
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　「あの二人に『倦怠期』ってあるのかしら？」と、年来の親友で最大の理解者でもある志保
ちゃんが思わず呆れ混じりのため息まじりで呟いてしまうくらい、結婚後１１年たっても万年蜜月新婚気
分全開な藤田浩之・あかり夫妻。今日も今日で、激しくしっぽ・・・もとい、お互いの愛を確認しあっ
て、心地よい気だるさの残る体をベッドに投げ出しています。

　「なあ、あかり・・・」と、何かを思い出したように浩之さんがあかりさんに話かけます。

　「うん、なあに？」

　一戦交えた疲れなど何するものぞ、元気百倍に復活してまたたくまに押し倒してしまいそうなく
らい、可愛らしく、そして色っぽい声であかりさんが応えます。その通りな反応をぐっと堪えた
浩之さん、あかりさんの方に顔を向けて話を続けます。

　「明日、お前の誕生日だろ、何か欲しいものあるか？」

　浩之さんのプレゼントするものなら、それでこそ石ころでも大喜びしかねないあかりさんだから
誕生日のプレゼントもそれほど深く考えなくてもよさそうなものなんですが、そこは愛妻家の浩之
さん、できればあかりちゃんのリクエストに応えたいと、今まであかりちゃんの誕生日には欲しい
ものリクエストを聞いてきたのでした。

　「う～～ん、ええとね・・・・・」

　唇に一指し指をあてて、考える素振りを見せるあかりさん。あかりさんとしては、浩之さんがプ
レゼントしてくれるものならなんでも良くて、特に「どうしてもこれが欲しいのっ！！」というも
のは今まで無かったのですが、今回は何か欲しいものがあるようです。

　「ええとね、浩之ちゃん・・・・」

　何をリクエストするか決まったようで、浩之さんに『愛を確かめ合う』とき以外には殆ど見せない
『おねだり』をする目を向けるあかりさん。

　「おお、何でも言ってみ」

　あかりさんの『おねだり』する目に少し以外に思いながらも、『よっぽど欲しいものがあるんだな』
と優しげに答える浩之さんです。

　「あのね・・・・その・・・・わたし・・・・」

　「うんうん」

　「ブルマーが欲しいの」

　「・・・・・・・・・・へ？」

　思わず間の抜けた声をあげて聞き返す浩之さん、それでもあかりさんはもじもじしながら大真面目
な表情で

　「今持ってるのって、わたしの高校時代のものでもう古くなっちゃってるし・・・・・、それにしょっちゅう『使ってる』から、綻びも
目立ちだしてるし・・・・だから、その・・新しいのが欲しいかな
～～～って・・・・・」

　と言って、先ほどまで『使っていた』ブルマーの引っかかってる太ももをもじもじとすり寄せるあ
かりさん。浩之さんは額に幾十もの縦線を引いて、頭に汗マークをつけて言いました。

　「なあ、あかり・・・・・・」

　「うん？」

　「お金渡すからさ、それは自分で買ってくれないか・・・・・・・（汗）」

　「え・・・・？、・・・・・・・・・・・・・・・・あ、そうか・・・・・あははははははは（汗）」

　愛する旦那さまにぶるまぁを買わせるという事の危なさをようやく理解したあかりさん、ばつが悪そう
に笑います。

　「ご、ごめんね・・・浩之ちゃん・・・」

　「す、すまねえな・・・さすがにブルマーってのはちょっとな・・・・・（苦笑）」

　「ううん、変なお願いしたわたしが悪いんだから。それじゃあ別のお願いにするね」

　「おう、頼むわ」

　あかりさんは、何かまた別のものを思いついたようで、また『おねだりモード』に入りました。

　「あのね・・・・・」

　「うんうん」

　「研究所で、セリオちゃんが着ているレオタード・・・センサースーツだったっけ？あれ、貰
えないかな？」

　「はう・・・・・・？」

　思わずマルチちゃんみたいな声をあげる浩之さん。だけどあかりさんはもじもじと真っ赤な顔
をしながら続けます。

　「マルチちゃんのだと、小さくて体に入らないし・・・・、セリオちゃんならわたしと同じくらいだからぴったり合うんじゃないかなっ
て・・・あれ？浩之ちゃん？」

　枕に顔をうずめてうっ伏している浩之さんに、訝しげなな様子で声をかけるあかりさん。浩之さん
はこめかみを押さえながら顔を上げます。

　「あかり・・・・・・・」

　「うん？」

　「オレを研究所内で変態さん扱いさせるつもりか・・・・・？（泣）」

　「え、何で・・・・・？・・・・・・・・・って、あっ！」

　『浩之さんに研究所でセリオちゃんのれおたあどを求めさせる事によって発生する、浩之さんが変態さん扱いされる事の危険性』
に気づいたあかりさん、またばつが悪そうに「あはははははは（汗）」
と笑います。

　「ご、ごめんね・・・また変なお願いしちゃって・・・・」

　「ま、まあいいさ・・・・・（大汗）だけど・・・・しかしなぁ・・・・・」

　「どうしたの？」

　「さっきから、お前のリクエストするものって、お前が貰って喜ぶというより、そのなんだ・・・・
オレの為のものじゃねーか？」

　あかりさんから眼を逸らしながら、顔を真っ赤にしてる浩之さん。でも、あかりさんはにっこり笑っ
て

　「うん、そうだよ♪」

　「そうだよって・・・・お前！！」

　思わず顔を寄せて叫ぶ浩之さんの唇に、そっと人差し指をあてて微笑むあかりさん。

　
　「浩之ちゃんは、わたしのブルマー姿やセリオちゃんみたいな格好したら喜んでくれるよね？」

　「ま、まあ・・・その・・・と、当然じゃねーか・・・・・」

　「浩之ちゃんが、喜んでくれて、元気になってくれて、たくさんわたしを愛してくれる・・・・
わたしにとっては、それが何よりのプレゼントなんだよ？」

　「ねっ♪」と優しく微笑むあかりさんに、浩之さんは顔をこれ以上ないくらいに真っ赤にさせて
ぷいっと無言であかりさんに背を向けて寝転んでしまいました。

　『ふふっ・・・浩之ちゃんったら・・・しょうがないなあ♪』

　照れ隠しで背中を向けてることは充分承知のあかりさん、くすくすと笑いながら、それでいて
愛情たっぷりな瞳で浩之さんの背中を見つめています。

　一方あかりさんの視線を背中で感じながら、顔を真っ赤にしたままの浩之さん

　『う～～～ん・・・どうやって怪しまれずにあれを入手できるかなぁ・・・・・』

　と、なんだかすっかり「やる気」で考え込んでいます。どうなることでしょうね？

　さてさて、あかりさんの誕生日プレゼントを何にするかは今夜中には決まらないみたいです。

　だけど、本当に大切なプレゼントは既に決まったようなものなんですけどね。

　浩之さんの限りない愛情というプレゼントは・・・・・・・・・

　（おまけ）

　マルチ「あら、ひかるちゃん。その画用紙の筒はなんですか？」

　ひかる「あのね、これはお母さんのお誕生日のプレゼントなんだよ」

　マルチ「そうなんですか、一体何を描いたんですか？」

　ひかる「えへへへ～～～ないしょ、なんだけどマルチお姉ちゃんにだけはとくべつに教えてあげる
　　　　ね♪」

　
　マルチ「うふふっ、ありがとうございます」

　ひかる「あのね、これはお母さんの絵なんだよ」

　マルチ「あら、あかりさんの絵ですか。ふふっ、綺麗にかいてあげましたか？」

　ひかる「うん、もちろんだよ！！見せてあげるね」

　マルチ「わあ・・・とっても上手く描けてますね～～～～って、あら？」

　ひかる「どうしたの？」

　マルチ「なんで・・・・体操服なんですか・・・・？（しかもブルマー姿ですぅ・・・・・）」

　ひかる「あのね、琴音先生が『お母さんが一番良く似合ってると思う服を書いてあげるといいですね』
　　　　って言ったの。だから前お母さんがたいそうふく着てたでしょ？わたしはそれが一番似合ってる
　　　　と思ってそれをかいたの♪」

　マルチ「そ、そうですか・・・・・・・（あかりさん、また嬉し恥ずかしですね・・・）」（＾＾；；

　　　　　　　　　　　　　　終♪

　後書き

　あかりちゃん誕生日記念にあわせて、突発的小二時間ほどで書き上げたものです。
ま、まあ・・・大目に見てくださいね（＾０＾；；

　しかし、あかりも段々「あぶなく」なってきたなぁ・・・・・・・（＾＾；；

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